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主足(P4)

「俺たちまるで愛の化身だ。すごいよ、奇跡みたい!あなたは奇跡って言葉を嫌うだろうけどね、俺だってこんな嘘っぱちでハリボテ以下の言葉大ッ嫌いだったけどね、でもずっと起きないかなあって待ってたよ。足立さんだってそうでしょう?わかってるよ、俺は足立さんの全部全部ぜえんぶ理解したんだから。実感して反芻して認識したんですよ。だからあなたが今俺を気持ち悪いって思ってることもわかってるんだよ。足立さん、ねえ、俺は足立さんを確実に愛していたけど、やっぱり恋もしてたんだと思います。だって俺は、あなたへの想いで泣けたもの。わからないでしょう?でもねあなたは知っちゃったんですよ。だからもう誤魔化しはきかないんです。足立さん愛してます。それでね、好きです。だから俺がちゃんと全部終わらせることができたらね、みんなの認知してる足立さんじゃなくて、ひとりの足立さんとして俺に顔を見せてね。怒ってても笑っててもなんでもいいんです。俺はきっと俺が愛しくて仕方ない、あの足立さんが見たいんだよ。ヘドロに似た薄汚い空の広がる、バカみたいに見晴らしの悪いあの場所で見たあなたは、いちばん人間らしくていちばん綺麗だったから。それだけです、本当にそれだけ。あ、でももしあなたの都合が良いならセックスしましょうね。身体が無理なら心でいいんです。心でセックスなんて無理だってあなたは言うと思うけど、セックスなんて何でだってできるんですよ。愛さえあればっていうのは意外に信用できる言葉だと思うなあ。ねえ足立さん、俺は盲目みたいなものでした。でも今はみえるよ。全部みえる。世界の形だってわかったもの。だから俺はちゃんと足立さんを見つけられます。大丈夫です。また会えると思います。笑いたいなら笑ってもいいんですよ、俺だって今笑ってます。でも本当に大丈夫だって思えるんです。信じるってこんなに、楽になれることだったんだなあ。そういうわけでいつか足立さんを迎えに行くので、どうぞ毎日怯えて過ごしてください!愛してます、好きです。さよなら!」
電話が切れた。長年のストーカー被害から解放された俺は、目が悲惨に腫れるまでただただ泣き尽くしたのだ。信じられるか、霧が晴れたんだ。


よくわからん

ジュアル未完(TOX)

抵抗を試みる両手の力はさすが傭兵だけあって煩わしいぐらい強い。20cmほどの身長差がある僕らだ、普通なら小さい僕の不利でアルヴィンの圧勝という結末に終わるだろう。しかし残念ながら、僕は人が触れられると弱い箇所に詳しい。とりあえず、とぎりぎり爪が食い込むほど力強く彼のそれと相対していた両手の右だけをさっと離し脇腹を突いた。彼は完全に油断していたという体で、うひゃだかなんだかよくわからない声をあげた。その際に力が弱まった瞬間を僕は逃さない。即座に彼の両手をシーツへと叩きつけるように押しつけた。一瞬顔を歪めたアルヴィンは、卑怯だろ、と年甲斐もなく怒っている。

「べつに正々堂々といこうとは言ってないよ」
「それでもおたく、こういうのには同意ってもんが必要で」
「同意ならさっきしてくれたでしょ」

はあ?なんて間抜けな声を出す口は手で塞いでしまった。必死に喋ろうとしているアルヴィンの息が手のひらにかかってちょっとくすぐったい。じたばたと暴れることをやめようとしない手と足をのしかかるように押さえつけておくのも少し疲れてきた。特に手なんかはいま片手で彼の両手を封じているわけだからかなり骨が折れる。僕は上体を前に倒してずいっとアルヴィンの顔に自らのそれを近づけた。鼻同士が触れるような距離に、アルヴィンの動きがぴたりと止まる。大人しくなった彼を前に、僕は薄い赤を見つめながら静かに呟いた。

まどかとほむら(まどマギ)

「好きなの」

ほむらちゃんはそう言ったのだった。わたしより少し離れた場所で。白くてきれいな頬に涙をまぶしながら。裏通りの道は夕日を細やかに遮って、けれど微かにわたしたちはオレンジに染まる。おひさまが西から東に沈んじゃうねと口にしてさやかちゃんに笑われたのは何年前のことだったろう。

「巴マミが、好きなの」

ほむらちゃんはきれいだった。何があっても変わらずきれいにあった。でも急に見慣れた彼女の制服姿が窮屈そうに見えて仕方がなくなった。わたしは自分を、自分の思いをきちんと理解することはしようとしない。常識とか体裁とか、そんなものでほむらちゃんという友達をはかることに、なにかいいことがあるとは感じられなかったから。それにいまから突然ひとりの友達をひとつの異色として見れるほど、わたしは器用でもなかったし。マミさんという単語にだけは、素直に驚いたけれど。わたしのひとりは、いつまでもわたしに顔を向けない。俯いて嗚咽を零すばかり。噛みしめられた唇が、痛そうだなあと思った。

「ごめんなさい」

気持ち悪いなんて言わないで、だって。なんだかほむらちゃんがちいさく見えるよ。彼女はそうやって今日まで想いを押し殺してきたんだろうなあと思った。彼女は日の照る道に出ないまま、影を歩く。そうして、そんな影の中にいるひとりを見つめているわたしに、ほむらちゃんは嫌われたくないと言った。わたしは暗がりの迫りかける空を見る。夕焼けはきれいに私の目を焼いたのだった。


青い花パロのはずだった
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