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まどかとほむら(まどマギ)

「好きなの」

ほむらちゃんはそう言ったのだった。わたしより少し離れた場所で。白くてきれいな頬に涙をまぶしながら。裏通りの道は夕日を細やかに遮って、けれど微かにわたしたちはオレンジに染まる。おひさまが西から東に沈んじゃうねと口にしてさやかちゃんに笑われたのは何年前のことだったろう。

「巴マミが、好きなの」

ほむらちゃんはきれいだった。何があっても変わらずきれいにあった。でも急に見慣れた彼女の制服姿が窮屈そうに見えて仕方がなくなった。わたしは自分を、自分の思いをきちんと理解することはしようとしない。常識とか体裁とか、そんなものでほむらちゃんという友達をはかることに、なにかいいことがあるとは感じられなかったから。それにいまから突然ひとりの友達をひとつの異色として見れるほど、わたしは器用でもなかったし。マミさんという単語にだけは、素直に驚いたけれど。わたしのひとりは、いつまでもわたしに顔を向けない。俯いて嗚咽を零すばかり。噛みしめられた唇が、痛そうだなあと思った。

「ごめんなさい」

気持ち悪いなんて言わないで、だって。なんだかほむらちゃんがちいさく見えるよ。彼女はそうやって今日まで想いを押し殺してきたんだろうなあと思った。彼女は日の照る道に出ないまま、影を歩く。そうして、そんな影の中にいるひとりを見つめているわたしに、ほむらちゃんは嫌われたくないと言った。わたしは暗がりの迫りかける空を見る。夕焼けはきれいに私の目を焼いたのだった。


青い花パロのはずだった

さや杏未完(まどマギ)

「杏子」

転がした音は愛しい愛しい女の子の名前。目の前のその子はたいやきをせっせと頬張る口をいったん止めて、くるりとあたしのほうに振り返った。赤い髪が宙で遊ぶように揺れる。その様は驚くほどに綺麗で、彼女を取り巻く眩しさに思わず目を細めた。杏子は、なんだよ、と女子にしては少し乱暴な口調であたしに返事をする。

「呼んでみただけ」
「はあ?なんだそれ」

まどほむ未完(まどマギ)

鹿目さんは、とっても素敵な女の子だ。
低めの身長と大きい瞳は小動物みたいですごくすごく愛らしくて、甘くて優しい声とかとびっきりの笑顔なんかは私とは比べものにならないくらい魅力的だ。左右の髪を束ねている大きな赤いリボンと白いニーソックスは、彼女の柔らかい雰囲気の一端を担う役割を果たしていると思う。性格だって、誰に対しても分け隔てなく接することができて、とにかく優しくて。でも優しいだけじゃなく、芯は誰よりも強い。魔法少女である鹿目さんはいつも恐ろしい敵と命懸けで戦っていて、恐いはずなのにそんな様子を一切見せない。ほむらちゃんは私が守るから、って凛々しい目をして呟きながら弓を構える姿は他のどんな男の人よりもかっこよくて、つい見とれてしまうほどだ。その時ばかりは、私より小さいはずの鹿目さんの背中が大きく見える。でも、敵を倒したら『やったよほむらちゃん』と嬉しそうに笑顔を振りまきながらいつものように私を抱きしめて、そんな鹿目さんはやっぱり、可愛くて。学校の鹿目さんと、魔法少女の鹿目さん。可愛い鹿目さんと、かっこいい鹿目さん。どっちも素敵で、どっちも眩しい。私なんかには、釣り合わないくらいの女の子。どうしてこんな冴えない私と友達でいてくれてるのかが不思議で、でもそんなこと恐くて訊けない。もし、もしも鹿目さんが私と仲良くしてくれている理由が、私が思っているものと違ったとしたら。そう考えると不安で仕方なくなって、

「ほむらちゃん!」

明るく弾けるような声音が背後から降りかかる。聞き馴染んだ、大好きな友達の声。くるりと振り返ると、そこにはやっぱり鹿目さんが立っていた。下校時刻の知らせである鐘を響き渡らせる校内で鞄を持つ鹿目さんは、今から帰るところと見受けられる。ちなみに私もちょうど今帰路への道を踏み出したところだ。

「一緒に帰ろ!」

そう言って、鹿目さんは私に満面の笑みを見せてくれる。ぱぁ、という光が射してくるような擬音が耳を掠めた。太陽みたいな笑顔に負けないように、こっちもできるだけの微笑みを作って『うん』と頷いてみせたけど、たぶん鹿目さんの笑顔には及んでいない。だって向こうは太陽なんだもの、負けて当然だ。それに、勝ちたいなんて思わないもの。
私の了承を確認して、鹿目さんは小走りで隣に走り寄ってくる。私と拳一つ分くらいの間隔のところで立ち止まった鹿目さんは、『ほむらちゃんと帰れるの嬉しいな』と本当に嬉しそうな目をして私を見た。ああこんなときに決まって発症する私の赤面症。熱くなる顔を下に向けて、私も嬉しい、となけなしの勇気を活用して告げてみる。

「ほむらちゃんって、やっぱり可愛いね」

俯く私に、鹿目さんは柔らかい声音で、そう言った。ほむらちゃんって、やっぱり可愛いね。頭の中で鮮明にリピート再生される、唐突なその一言。

さや杏未完(まどマギ)

キスしようよ、と小さい唇から漏れ出た単語は大人の色味を帯びていた。中学生、恋する乙女などが夢を馳せる行為、初めてはレモン味かイチゴ味かで激しい論争が繰り広げられたり繰り広げられなかったりするそれを、今あたしは催促されてしまったようで。もしその一言を口にしたのがあたしの恋人もしくは想い人(誰かは提言しない。恥ずかしいから)なら一も二もなく頷いて目を閉じただろうけど、目の前にいるのは恋人でも想い人でもなくむしろ敵対関係にある奴だ。つまるところの佐倉杏子である。いつものように自慢の八重歯でお菓子を咀嚼して、満足そうな笑みを浮かべている。今日のおやつはどうやらたい焼きらしい。そしてその表情を貼りつけたまま、冒頭の言葉を発したわけだ。あたしの感想を述べさせてもらうと、正直意味がわからない。どうして天敵に値するあたしと杏子がキスしなきゃなんないのか。何か企んでいるとしか思えない。


誰か続き書いてください状態

まどマギパロっぽいものいろいろ(AB!)

ひなユイ
「あたしって、ほんとバカ」
「え…今さら気づいたのおまえ…」
「よーし先輩ちょっとツラ貸せ」

かなゆり
「オペレーションしないと…」
「それには及ばないわ」
「かなでちゃん」

大藤
「僕と契約してケツ貸してよ!」
「こんなの絶対おかしいよ!!」


ひなユイ
「心配すんなよ、ユイ」

先輩の口から、聞いたこともないような優しい声が発される。あたしはたいそう驚いて、ただぱちぱちと瞬きを繰り返すことしかできなかった。さっきから鬱陶しいぐらい絶え間なく流れてた涙も止まってしまうぐらい穏やかな顔で言うものだから、本当にこれは先輩なのかと問いかけたくなる。紫色をした瞳の奥には、ただ優しさだけが存在していた。

「ひとりぼっちは、寂しいだろ」

また、ほろり。葉が散っていくみたいに、言葉が落とされた。困ったことにあたしの脳は混乱気味で、返事すらできない状態だ。ああ貧相な頭が恨めしい。どうして先輩がこんなに優しい顔をして、あたしに寂しいだろと訊くのかさえ理解できない。もうお別れの時間なのに。あなたの言いたいことがわからない。どういうことですか、と言いかけたあたしの言葉に被さったのは、やっぱりまた、先輩の優しさだった。

「いいよ、一緒にいてやるよ」

微笑む。そして、あたしの名前を呼んだ。先輩は、あたしと一緒に、いてくれるんだって。そう、確かに言われた。なんで、なんでですか先輩。先輩はあたしのこと、嫌いなんじゃなかったんですか?なんで、あたしなんかと、一緒にいてくれるんですか。先輩、ねえ先輩。ほんとに、頼ってもいいんですか?あとで泣いても知りませんよ。ずっと先輩につきまとっちゃいますよ。いいんですか、それでも。自分一人じゃなんにもできないこんな女に次の人生捧げちゃっても、ほんとに後悔しないでいてくれるんですか。
先輩はまたしても笑った。そのあと、力強く、頷いて。あたしはもう泣くしかできない。ふと、お母さんの笑顔を思い出した。あたしの世話をしてくれていたお母さんは、先輩にそっくりの笑顔を、いつもいつもあたしに向けてくれていた。お母さんあたしもう大丈夫だよ。ひとりぼっちじゃないよ。先輩がいてくれるよ。全部が消えていくような感覚を感じながら、あたしはずっと泣いていて。先輩はあたしを抱きしめていた。ああもう大丈夫だ。あたし寂しくないよ、先輩。ありがとう。本当に、ありがとうね。
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