ED後
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どうしても拭い去れない思い出がある。ラストンベルで見たあの星々とともに、僕に微笑んだあの笑顔。まるで時が止まったかのような夜だった。本当に朝が来るのか、来てしまうのかと、心の中で何度も思った。あの時彼は僕にどんな目を向けたんだったか。それだけは思い出せない。きっと、彼に再び会うまでは。
ある夜、ひとりラストンベルを歩いていると、すれ違っていく親子連れの子供のほうが空を指差しながらこう言った。
パパ、星が綺麗だよ。
はしゃぐ子供に、父親は優しく同意している。遠ざかっていくそれらの声を聞いてふと思った。そういえば最近、空を見ていない。目の前のものにばかり追われて、上を見ることなんて忘れていた。もしここにスレイがいたら「ミクリオ、上!」なんて言って僕の服の裾は引っ張られていただろうけれど、その本人はここにはいないのだから仕方がない。
「星か…」
そう呟きつつ、僕の足は公園へと向いていた。星の綺麗なラストンベルでの夜。まるであの日のようだ。僕の言葉に答えた彼の声はいまだはっきりと頭の中で再生できる。あのあと僕には伝えたいことがあったけれど、結局伝えなかった。次に会えたときに言えれば充分だと思ったから。…「次に会ったとき」なんて、いつも一緒にいた僕らにとってはずいぶん奇妙な響きだ、と考えたことを覚えている。
あの日の彼のように公園の手すりに寄りかかり、夜空を見上げてみる。紫と青の中にはいくつもの小さな光が輝いていた。この星の下で、僕らは歩き出したんだっけ。
「スレイ」
返事は、もちろんない。