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ハル(つり球)

朝ごはんにしらすを食べる。もぐもぐって、よく噛んで飲みこむ。そういう日はけっこう多い。しらすを食べているといつも一瞬だけ胸の奥がつんってなったりしたけど、そんなのもすぐに治まって最後には空になったお椀の前でごちそうさまと言い手を合わせていた。感謝の証だってケイトに教えられていたそれが、僕にとってごめんなさいの印だってことに気づいたのはほんとうに最近のはなし。今まで僕に食べられる魚たちのことはきちんとかわいそうだなって思ってたし、ありがとうとも感じていた。けれど、言っちゃうならそれだけで、心のずっとふかあくでは仕方のないことだよねって考えてた。僕はあいつを釣らなくちゃいけないから、そのために人間の形をとったんだから、ちゃんとごはんを食べて生きていかなきゃいけない。これが星のためなんだから、こうするしかないよねって。ずっとそう思ってきたけど、でもユキたちと一緒にいて楽しいとか切ないとかいろんなことがわかった中で、僕は終わっちゃったなかまの目をすぐ近くで見た。見ちゃった。かわいそうだなって思ったりありがとうって感じたりするより前に頭をよぎったのは、悲しいっていう思いとごめんねっていう気持ちだった。僕はそこで初めて、自分がなかまを食べているんだってことをよくわかったんだと思う。それから、魚を釣るっていう意味も、ほんとうによくわかった。僕は魚を釣るとか食べるとかそういうことを星のためにずっとしていたわけだけれど、それはつまりたくさんのなかまの命を僕がいろんな形で終わらせていたって意味だ。僕はなかまのために、なかまを食べてた。でも僕の奥の深くで眠ってるしょうがないって気持ちは大きくて、きっとあいつを釣るまでこのしょうがないは消えない。星のために、僕はまた釣りをするし魚を食べる。ああ、僕ってすっごくひどいやつなのかも。みんなごめん、ごめんね。

「ハルー、今日の夜はしらす丼にしようかってばあちゃんが言ってるけど、それでいいか?」
「…うん!」


魚食人魚きゃわわ

小ネタ詰め

俺が一番大好きで一番大嫌いな今のあなたを俺の中で永遠にしたかった。その反吐が出るくらいうつくしい笑顔を切り取って一生と言わずこの生が終わったっていつまでだって俺だけのものにしていたかった。怯えるあなたったらとんでもなくかわいくて涙さえ滲む。ねえ足立さん、もうずっと一緒ね。
(主足)

鉛の馬車であの薄紫の文学のようにおまえに会いにいけるかなって、ここと宇宙の距離を小さな俺で測ってみせた。ここからの空は嘘みたいに近くてばかみたいに遠い。わかってたけどつらいなあ。入道雲に乗って会いにくるよっておまえが泣いたから、俺は風に熱を乗せながらずっとおまえを待とうと思った。
(ユキハル)

「うわあ俺ユキのこと好きだわ」「…………………………………え?」「……ん?」
(ユキ夏/お口チャック緩い系男子夏樹くん)

「今度はどんな名前つけられるのかなあ」「君は毎回違う奴になれるからいいよね、僕はずっと足立透のままなのにさ」「えーでも言っちゃえば名前が変わるだけですし…どんな名前でも足立さんのことはずっと好きですよ」「そこも変わってくれればいいのに」「ひどいなあ」「じゃあまたそのうち」「うん」
(主足/最初から)

所構わず抱きついてきたり頬や額にキスしてきたりと、ハルのスキンシップは日に日にエスカレートの一途を辿った。ついにはファーストキスまで奪われたある日の夜、俺は仕返しにとハルの頬にキスをしたのだが、ハルはえ、と小さく呟きなんと顔を赤らめてこう言った。「恥ずかしいよ…」なんで?
(ユキハル)

「兄ちゃん、ちゃんとユキに兄ちゃんとうちのこと忘れさせてきたん?」「うん、ばっちり!」だってユキに危ないことさせちゃったらやだもん。ちょっとさみしかったけど仕方ないよね、って言ったら目から海の水みたいなのがいっぱいでてきた。とっても好きだったの。
(ユキハル/ハルちゃんが記憶消せたらどうしようって話)

「このまま二人でさ、どっかとおーくまで行ってみるか」「…さくらちゃん置いて?」「…だよな」「帰ろっか」「ん」
(ユキ夏/電車)

「さっき気づいたんですけどまあ平たく言えばなんか俺幽霊になっちゃったみたいで、それで陽介たちには俺のこと見えてないみたいで、足立さんだけには俺のこと見えるみたいなんですけど、ほんとあの、どうすればいいですかね」「…いや、どうって言われてもね」
(主足/地縛霊番長)

ほんとは好きだった、僕きっとユキが思ってるよりユキのこと好きだったんだよ。だからユキの寂しいのとってあげたくてずっと傍にいたの。僕はね、ちゃんとユキの魚になれたのかな?ユキのこと水から出してあげられたかな。ああ、でも花にはなれなかったかなあ。ごめんね。
(ユキハル/9話あたり)

俺の好きな子は宇宙人でさらに男だがもうそんなのは関係ないくらい俺はあいつが好きで好きで大好きで、死んじゃいそうなくらい好きで、世界より宇宙よりきっと俺の愛は大きいし誰よりあの子が恋しいのだ。だから今俺が望むことはたったひとつだった。ハルとエッチしたい。
(ユキハル/思春期)

実は初恋の相手が男で異星人で、というか目の前にいるこいつだなんてたぶん死ぬまで誰にも言えないだろうなあ。この事実は墓まで持っていこうと決心したのは確か高3の頃だ。まあ今こいつに言いたいのは、人の顔面にクラッカーを向けるなということくらいである。「ユキぃ、結婚おめでとぉー!」
(数年後ユキハル)

足立さん、ほんとは俺のこと嫌いだったんですね」「だから前からそう言ってるじゃない」「そっか」ならあなたを殺して俺も死にます、なんて台詞まさか現実で聞くことになるとは思いもしなかった。そうしてクソガキは僕から奪った銃をこちらに向け、震える手でゆっくりと引き金を<ロード>「ねえ足立さん、ほんとは
(ループ主足)

かえるなよって、腕を掴んで引き止めてしまった。へんな宇宙船が目に悪い色をちかちかと瞬かせている。俺は困ったんだ、だってうちの表札にはまだおまえの名前がでかでかと刻まれているのに。そんなの置いてかえるなバカ。ハルは振り返って、涙に濡れた声で言った。「ほんとは、僕だって…ずっと、」
(ユキハル)

俺はハルに恋をした。たぶん初恋だ。ハルと手が触れるとドキドキしたし、その夜は必ずオナニーをした。ハルが好きだ。だから溺れてほしかった。俺と同じになってほしかった。でもハルは魚だから溺れないんだ。そう悟った俺は、ハルの首をしめた。たぶん初恋だった。
(ユキハル/ひよこ)

最後のはこちらからお題お借りしました(htp://shindanmaker.com/163062)

ユキ独白未完(つり球)

泳げないけど海はすきだった。見ていると落ち着くから。それにさざ波の音が、母さんの声のように胸にしみわたるのだ。もう母さんの声なんて覚えていないけれど、でも聴くと心の底から安心できた。嬉しいときに聴いたら自然と笑顔になったし、悲しいときに聴いたら不思議と慰められているみたいな気になって涙がでた。たまに、いつだって海が見れる場所に住んでみたいと思う。まいにち海を見て、感化されていく感情にいつか名前をつけたいのだ。


「ユキーっ!海いこ、海!」

俺のささやかな願いはばあちゃんによって叶えられた。しかしまさかのおまけつきで。宇宙人だと自称するそいつは、よく言えば変わり者で、悪く言えばよくわからない変人野郎だった。ある日いきなり一緒に住むとか言い出して、何かにつけて俺についてくる。そして言うのだ、釣りをしようと。なんでだよ、おまえ一人でやれよ。主張してもそいつは聞かない。変な水鉄砲を使って俺を意のままに操ってくる。意味がわからない、まったく意味がわからない。なんで俺にそこまで、なんで俺なんだと。考えるばかりの日々は続いた。網膜のフィルムはいつも絶好調で脳を駆け巡っている。ザーザーって。ああ、ずっと静寂の中のさざ波に恋ばかりしている。
と言っても人間順応性というものは誰にでも備わっているようで、夏休みに入る頃には俺はすっかりその宇宙人に好意さえ抱いていた。ハルや夏樹と釣りに行くのは楽しい。すこしまえの、釣りになんて欠片ほども興味のなかった俺が別人のように変わってしまった。これはハルのせいだ、いいやハルのおかげだ。


話の着地点が行方不明になった

小ネタ詰め

「…かえるなよ」僕は宇宙人、宇宙人なの。だから早く星にかえらなくちゃいけない。僕らがかえるための魚は釣りあげたし、もうここにいちゃいけないってココが言ってた。僕ははやく魚と星にかえらなくちゃ、かえらなくちゃ、いけない。いけないのに。ユキは僕の手をぎゅってした。かえれないよ。
(ユキハル/少年引力)

ハルは突然いなくなってしまった。けど、ハルの残していったものに囲まれて暮らす俺は間違いなく幸せであったのだ。なあんて。うそだよハル。
(ユキとハル/消える)

俺の好きなあのこはいつか宇宙に帰っちゃうのだ。悲しくて泣いてたらあのこが俺の前に来て目から水がでるなんてすごいと笑った。「ユキが水だしてくれるなら、ユキの傍にいれば僕生きてけるね」そう言ったあのこの笑顔はすてきに綺麗だった。なあ俺おまえがすきだよ。きもちわるいかなあ。
(ユキハル)

実は俺足立さんのことそんなに好きじゃなかったんです。ただ傍にいたくて、傍にいてほしかっただけなんです。恋によく似ていたけど違いましたよ、ねえ足立さん大嫌い。そう言うと彼は僕のほうが大嫌いだよって言って笑った。俺の足立さんへの大嫌いはちゃんと実ったのだ。
(主足)

ハルは宇宙に帰り俺は溺死から生還し釣りの名人になって第2の王子と呼ばれるようになり船に乗って毎日大勢の友達と魚を釣っていたのだが先日ついに俺の背よりもでかい魚を釣ったのでハルに見せようと写真をとったがハルはもういないのだった。日々は徒然だ。
(ユキとハル/ズッ友だょ…!)

後に棺の中で聞いた話なのだが、俺は足立さんのことが好きだったらしい。
(埋葬系主足)

「あなたと見る月は綺麗ですねって言いたいのに、あなたといると月が見えないんです」なんでだろうと呟き涙ぐむクソガキを眺め、勉強のできるバカとはこういうののことだなと俺は思った。いたって単純な話さ、おまえが俺と月を見ても綺麗だと感じないってだけのね。君は僕を愛してなんていないよ。
(主足)

晶馬くんは自分がきらいなわたしだって好きだと言ってくれたけど、私は晶馬くんがきらいな晶馬くんを好きになるほどひねくれてるわけでもないのだ。好きなひとの好きなものは好きになりたいし、好きなひとの嫌いなものはたとえ好きでも素直にそうだとは言えなくなるわ。ゆりさんが言っていた。
(晶苹)

もの言わぬお前の顔が恐ろしげに美しく、ワシは自らの拳を一瞥し足を竦ませた。月が消えた、と思った。太陽と呼ばれるワシはつかず離れずのままただそこにあらねばならなかった月を消したのだった。話す口を取り上げられたただの人間に抱いた思考は一つのみ。「お前は、美しいなあ…」
(家三/死んだ)
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