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ルドガーと分史ミラ(TOX2)

「そいつ俺のだから」

ミラの丸まった瞳が心に突き刺さり、俺は今し方自分の言い放ったひとことを取り消してしまいたいと心の底から思った。だとしてもなかったことにできるわけではないので、きっと敵対の顔を作りミラの腕を掴む男の顔を睨みつける。男はみるみるうちに不機嫌を露呈させ俺をじろりと睨み返した。下手すればこのまま乱闘にでも持ち込みそうな勢いさえ感じるが、この男はおそらく戦いの熟練者ではない。これなら俺も容易に勝てるだろう。相手もそれを察したのか「彼氏持ちかよ」と心底面白くなさそうに呟くと、地面に唾を吐いてそのままどこかに消えていった。何事もなく済んだことに安堵しつつ、目前の彼女が発する禍々しいオーラをどうしたら鎮められるかひたすらに考える。いちおう悪質なナンパから助けたのだから、あの、そんな目で見ないでください。ふう、とわざとらしくつかれるため息が耳に痛い。

「エレンピオスって野蛮なところね」
「あ、あんなやつばっかりじゃないけどな」

知ってるわ、と返された言葉のトーンがやけに低いことにまた鼓膜が怯える。確かにもっと言いようがあったなとは思う。俺の女だから、はさすがになかったなと自分でもひしひしと感じているさ。胸中で大反省会を繰り広げながらさっきからやけに俯きがちなミラの瞳の色を窺うためその顔をおそるおそる覗き込もうとすると、急にその顔がばっとあがった。驚いて2、3歩ほど後退すると、ミラは少し気まずそうに俺の瞳を見つめながら、さっきの助け方はどうかと思うけど、という前置きを入れつつそっと言葉を紡いだ。

「ありがと」

それからミラを見つけたエルが勢い余って俺にタックルをしてくるまでさほど時間はあかなかった。

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