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ザビスレミク(TOZ)

ED後
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スレイが起きた。風の噂でそう聞いてはいたものの、俺はまだスレイには会っていなかった。何故かというと、何か劇的な再会の方法なんかを考えていたからだ。今のところ思いついてはいないが、他ならぬ導師様のためならなんとかひねり出そうと思う。忘れてくれるな、俺様はロマンチストだ。
そう気楽に思っていたのだが、久々にふらっと会いにきたミク坊の様子を見て、少し不安な気持ちが押し寄せてきた。ふらっと、というか、もうふらふらしている。今会いにきたのは確実にスレイが関連してるだろうし、…え、あいつ無事?
「ど、どした、ミク坊」
なんか怖いがとりあえず聞いておかねばと、片手をあげながら何事か尋ねる。ミク坊は「久しぶり」と律儀にあいさつなんてしつつ、予想通りの言葉を口にした。
「スレイに無事会えたよ」
「お、おお。何よりじゃねえか」
「ああ。でも…」
そこでミク坊は言葉を途切れさせ視線を下に向ける。やけに儚げな目をしちゃっているあたり、嫌な予感が止まらないんだが。まさか駄目だったのか、あの導師が?あいつがそんなに弱いとはどうしても思えない。けどあいつは数百年もの間、世界に力を影響させていた。とうにガタが来ててもそりゃおかしくは――。
「…眩しすぎるんだ…」
悪い考えに支配されていたとき、不意にミク坊がぼそっとつぶやいた。…予想外すぎてよく聞き取れなかった。
「なんて?」
「眩しすぎるんだ…!」
「な、何が?」
「スレイが!」
そんな食い気味に言われても、知らねえよとしか言いようがない。というかさっきまでの俺の心配を利子つきで返してほしかった。なんだよ、大丈夫そうじゃねえか。体から一気に力が抜けていく。
「言っておくが、そんな顔していられるのも今のうちだぞ!目も開けられないくらい眩しいんだからな!」
「ああ、はいはい」
「信じてないだろ!」
ぷりぷりと(本当にそういう感じだからそうとしか表しようがない)怒るミク坊にてきとうに返事をしながら、変わりのなさそうな我らの導師のことを思った。眩しいのなんて、昔からだいたいそんなもんじゃなかったか。なんて男に抱くには気色の悪いことを頭に浮かべながら、何百年ぶりかの間抜けたあの笑顔を一目見てみたいとぼんやり考える。するとそれを見抜いたかのようなタイミングでミク坊が「というか」とつぶやいた。
「会って実際に見たほうが早いな。ちょうどスレイは今イズチに帰ってゆっくりしてるところなんだ。これから一緒に行こう」
「…おお、今から?」
「用があるのか?」
「いや、フリー」
「じゃあ行こうか」
やたら強引だ。しかしいつかは会いに行くだろうから、まあそれが今でも問題はない。ので、おとなしくミク坊についていくことにした。やけにそわそわするのはミク坊のきっつい前フリのせいだろうと思う。うん、そうに決まってんだろ。

近くにいた加護天族の力を借りてイズチに瞬間ワープし、のどかな大地を踏みしめる。相変わらず清浄なところだ。災厄の時代だったあの頃、ここが桃源郷に見えたほどに。
ちらほら居る女の子に手を振ったりウインクしたり近寄ったりナンパしようとしてさすがにミク坊に殴られたりしつつスレイの家の前にたどりつく。
「スレイ、帰ったよ」
そう言うとともに、ミク坊は扉を開けた。
「おかえり」
それとともに聞こえた言葉と、中でこっちに背を向けてあぐらをかきながら本を読んでいるひとつの存在。まず後ろ姿は、あのときとまったく変わりない。狭いようで広く、どこか柔らかい雰囲気をまとっていた。ああ耳の羽飾り、また着けてんだな。
「どこ行ってたんだ?」
ぱたんと本が閉じられる。そしてついにスレイがこっちを振り向いた、やけにゆっくりとした動きで。いや、そう見えただけか?
「…あれ」
ザビーダ?と、そう言ったときの表情も、まったくあの頃のままと変わりなかった。スレイの、スレイとしての表情だ。顔を見てますます、こいつの帰りを実感する。そして俺は素早くミク坊の肩を抱き、ミク坊ごとぐるりと回りスレイに背を向ける。
「どうだ」
「……」
「眩しいだろ」
「…あいつ発光してね?」
「是非とも数分前の僕に謝ってくれ」
すんませんでした、と素直に謝る俺にミク坊は見事なまでのドヤ顔をお見舞いしてくる。後ろからする「何してんの?」という声を聞きながら、俺は大きく嘆息したのだった。やっぱりあいつ怖いわ。


悠久の夢ムービーでスレイが超後光背負ってたのってミクリオ視点だからなのかなって…

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