「君、前に言っていたな。お前は俺のインスリンデナナフシだって」
仕事の都合で久々に顔を合わせたあなたに対してキムはそう呟く。煙草の煙が一筋、その薄い唇から這い出して、あなたの頬を掠めていく。煌めく星々は以前よりか赤みのひいたあなたの鼻を控えめに照らす…。
あなた-
「言ったかな…」
「言ったさ。まあ、あの時の君は今よりうんと…なんというか…意識が朦朧としていたから」
覚えていないのも無理はない。そう言いたいようだ。
内陸帝国-
本当にあなたがそうおっしゃったのでしょうか?
意志力-
残念ながら、事実だ。確かに覚えている。
演劇-
ずいぶん”シビれる”台詞回しですね。
視覚計算[成功]-
キムの人差し指と中指が挟みこんでいるそれの先端が夜の闇にほのかな灯りをともしている。あなたはその頼りない灯りだけをあてにして彼の表情を観察する。慎重に。キムはあなたの視線に気がついているとも否とも思えるほど長く煙を吸う。
「……今は?」
あなた-
「ん?」
「実物を目にしてしまった今はどうだ?もう僕は君のインスリンデナナフシではない?」
彼の細く理知的な瞳があなたを捉える。あなた(あなたたち)は、彼の発した言葉を理解するのに少し時間を要する。キム・キツラギが吐くにはその言葉はあまりに滑稽だ。
電気化学-
ハーブをキメてるんじゃないか?
悪寒-
それとも何かたくらんでいるのか。
手さばき-
奴のポケットを確認しろ。精神向上薬か”何者か”からの小切手が入っているはず。
意志力-
すぐに訝るな。まずはキムの話を聞け。
あなた-
「それはどういう意味だ?」
キムはあなたを一瞥したあと、レヴァショールの寒空へと目を移す。



DEの日本語訳文章が好きすぎて真似ようと頑張ったけどあの美しさには一生届かねーーーーー!!