ザビスレザビ未完(TOZ)

生徒指導生徒指導と難癖ばかりつけていろんな女子生徒といかがわしいことをしているザビーダ先生。そんな噂をよく耳にする。けどオレは特にそれらの噂を当てにしていなかった。はずなんだけど。
「あの」
「ん?」
「オレ、男です」
「おっ、ようやく敬語使った。よろしい、まず10点な」
オレを机に押し倒しているのも、オレの額にキスをしているのも、まごうことなくザビーダ先生だった。
まず、この生徒指導室に呼び出された理由はなんだったっけ。確か進路相談か何かだった気はするけど、この部屋に入ってからまったくそんな話題は出ていないので、もはや忘却の彼方に消え去ろうとしている。
次に、なんで押し倒されてるんだっけ。ここがよくわからない。オレはただ普通に来ただけなのに、急に先生が「お前いつも先生に敬語使わねえな」とかなんとか言い出して、いや入学式のとき先生がタメ口でいいって言ったんじゃんと普通に反論したら、なぜかこんなはめに。やっぱり難癖つけて女子生徒とどうにかなってるって噂は本当だったのか?でも、オレ女子生徒じゃないし。わけがわからない。
「なんでこんなことするわけ、先生」
「お、タメ口頂きました。10点減点な」
「冗談だと思うけど、なんか変な噂流れてるからこういうのやめたほうがいいと思うよ」
「ほう」
冗談ね。呟いて、先生はオレの頬をするりと撫でる。瞬間、体がびくりと跳ねてしまった。急に触れられたからというのもあるけれど、何より触れかたが、いつも朝会うたび肩を叩かれるときのそれじゃない。橙色の瞳が、静かにオレを見下ろしている。
「ヘッドホン邪魔だな。外すぞ」
いつものおどけた調子の声とは正反対の、少し掠れた真剣なそれで囁かれる。

スレロゼ未完(TOZ)

何かしてあげたくなる。ロゼを見てると、どうもそんなことを考えてしまう。いつも無茶ばかりするくせに、どうして弱音のひとつも吐かないのか。気になって仕方ない。けど、こう考えられることをきっと彼女は嫌う。遠くから水平線を見つめるような気持ちになっていた。
「どしたの?」
振り返ったロゼがオレを見る。凛と据わるいつもどおりの瞳。
「なんでもないよ」
「ふーん」
ロゼはまたこっちに背を向ける。腰に手を当ててそれをぼんやりと見ていた。どうにもできないのかな。

夜、なんとなく眠れなくて宿を抜け出し街を散歩していると、建物の横にきれいな花が咲いているのを見つけた。濃いめの赤色がところどころピンクがかっていて、かわいらしくもある花だ。女の子たちに見せたら喜ぶんだろうな、みんなサバサバしてるようでかわいいものが好きだから。なんて考えながら花の前にしゃがみこむ。それに触れながら、なんとなくロゼの笑顔を思い浮かべた。ロゼも喜ぶだろうか。きれいだ、なんて言って。
「……」
摘んでいこうか。そう思い、茎に手を伸ばす。けれど親指に力を入れたところで、ふと手が止まった。ひょっとしたらこの花は今この場所で咲いているから、こんなにも美しいんじゃないだろうか。摘んでしまえば、たちまち枯れてしまうんじゃないか?
この花の美しさを、しばらく考えた。結果、オレは花から手を離した。きれいなものはきれいなままで、ここで咲いていてほしいと願ったからだった。花は夜を照らすように静かに輝いて見える。

朝、ロゼを連れて昨日の花を見に行った。ロゼはかわいいと言って喜んでいる。
「ライラとエドナにも見せてあげよっか」
そう言ってロゼがしゃがんで茎に手をかける。それをオレは、待って、と慌てて止めた。
「ここで咲かせておいてあげようよ」
「なんで?」
「それがこの花にとって、一番いい気がする」
「…へえ」
花から手を離して立ち上がったロゼは、頭の後ろで腕を交差させ、うーんと伸びをした。
「導師様命令なら、従わなきゃね」

スレミク未完(TOZ)

ED後
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だから僕のすべてでいればいいじゃないか。
何かに苦しむスレイを見るたびそう思った。何を悩む必要がある。何を救う必要がある。今すぐにでも帰ると言えば、僕はすぐさま君の手を引こう。だから、僕に一言くるしいと言えばいいじゃないか。
けれど、そう伝えようとは思わない。彼を諭すには僕は彼のことを知りすぎていた。きっとやめるとは言わない。むしろこんなことを言う僕に彼は調子を狂わせてしまう。だからただずっと傍にいた。彼の揺れるまつげを見つめていた。けっきょく彼は最後まで、やめたいとは言わなかった。

この何百年で、世界各地の遺跡を次々と回った。自分なりの考察もその都度行ってきた。遺跡というのは本当に奥が深くて、一度回った場所でも二度目に来れば違う発見があったりする。そのことを実感させられる旅だった。そして、何百年を使ってもまだすべての遺跡を回りきれていないという事実には本当に驚嘆させられる。まあ僕が生きているこの間にも新しい遺跡が誕生していたりもするから、当然といえば当然なのかもしれないが。
ずっと困っていることがある。あの日から、心に言いようもない寂しさが住み着いているのだ。

スレザビ未完(TOZ)

どんなにか考えても出ない答えというのは確実にこの世にはあるもんで、それにばかりぶち当たっちまう導師の性とも言える問題だ。長年生きてるだけあって俺はいつの時代もそれをよく目の当たりにしてきたし、これからもするだろう。しかし導師様ってのはいい子ちゃんの集団みたいな奴らで、その中で俺みたいな答えを出す輩を嫌うもんは多い。救い救いじゃないの答えなんかないっつうのに、間違いだとの主張もよく承る。もちろんいい子ちゃんは正論しか言わないからいい子ちゃんなわけであり、俺に向こう側を否定する道理はない。触らぬ神に祟りなし。触ればそれはたちまち足に絡みつく。そういう理屈でやってきたわけだが、しかしそんな俺に「仲間だ」と言ってきたいい子ちゃんが一人いた。俺の目をまっすぐ見てくる奴なんて、思えばあいつが久々だった気がする。まあ、そんないい子ちゃんも、今は会えない場所にいっちまってるわけだが。しかも次にいつ会えるのかわからないときたもんだから、本当にため息しかつけないもんである。
スレイ。それが、その導師の名前だ。おそらく忘れることは、一生ないだろう。

ザビスレミク(TOZ)

ED後
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スレイが起きた。風の噂でそう聞いてはいたものの、俺はまだスレイには会っていなかった。何故かというと、何か劇的な再会の方法なんかを考えていたからだ。今のところ思いついてはいないが、他ならぬ導師様のためならなんとかひねり出そうと思う。忘れてくれるな、俺様はロマンチストだ。
そう気楽に思っていたのだが、久々にふらっと会いにきたミク坊の様子を見て、少し不安な気持ちが押し寄せてきた。ふらっと、というか、もうふらふらしている。今会いにきたのは確実にスレイが関連してるだろうし、…え、あいつ無事?
「ど、どした、ミク坊」
なんか怖いがとりあえず聞いておかねばと、片手をあげながら何事か尋ねる。ミク坊は「久しぶり」と律儀にあいさつなんてしつつ、予想通りの言葉を口にした。
「スレイに無事会えたよ」
「お、おお。何よりじゃねえか」
「ああ。でも…」
そこでミク坊は言葉を途切れさせ視線を下に向ける。やけに儚げな目をしちゃっているあたり、嫌な予感が止まらないんだが。まさか駄目だったのか、あの導師が?あいつがそんなに弱いとはどうしても思えない。けどあいつは数百年もの間、世界に力を影響させていた。とうにガタが来ててもそりゃおかしくは――。
「…眩しすぎるんだ…」
悪い考えに支配されていたとき、不意にミク坊がぼそっとつぶやいた。…予想外すぎてよく聞き取れなかった。
「なんて?」
「眩しすぎるんだ…!」
「な、何が?」
「スレイが!」
そんな食い気味に言われても、知らねえよとしか言いようがない。というかさっきまでの俺の心配を利子つきで返してほしかった。なんだよ、大丈夫そうじゃねえか。体から一気に力が抜けていく。
「言っておくが、そんな顔していられるのも今のうちだぞ!目も開けられないくらい眩しいんだからな!」
「ああ、はいはい」
「信じてないだろ!」
ぷりぷりと(本当にそういう感じだからそうとしか表しようがない)怒るミク坊にてきとうに返事をしながら、変わりのなさそうな我らの導師のことを思った。眩しいのなんて、昔からだいたいそんなもんじゃなかったか。なんて男に抱くには気色の悪いことを頭に浮かべながら、何百年ぶりかの間抜けたあの笑顔を一目見てみたいとぼんやり考える。するとそれを見抜いたかのようなタイミングでミク坊が「というか」とつぶやいた。
「会って実際に見たほうが早いな。ちょうどスレイは今イズチに帰ってゆっくりしてるところなんだ。これから一緒に行こう」
「…おお、今から?」
「用があるのか?」
「いや、フリー」
「じゃあ行こうか」
やたら強引だ。しかしいつかは会いに行くだろうから、まあそれが今でも問題はない。ので、おとなしくミク坊についていくことにした。やけにそわそわするのはミク坊のきっつい前フリのせいだろうと思う。うん、そうに決まってんだろ。

近くにいた加護天族の力を借りてイズチに瞬間ワープし、のどかな大地を踏みしめる。相変わらず清浄なところだ。災厄の時代だったあの頃、ここが桃源郷に見えたほどに。
ちらほら居る女の子に手を振ったりウインクしたり近寄ったりナンパしようとしてさすがにミク坊に殴られたりしつつスレイの家の前にたどりつく。
「スレイ、帰ったよ」
そう言うとともに、ミク坊は扉を開けた。
「おかえり」
それとともに聞こえた言葉と、中でこっちに背を向けてあぐらをかきながら本を読んでいるひとつの存在。まず後ろ姿は、あのときとまったく変わりない。狭いようで広く、どこか柔らかい雰囲気をまとっていた。ああ耳の羽飾り、また着けてんだな。
「どこ行ってたんだ?」
ぱたんと本が閉じられる。そしてついにスレイがこっちを振り向いた、やけにゆっくりとした動きで。いや、そう見えただけか?
「…あれ」
ザビーダ?と、そう言ったときの表情も、まったくあの頃のままと変わりなかった。スレイの、スレイとしての表情だ。顔を見てますます、こいつの帰りを実感する。そして俺は素早くミク坊の肩を抱き、ミク坊ごとぐるりと回りスレイに背を向ける。
「どうだ」
「……」
「眩しいだろ」
「…あいつ発光してね?」
「是非とも数分前の僕に謝ってくれ」
すんませんでした、と素直に謝る俺にミク坊は見事なまでのドヤ顔をお見舞いしてくる。後ろからする「何してんの?」という声を聞きながら、俺は大きく嘆息したのだった。やっぱりあいつ怖いわ。


悠久の夢ムービーでスレイが超後光背負ってたのってミクリオ視点だからなのかなって…

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