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小ネタ詰め

P4

「やっと否定できた」奴は鼻水を垂らして泣いていた。きったねえ面で俺をじっと見ている。「あれは俺じゃないのだと、希望なんて持っていなかったけど、それでもやっぱりあれは俺なんです。俺はあなたを、ようやく…」そこから先はよく聞き取れなかった。そんなに喜べる意味がわからない、と思った。
(主足)

俺は英雄としての俺の中で半永久的に存在し続けるのだろうと盲信していたこの気持ちの中の特に中央に位置するあなたを救済しようと邁進してきましたが、けれどその正体のどことない差異を疑問視してきた訳なんですが、つまり今までのは救済じゃありませんでした足立さん!!好きだ!!あああああ!!!
(主足)

クソガキが死んだ。いや実際死んではないけどなんか友達とか家族とか全部捨ててきたらしいし、これはもう社会的にすごく死んでいると思う。思わず出た苦笑いを見て目前のそれは薄ら笑いを浮かべた。怖いんだけど。「ゴールデンの君ならもっとうまく出来たんじゃない…」「俺はできませんでした、はは」
(主足)

ああ両目が彼にえぐり出されようとも俺は彼を見ないだろう。ああ腕と足がへし折られようとも俺は彼にもう許してくれなどという懇願はしないだろう。ああ、俺はついに理解した。俺はあなたを憎んでいる。あなたさえいなければ俺はこんな苦労なんてしなかった。俺はあなたを憎んでいる!
(主足)

TOH

「コハクじゃなくてよかったの」買い物に付き合ってくれているベリルが突然そんなことを言った。「うん。コハクは忙しそうだったしね」そう返すと、ベリルは何も言わずに俯いてしまう。もしかして調子が悪いんだろうか。「体調悪いなら帰ろうか?」そう尋ねると何故かみぞおちを殴られた。
(シンベリ)

甘い恋の話が好きだった。他人から聞いたそれを自分と先輩に重ねて、いつか私も先輩との甘い思い出を作るのだと夢見ていた。その先にあったのは苦さだけだったけれど。「あなたとコハクを見てると幸せよ」「私、少女の頃に戻れたような気になるの」シングは首を傾げる。やっぱりまだ苦い。
(シンイネ)

首元に冷たく光るのは確実な殺意をもって突きつけられている彼の刃だ。このままじゃ僕はあっさり殺されてしまうかもしれない。彼の瞳はまるで百戦錬磨の殺人鬼みたいに僕のことを見据えているんだもの。怖いな、本当に。それなのに、ああ僕の忌々しいスピリア、何故歓喜に震えているのか!
(クンクロ)

僕のものになってから、彼はずいぶん無口になった。鉄の音があたりににぎやかに響く。「すてきだよクンツァイト」「怒ってるのかい?」「また君の美しい声が聞きたいな」クンツァイトは返事をしない。スピリアなんてものさえなければ、僕らきっと幸せになれていただろう。なあ、まだ否定するのかい。
(クンクロ)

「クンツァイトはリチア様が好きなのかい」「……? リチア様は自分の主だ」「ふーん…じゃあ主じゃなかったら嫌いなのかい?」「質問の意図を明確にしろ」「ああ、怒らないでよ。クンツァイトは笑ったほうが格好いいよ」「現時点までで笑ったことなどないが」「ああそうだね、僕の妄想だった」
(クンクロ)
「この招待状を受け取ってくれないか」カル様の手が震えている。まるで私が彼の父上に殴られた時のように。けれど今の彼の震えは、悲しみからではない。「カル様」「バイロクス、僕は、…」「ご結婚おめでとうございます」黙ってしまったカル様の頭を撫でる。そうだ、あなたはそのまま進めばいいのだ。
(カルセドニーとバイロクス)

これでは奥さまを迎えられませんよ。いつまでも私を頼ってくれる彼に、ある一人の姿を明確に思い浮かべながら言った。しかし彼は私の思考とはまた違う答えを放つ。「もし僕が最後まで一人でも、お前はいてくれるだろう」昔から、私の喜びは貴方の旅立ちだ。だからこんなことで喜んではならないのだが。
(カルセドニーとバイロクス)

カルセドニー「バイロクスが寝ている時にやたらと痙攣?のような動きをしているんだが…何かの病気なんだろうか…」ペリドット「前世が海老なんじゃないですか?」
(コピペ改変)


TOX2

「あまり外で俺の名前を出さないでくれ」あ、これはヤバいぞ、と幼いながらに思った記憶がある。俺は恐らく兄にとって目障りなのだ。だから俺のそういう行為は迷惑でしかないのだろう。大声をあげて泣きたい気分だったが、普通に返事をして微笑んだ。あの時の兄の笑顔は、確かに優しかったはずだ。
(クルスニク兄弟)

この先もう会うことはないかもしれないな、なんてことを赤い月を眺めながらルドガーは内緒話をするみたいに言った。どうしてそんな全部わかったようなふりをするのだろう。まだ始まってもいないのに、すぐ諦めようとする。わからないよ、と発した自分の言葉は存外不機嫌に響いてしまってすこし焦った。
(ジュルド)

あの人さえいれば何も要らない!とか、そういう、過去の自分を見せつけられるような言葉をもって、僕は彼に刺し貫かれた。もう目の前にいるのが彼なのか過去の自分なのかすらわからなくなってくる。ルドガー、と名前を呼んでも返事すらしてくれないから、たぶんこれは、僕なんだろうなあ。
(ジュルド)

ルドガー「兄さんを守る!!」ジュード「落ち着いてルドガー!こういう時はラマーズ法だよ、ほら、せーの」ルドガー「ヒッwヒッwフッw」ジュード「ヒッwヒッwフッw」仲間「ドンドンチャッ(足音」全員「ドンドンチャッ」ルドガー「ウィーウィールウィーウィール」ユリウスエンド「ロッキュー!」
(コピペ改変)

ルドガー「イカれたクルスニク一族を紹介するぜ!リドウと何人殺せるかで勝負をするユリウス!ロリにも容赦がないリドウ!身内はだいたい利用するビズリー!エルに有無を言わせず二人で生まれ変わろうとするヴィクトル!そして兄のために仲間を皆殺して世界とエルを捨てた俺!以上だ!」
(コピペ改変)

「うわっ体動かんなにこれ金縛りだ!!ヤバい!!」「ルドガー…」「うわっ兄さんの声聴こえるんだけどちょっヤダってもう怖い怖い!!ラル!!ラルーー!!」「トマト…」「あ!?」「トマトが食べたい…」「それで出てきちゃったのか!!?冷蔵庫にいっぱい入ってるから持っていってもいいよ!!!」
(クルスニク兄弟/霊ネタ)

兄さん!ああ、会えるじゃないか!ジュードが言うんだ、もう会えないって。いや、ジュードだけじゃなかったかもしれない、みんな言うんだ、もうお前の兄貴はいないってさ。でもこんなに簡単に会えるなら、もっと早く会いに来ればよかった!兄さん!ああなんだもう、ああ…。はは、楽しい…。
(クルスニク兄弟)

突然、明日朝起きたら何もかもが消え去っているようにとおかしなほど懸命に祈りたくなった。何の信徒でもないから祈り方なんて知らなかったが、とりあえず両手同士を固く握って頭の中でひたすら祈りをくり返した。すると、隣にいた兄が微笑みながら俺の両手に手をかぶせ、ゆっくりと指を解いていった。へたな祈りだ、なにも届かないだろう。けれど俺と兄についての大切な祈りだった。だからすこし悔しくて、なぜ解くのかと非難しようとした。しかし、兄の困った顔を目にした瞬間、たちまち怒りや虚栄心が消えてゆくのを感じた。「寝ようか」兄は俺にやさしく言った。
(ルドユリ)

「俺、また生まれ変わって兄さんの弟になるよ。俺はこのあとまたラルと結婚して、エルを産んで、この世界の未来を見つけにいくんだ。そこには兄さんも、絶対にいるから。もう湖もこんなに赤くならないし、薔薇なんて植えない…俺の目も兄さんの目も、きっとずっと緑と青のままだ…」
(クルスニク兄弟)

兄さん「こら、今の顔は反則だ。ペナルティキス…いくぞ」ルドガー「え?wwwwwwwwwwwwwwwwなんて?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
(スレタイネタ)

時生

見知らぬ土地での滞在は骨が折れた。こうしていると、ストレスとともに性的な意味で溜まってくる。そしてトキオの顔はいやに小綺麗だった。だからそう、俺はトキオを押し倒したのだ。しかし、待っていたのは異様な背徳感のみだった。トキオの目が俺を見つめる。待て、出来心だったんだ。「拓実さん、」
(拓トキ)

ばかじゃないの拓実さん、と、いやに冷たい目をしてトキオは言った。その場のノリだよ、とか、さすがにそんな軽はずみなことは言えなかった。こんなに冷めた表情のこいつは初めて見るかもしれない。しかもその中に哀しみの感情までもが見え隠れしているもんだから、俺はもう、実にいたたまれなかった。
(拓トキ)

P3
「お前を見てると、本当に…本当にイライラする。ふざけるなよ、くそ、無茶ばかりしやがって!…ああ、なんだろうな、手が震えそうなくらい、猛烈に頭に来るよ。先輩ぶることも忘れたいくらいだ。ただずっと俺は、…お前が傷つく度にイライラする」「カルシウム足りてないんじゃないすか」
(真ハム)

A/Z

「いざという際、お前は私を躊躇なく撃つだろうか」急にそんなことをおっしゃるものだから、僕は困惑を声に乗せながら彼の顔を見ることしかできなかった。彼は僕の戸惑いを視線の波で掬いあげながら、おかしそうに口元を歪める。「撃つだろうな」「…あの」「なに、ただの世間話だ」
(スレザー)

伊奈帆さん、と僕を呼ぶ声の弾みに合わせて彼女の笑顔は煌めいていた。王女然とした表情のなかにある隠しきれない別種の輝きに、きっと多くのひとが空を見たのだろう。その瞳に映る僕は瞬いて、水の中にいるように存在を漂わせていた。彼女に近づく足を、僕は止めようとはしない。
(伊奈アセ)

界塚伊奈帆、と怨念まみれの声色が僕の名前を飾りつける。歯を軋ませて目を剥く彼は哀愁に満ちていた。僕はそっと彼の頬に手を添える。「セラムさんがいない人生は寂しいか」「…アセイラム姫だ、口を慎め!」「君は今、誰よりも孤独だ」彼は僕を強く睨んだ。僕は視線を逸らさない。
(伊奈スレ/まだ強がるの?)

口に詰められた銃は鈍い光で僕を見つめていて、それと少し苦かった。そうしている張本人である目前の彼の表情はいつ見ても変わりなく、もはやロボットの類なんじゃないかとさえ思えてしまう。ああ、前にもこんなことがあったな。自嘲気味に笑うと、彼は鉄面皮のまま首を傾げた。
(伊奈スレ/いつもより乱暴に)

この場で何よりも鮮やかな色をした血がとうとうと彼の頬を伝い落ちている。そのたびに地面の鉄に当たって響く無機質な音は、まるで僕の鼓膜を殺すための狂想曲か。明確な殺意を行儀よく携えた銃口が、実に品良く僕を見つめている。君は頭が沸いている。そう言うと、彼の瞳は静かに濁った。
(伊奈スレ/とろとろ)

下3つは診断メーカーさん(shindanmaker.com/464476)にお題お借りしました

P3コピペ改変

※キタローがおかしいです

キタロー「天田はラーメンとチャハハーンどっちが好き?」天田「???」
キタロー:天田に横槍を入れられて死んだ
順平「今日暇?っと送信」〜1週間後〜ハム子「ごめん;;寝てた;;」
順平「語彙が少ない奴ってマジでアレだよな。とにかくヤバイっていうか」
天田:死のうと思って練炭を買った。安かったからフェザーマンのDVDも買った。
真田:俺がバッファローの群れで先頭を走っていた時の話
キタロー:授業中に綾時が業をカルマって読んでワロタ
真田:ずっとセックスだと思っていたのが実は乾布摩擦だった
綾時:キタロー君が僕に「滅っ!」って叱ってくる
キタロー「はい、今の顔反則。ペナルティキス…いくよ」天田「や、やめてください…」
キタロー:10000000000000円のヘッドンホホ買ったったwwwwwww
キタロー:13万円のヘッホホドッホホ買っホホホwwww
ハム子「生理です」真田「嘘つけ、来週からだろ」
順平:コロマルってたまに「我が能力は火…!」みたいな顔すんじゃん?
順平:高校生だけど九九簡単すぎワロタwwww
ハム子:歯医者でアヘ顔して遊んでたら麻酔増やされた
真田:ハム子に肛門に挿れられたブレスケアを放置していたら新時代の幕開けを見た
キタロー「順平が怒りだした瞬間土下座するの楽しすぎワロタw」
キタロー:彼氏の友近にホモがバレた
天田:真田さんがコロマルの散歩に行ったら先にコロマルが帰ってきた
天田「えっ、牛にコーヒー飲ませてコーヒー牛乳作ってるんじゃないんですか…!?」
キタロー「ニュクス腹の中に飼ってるけど使い道ある?」
順平:キタローをサーモグラフィーで見たら真っ青だった
真田「ホットペッパーを見たぞ!」店員「…は?」真田「ホットペッパーを見たぞ!!」
天田:リーダーさんと言葉のキャッチボールを楽しもうと思ったら剛速球で取れなかった
真田:蚊を手で追っ払ってたら「ついに真田先輩空気と戦い始めたよ怖っ」と言われた
キタロー「アイギスに膝かっくんすると、死ぬまで追いかけ回される」
テレッテッテー「順平」
ボンレスハム子「寝→る完成でハム食べる」
キタロー:最近僕が尾行してる天田っていう男の子がストーカーの被害に遭ってるらしい
綾時「履歴書に間違えてデスの写真貼っちゃったんだけど」
キタロー「真田先輩が「牛丼」って言いながら焼き肉食べてる画像ください」
キタロー:口内炎を天田の乳首だと思って舐めてたら1日が過ぎた
綾時「もし空からニュクスじゃなくて超巨大な僕のお尻がゆっくり落ちてきたら君たちはどうする?」
天田「こうのとりを想像しようとすると毎回ペリカンが邪魔をするんです…」
順平:中学のときの日記を見たら、「彼」が全部「波」になってた
真田「祭りで神輿担いだことある奴ちょっとそいや」
キタロー:荒垣先輩が串カツを作ってくれたときにタレに二度漬け禁止って言うから三度漬けしたらマジ切れされてワロタ
キタロー:ポロニアンモールの水をしゃぶりながら飲んでたら現行犯逮捕された
順平:荒垣サンがルンバに餌やってた

スレミク(TOZ)

※発売前の妄想100%な先走りハイパーうんこ
※ミクリオの性格捏造


スレイ、外の世界を知らない君が僕はたいそう好きだった。不謹慎な話だろ。君は君にとって、世界をいくらでも広げられるだけの器がある。その世界のさまざまなものを受け入れられる素直さがある。世界に出るだけの意味が、理由がある。それをすべて理解していて、僕はこう言っているのだ。僕は、君とともに生きてきた。僕は君で、君は僕だった。僕の世界にいる君は、とてもつよい光をはなっていた。君をうしなうには僕はあまりに未熟で、ことばも知らない赤ん坊のように無力で、さらには孤独でさえある。僕は僕だけの自由のために、君をこうして引き留めようとしているのかも知れない。君という光のもとで生きられるしあわせというものを、僕はきっと、じゅうぶんに感じてしまっていた。感じさえしなければ何不自由なくここにいれたものを、僕は無意識に僕の意思として、意識してしまった。君にもしこんな話をしたら、君は不思議でたまらないという顔で首を傾げるのだろう。そういう君がたまらなくいとおしい。なあ、この村はうつくしいよ。僕らここで育ってきた。ここで生まれて、ここで歩けるようになって、ここで友情を学んで、そしてここで恋や愛を知りながら死んでゆくのだと思っていた。ああ誤算だ。君が人間であったこととか、君の未来のことだとか、そんなほんとうは心のどこかでわかりきっていたはずの誤算全部が、僕を僕たらしめた訳なのかもしれないな。君が好きさ。人間の君を、友として誇りに思う。けれど、スレイ、ここにいてはくれないか。僕のために、ここでしあわせに生涯を終えてはくれないか。友人としての、一世一代で最低最悪な、ひとつのわがままだ。君はただ笑っているだけでいい。すてきだ、君の笑顔。何もかも許されているような気持ちになるんだから。
「だから君にとって、導師は天職なんだろうな」
「え?」
導く師。そういうことさ。君はどこでだってきっと変わらない笑みを浮かべている。要は受け取りかたさ。僕は僕としてきちんとそれを理解している。だからうぬぼれながら、君の世界を広げる手伝いをするのだ。はじまりの君にとって、いま僕は一番だ。それだけでも満たされるさ。幼なじみはこういうときに得をする。

主足(P4)

「あなたからの脅迫状、くしゃくしゃになるまで読み返しました」
奴の手に握られている白いものはまるで夜の街灯のようにほの暗く僕を照らそうとしていた。しかし、照らされる筋合いなどない。奴の正義の信憑性など存在し得ないのだから。「足立さん」となぜか僕を縋るように呼ぶクソガキの目に、前のような光はない。ざまあみろと思う反面、つまんねえなと思考した。所詮お前なんかさ、正しくもなんともないんだよ。それなのに僕を悪と決めつけて救おうとする、その姿のなんて滑稽なことか。俺を上手に否定もできないくせにね。……ああなんか集中できない。
「二行ぽっちを?」
「……はい」
クソガキの声が恋する少女よろしくに震えている。そこでふと思い至った。そうか、これはこいつによる純粋な告白か。そういえば顔も耳まで真っ赤だし、表情がとにかくせっぱ詰まっている。またきちがいみたいな口上を述べつくして自分語りをしようとしているだけかと思っていた。気づいたからといってべつにどうするわけでもないのだが。
「君はどうして僕を選ぼうとするわけ」
「わかりません、わからないけれど、これは……俺の、宝物なんです……」
コレイジョウタスケルナ。イレラレテコロサレルヨ。そんな文章のどこをどうしたら宝物になるんだ?やっぱり相変わらず狂っているらしい。でもそれ以上に、こいつはいま疲れている。
「破いてやってもいいよ」
「え?」
「宝物なんだろ」
そう言ってみると、クソガキの濁った目がみるみるうちに輝きを取り戻した。そうすると次にどんどん目に涙がたまっていき、最後にはきったねえ面に成り下がっていた。イケメンなのにね、台無しだ。
「ありがとうございます」
聞き取れるギリギリでそういった彼は、存外幸せそうだった。まるで僕が正しいかのように、僕に向かって笑っているのだ。

主花未完(P4)

「陽介」
聞き慣れた低音が耳をくすぐる。真っ直ぐにこっちを見てくる目のおかげで俺はどうも居心地が悪くて、しかし逃げ場なんてひとつもないから困った。追いやられた先の壁に背はぴったりくっついてしまってるし、さらに顔の横に手なんてつかれちゃ、もう。視線を逸らせど繰り出される「こっちを見ろ」という強要。というか、命令。これが今時のオトメに人気のオラオラ系イケメンてやつ?ホントにこれこそ、女の子にしろってやつなのだが。つうかここ学校だよ、そんでベタに体育館裏だよ。いくら人はあんまり来ないっつっても、この状況、言い訳もなにもすぐにできるのか。…いや、いかがわしいことしてるなんて事実はまったくないけども。俺とこいつは純粋な友人関係、ただそれのみの事実しかない。
「昨日、告白されてたのか?」
と、脳内でぐるぐると回っていた俺の思考回路を相棒はぶち切ってきた。何の話だ、いきなり?この流れで突然それか?まず告白って、そんなことされた覚えは微塵もないし、もしされていたら覚えてるに決まっている。俺はこいつほど頻繁に女子に呼び出されることはないんでね!なんて僻みながらも本気で心当たりが存在しないので、なんだそれ、と正面をきって訊いてみる。すると相棒は眉間に皺をきつく寄せて俺を強めに見つめた。
「女子に話しかけられてただろう」
「え」
女子に話しかけられてた?俺が?すぐに思い当たる出来事が浮かばなかったので、とりあえず昨日の記憶を詳細に辿っていく。確か昨日は午前中はいつも通りで、午後は……。
と、そこで心当たりを拾いあげた。そういえば昨日の昼飯の前、教室前の廊下で俺は確かに女子に話しかけられた。ピンときた俺の顔を見て、目前の顔にさらなる凄みが走る。こええよ。取り調べ中の堂島さんってこんな顔してんだろうな。
「思い出したか」
「ああ、うん、思い出したけどさ……」
「で、どうなんだ」
どうって、何が。とも聞き返せない雰囲気だった。威圧感がびりびりと全身に駆け巡る。誰か来てくれ、いや来られても困るけど。
「えっと、あのさ、なんで告られてるって思った?」
ほとほと困り果てた末にそう問うと、相棒はまたもやじっと俺を見つめてから、やがて目線を下に移動させた。突然うつむいたそいつに首を傾げていると、ぼそりと小さな声で一言。
「……聞こえてきた」
「な、何が」
「好きなの、って声が」
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