この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。
ログイン |
えーいやこらせと肩の荷を下ろそうとしたらなんかに阻まれて下ろすに下ろせなくなった。なんだなんだまだ背負ってなきゃいけねーのそろそろ下ろさせてよなあ早く。悠に1トンは超えてんじゃねーかなってそれがもう厄介で厄介で仕方ない。なーなんでこんなん持って歩かなきゃなんねーのと尋ねても返ってくるのは無言のみ。なんか返事しろよバーカ。なんて心で思っても口にゃあ出せないからマジめんどくさい。なんつったって悪態つくたび背中にある荷の重量が増してくんだもん。だるいわこれ。でも心ん中に溜めこんでたらそれはそれで重くなってくしさ。はーあーもー意味がわからん。どうしろってんだっつーね。まあでもなんでこんなしんどいとこに俺は居続けてんのかっつーのが一番の謎なんだけど。まあこんなことを思ってたって今日も俺らは罪なき生徒から食券を巻き上げて飯を食うし、悪びれる様子もなく校長室を独占するんだ。べつにそれ自体は負担でもなんでもないし、むしろ楽しいんだけど。
今年からアパートで一人暮らしを始めた俺の部屋は、家賃が安い割にけっこう広くて立地条件も良く、自慢の部屋だった。ただ男の性かなんなのか、俺は掃除が苦手だ。脱いだ靴下は脱ぎっぱなしで放置、取りこんだ洗濯物はタンスに片づけもせず部屋の四方八方に散らかっていた。四隅を歩くと埃が舞い、白かったはずの壁は微妙に黄色く変色している。恋人に掃除を頼んでみたこともあるが、向こうも俺と同じぐらい掃除が嫌いらしく丁重に断られた。まあそんな風に散らかり放題だった俺の部屋が、大学から帰ってくると、なんの前触れもなく見違えるほど綺麗になっていたとしたらどうする?
俺はたった今、別れ話を切り出した。恋人の綺麗な青色が揺れて、薄い紫は困惑の色を含んでいる。こたつに腰まで体を預けて一世代前の野球ゲームをしている完全くつろぎスタイルな日向に突然こんな話をするのは少し躊躇いがあったが、今日じゃなくちゃダメだという俺の決心は揺らぐことはなかった。このまま言い出せないままずるずる続いていくこの関係性が、いいもののはずがない。少しの沈黙があってから、日向はコントローラーを弄る。ゲーム画面がポーズ状態になり、いったん動きを停止させた。どうやら、ちゃんと話を聞いてくれるらしい。上体を起こして俺の目を真っ直ぐと見つめる日向がまず最初に口走った一言は、言ってしまえば典型的なそれだった。
「嘘をつきました」
「僕、誰かの役に立ちたいなあ。こんな地味な僕が活躍できたら、消えちゃってもいいかも」