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順ハム(PQ2)

「私ぜんぜん普通の人間だよ」
そう言って公子はポロポロと泣き出してしまった。ヤッベー地雷踏んだ多分。どうすんだこれ。つか何が地雷だったんだ?いちおう恋愛経験は付け焼き刃ながらあるってのに、どこがどうなって自分が女の子を泣かせたのかがまるでわからなかった。オレはただ『公子ちゃんは強いねえ』と言っただけなんだが。え、もしかして女の子に『強い』って褒め言葉じゃないのか?このヒトけっこうな戦闘狂だしレベルアップとかのたびにウキウキしちゃってるから嬉しいもんだと思ったんだが。……いや冷静に考えたらなんも褒めてねーか、チドリに言ってもビミョーな顔されそうだわ。
「あ、あのさ、公子。悪い。オレが悪かった、よな?」
おそるおそる尋ねてみると、公子は相変わらずボロボロ涙を流しながらも俺に視線を向けてそのまま微笑んだ。
「ああごめん。なんかおかしな感じになっちゃったね。順平のせいじゃないから気にしないで」
「いやいや、そう言われましても……」
目の前で急に泣かれて平気な顔してられる男なんざいるのだろうか。……うちのリーダーは案外平気な顔するかも知れねーが。日本男児として侍スピリットを掲げるオレとしちゃ少なくとも女子を泣かせといて平常心なんて掲げられないのが実情だ。赤くなった目が痛ましくて見てて心苦しい。ハンカチかティッシュなかったっけな、とポケットを探ってみたがポケットというポケットをいくら裏返そうが当然そんなものは出てこなかった。
「フフ」
大パニックの様相を呈しているオレの横で、不意に公子が控えめに吹き出した。その後もくすくすと笑っていたが、やがて本格的に笑い出しついには大口を開けてあはははと笑い出す。ピエロよろしくのオレがめちゃくちゃツボにハマったらしい。いや、結果オーライで良かったけどさ、なにこの行き場のない羞恥心は。
「な、何してるの、さっきからずっと……あーダメおもしろい」
「あのお、笑いすぎじゃあありませんこと?お嬢さん」
「だって、横でずっとバタバタしてるんだもん。なんかすっごいハマっちゃって……フフフ」
口元をだらしなくにやにやさせっぱなしの公子サンは、おそらくさっきとは別の意味で滲み出た涙を拭いながらオレを見つめた。順平、と呼ぶ声が柔らかく耳に馴染む。今のはオレを呼んだというよりは、オレではない『オレ』を呼んだという気がした。だってこれは旧友に向ける笑顔だ。
「ありがとう。すっごい元気出ちゃった」
オレは女の子の笑ってる顔がスキだなー、とつくづく思うわけだ。チドリの笑ってる顔を見たら何もかもの悩みが吹っ飛んでいくし、今だってホラ。すべての労力が一瞬で報われてしまう。単純だとは自分でも自覚してるぜ、ホント。……あとチドリンになんとなく罪悪感を感じてるのはナイショだ。
「なんか泣いたり笑ったりしてたらお腹すいたなあ。女子のみんな集めて一緒に料理でもしようかな」
「……平和的な人選で頼むぜ」

小ネタ詰め

お題お借りしました(shindanmaker.com/375517 )


「ちょっとフレンちゃーん、暴れないでくれる?青年困っちゃーう、なんつって」わははと笑いながらユーリは僕の服のボタンを引きちぎっていった。何がどうなっている。なぜ彼は泥酔している、なぜ僕は脱がされている、なぜ彼は…「ちょっとぉ、集中集中!」質問は全てその唇に遮られた。…ああ酒臭い!
(TOV/精神的フレレイの肉体的フレユリ ドラマCDネタ)

放課後の図書室には僕の友人がいる。そう断言できる程に彼は毎日そこで仮眠を取っていた。陽が傾きあたりが橙色に染まる頃、生徒会の仕事を終えた僕は彼を起こしに図書室へ向かう。何度か揺すりながら名前を呼んで彼はようやく目を開ける。「もうそんな時間かよ」そう言って伸びをする姿、まるで猫だ。
(TOV/フレユリ お題:図書室の猫)

「こいつを殺すのは俺のはずだった」事切れた兄さん──時歪の因子の頭を抱きながらこの世界のリドウは俺を睨んだ。今まで見てきたリドウのどの瞳よりも鋭い。俺のことを強く憎悪している目だ。「他の誰より残酷な方法で殺してやろうと思ってた。それをよくも、……ハハ。よりにもよってお前かよ、弟」
(TOX2/クルスニク兄弟+リドウ)

「有り金全部はたいて食材買っちゃってさ、しかも今日で全部使っちゃった。あ、大丈夫、全部トマト料理だよ」どういう意味の大丈夫なんだ、と思わず笑ってしまった。ふくれるルドガーに謝りながら実は俺もな、と呟く。「貯金を全部下ろしてきたんだ。明日から旅行に行こう。……どこにでも行けるぞ!」
(TOX2/ユリルド)

その時地球が爆発したんだ。本当ですよ裁判長、信じてください!「自由には鎖がついてるんです」「先入観ってやつですね。それを取り払えるんですよ、マジックって」火山が噴火して事務所に灰が降る。いいのかよ、って言っても彼女は止めない。ホントに世界終わらせられるんじゃないかな、この子なら。
(逆転4/オドみぬ)

生まれ変わったら君の子供になって君のおなかに入りたいな。君の羊水に浸かって、他の何よりも君に愛されていたい。いつか見る君の顔を思い浮かべながら、君の掌の感触を体ぜんぶで享受しながら眠っていたい。君はきっと僕を全身全霊で愛してくれるだろうな。ねえ、愛しているよ。…撃っていいよ。
(P3P/綾ハム)

「怖いね。下手したらきっと死んじゃうよ」そう言って敵の群がる前方を公子は見つめている。ああ情けねーけど確かに怖いよ俺は。でもオマエはどうだ?そんなに楽しそうな目は初めて見た。てか笑ってんじゃん、ぶっちゃけ。なんかちぐはぐなんだよな。「はあ、すっごくワクワクするね。…あ、間違えた」
(P3P/ハム子+順平)

運命という言葉を今までで一等強い実感を込めて使ったように思う。彼女が私の運命。前々からそう定められはしていたが、いざ触れられる距離で微笑まれるとよりいっそうその輪郭が浮かび上がるのだった。「テオ、明日はどこ行きたい?」「あなたの好きな場所へ」彼女は今日も笑う。「テオはかわいいね」
(P3P/テオハム)

ずいぶん明るい女が来たな。第一印象はそんなものだった。しかしあの女、恐らく「こっち」に近い。「あ、明智くん」俺が声をかけてからそう言って振り向くまでのほんの二秒ほど、女は瞳に何の色も映さないで、感情の欠落した表情をひとつぶら下げていた。…警戒しておいたほうがいいのかも知れない。
(PQ2/ハム明)

ひみてん未完(論破V3)

志村貴子先生「すてきなあのこ」パロ
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高校三年生になり、気持ちを新たにしたくて今までと違う時間の電車に乗ることにしました。そこで転子は夢野秘密子さんと出会ったのです。今まで見たどの女の子よりも愛らしいルックスは転子の胸に感動すら芽生えさせました。転子は夢野さんの隣に並んで、毎日彼女の横顔を見つめました。ちなみに名前は彼女が電車を降りる瞬間に出した定期券を見て知りました。名前まで愛らしいのです、奇跡のようなお人です!毎日彼女の顔を見ながら電車に揺られる日々はとても幸せでした。
「のう、お主」
ある日のことです。決してこっちに振り向かない、額縁の中の絵のような存在であるはずの夢野さんが、突如転子に視線を向けました。動揺して固まった転子に彼女は一言こう言います。
「そうやってじっと見られると居心地が悪い。やめてはくれんか」
その日家に帰って転子は二時間くらい泣きました。落ち込んんで落ち込んで、もう食事も喉を通らないほどでしたが、でもさんざん泣き明かした末に頭に浮かんだのは「声すら可愛いなんて、本当に奇跡だ」という一言でした。それに、誰かが転子の頭の中でこう囁くのです。気にするな、むしろ話す切っ掛けができたじゃないかと。転子は突き進むことを決めました。毎朝電車で会うたび話しかけ、思いつく限りの言葉で彼女を褒め称えました。夢野さんの表情はいつも同じなので何を考えているかはよくわかりませんでしたが、毎日見ているうちに少しずつ感情の機微を読み取れるようになってきました。もっとも大抵の感情はプラスなものではありませんでしたが。
「お主、いい加減にせんか。お主に構っていられるほどウチは暇ではない。ウチは魔法使いになるための修行で忙しいんじゃ、わかったらとっとと失せい」
またある日のことです。夢野さんは珍しく怒りを露わにしながらそう言い切りました。あまりに自然に言うものなので、最初違和感を覚えなかったほどです。魔法使いになる修行だなんて、突然何を言い出すのでしょうか。「ただでさえ大学受験と魔法の両立で忙しいというに」と呟きながら夢野さんは転子から視線を逸らします。ああ同い年なのだ、とこのとき初めて知りました。
転子はしばらく考えました。魔法使いとはどういう意味なんでしょう。転子を遠ざけるための嘘だったのでしょうか? けれど、嘘という雰囲気ではありませんでした。考えれば考えるほど、やっぱり転子は夢野さんのことが気になって仕方がなくなってしまいました。夢野さんは少し変わった女の子なのかもしれませんが、そんなことは気にならなくなるくらいの眩しさを強く放っていたのです。

龍アソ未完(大逆転)

「亜双義、乳首を吸わせてくれないか」
唐突な成歩堂の言葉に亜双義は目を丸くした。乳首、乳首と言ったか、このオトコは。それに加えて吸わせてくれとも言った気がする。いや待て、己の聞き間違いかも知れぬ、と亜双義は念の為聞き返してみたが、返ってきた答えはやはり「乳首を吸わせてくれないか」というものだった。いったい何を言っているのだコイツは。まさか昼から酒でも嗜んでいるのではあるまいと鼻を動かしてみるがそういった臭いは少しも嗅ぎ取れない。素面で、しかも澄んだ目でこのように素っ頓狂なことを口にする友に亜双義はいっそ感銘すら覚えた。
「まあ、理由を訊いておくとしよう。何故オレの乳首を吸おうとする?」
「詳しくは言えないんだ。でも、のっぴきならない事情で今すぐおまえの乳首を吸わなくてはならない」 
どうのっぴきならなければそうなるのか。詳しくは言えないが乳首を吸わなくてはならない事情とはいったいどのようなものなのか?若くして様々な経験を積んできた亜双義だったが、自身の人生経験に基づいてもそのような状況に陥る場面を想像することは容易ではなかった。酔っているのでなければ寝惚けているのではないかとその目を見つめたが、はっきりと開かれたそれは深刻な色を黒の中に浮かばせている。どうやら成歩堂は本当に真剣に頼み込んできているようだった。
亜双義一真は成歩堂龍ノ介という人間をよく理解している。詳しく言えないとしているその事情がよほど大切なものであるだろうことは成歩堂のその眼差しを認めればすぐに分かった。唯一無二の親友が目の前で困っていて、そして自分を頼ってきている。亜双義にとってそれは首を縦に振るにはあまりに充分すぎる条件だった。
「……仕方がない。キサマにオレの乳首を吸わせてやろう」
「ほ、本当か!」
「ああ。それでキサマが助かると言うならばいくらでも吸うといい」
「ありがとう!恩に着るよ、親友!」
都合のいいときだけ親友呼ばわりをするなと言い返そうとしたが、あまりに成歩堂が喜びの感情を露わにするので亜双義は自分の言葉を喉の奥に押し込めるのだった。


『やあやあミスター・ナルホドー、せっかく倫敦に来たっていうのに毎日読書とはシメっぽいにも程があるというものだよ。どうせならボクとゲームでもしようじゃないか!モチロンただのゲームじゃあつまらないから罰ゲームも用意しておくよ。そうだなあ……負けたほうは指定された人間の乳首を吸う、というのでどうだい?』
それは成歩堂が人生で体験した『罰"げえむ"』のうちで一番突拍子が無く耐え難いものだった。そもそも、何故『乳首を吸う』なのか?『乳首を吸う』という行為はそんなにさらりと出るほど普遍的な罰"げえむ"なのか?あらゆる事柄を思考している間に成歩堂はホームズとゲームを進め、そして負けた。



三人称視点の文の練習するぞ!と思って書いてたけど内容もうちょっとなんかあるだろと思った

フレユリ(TOV)

目の前に伸びる真っ暗闇の一本道は一生続いてんじゃねえかってほどに際限がなく終わりも見えなかった。まあオレの一生はもう終わったんだが。近くにあった木の看板に目を凝らすとそこには『地獄』と書いてある。あの闊達なじいさんの待ち受ける場所に、予定どおりたどり着いちまったらしい。さて、行き着く先が分かってるならあとは進むだけだ。暗闇を見据えて歩き出す。
「ユーリ」
一歩を踏み出したところで後ろから声がした。よく聞き慣れた声だ、そりゃあもうこの世のどんな音よりも耳によく馴染んでいる。半ば呆れつつ振り返ると、予想したとおりの人間の顔がそこにひとつ、相変わらずの澄んだ青を嵌めてじっと光っていた。
「探したよ」
「わざわざこんなとこまでか?そりゃご苦労」
何の用だよ、とその目を見据えればフレンはオレに向かって手を差し出した。
「僕と共に行こう」
「行くってどこに」
「ここではないところだ」
そう言うとフレンは瞳を上に向ける。つまり、ここと反対の場所か。バカだな、と思わず胸中で呟く。そこはオレに一番無縁の場所だ。
「行かねえよ。つーか行けねえな」
「そうか。分かった」
いやに物分りのいい返事が返ってきて思わず目を丸くした。と思えば奴はきりりと眉を上げて熱心なまなざしでオレを見つめるなりこう一言。「なら無理やり連れて行く」
つい「は?」と口から溢れたのも無理はないだろう。だから行かねえって、と返しても縛ってでも連れて行くの一点張りだった。物分りのいい?とんでもない、こいつが頑固で融通がきかなくて、オレと似て結局は力任せなところをオレほどよく知覚している人間なんてそうそういないってのに。堪えていたため息もついには大きな悲嘆となって零れ出た。なんでオレなんだよ。ほぼ無意識にそう呟けばフレンの奴は真顔のまま言葉を紡ぐ。
「君だからだ、わかってるだろう」
「わかんねえし答えになってねえよ」
「……君が隣にいることがいい時も悪い時もどちらもあったけれど、結局最後には僕は君の姿を探している。大した理由はないのかもしれない。理屈で表すには僕らは長く共に居すぎたよ」
「……何だよ、告白かなんかか?」
「……そうだな、そうかもしれない。理屈を抜いたときに一番明快な答えといえばこれかな。君が好きだ」
思わず面食らう。正直そこまで直球で来るとは思っていなかった。感情の行き場に困り、ハハハと意味もなく笑う。目の前の幼馴染はぴくりとも笑わない。笑えよバーカ。
「好きだから共に在りたいんだ。おかしいかい」
「は、はは。熱烈だな、おい」
「君はどう思ってる?」
勢いの止まらない騎士様はそのままオレに無茶振りをしてきた。言えってか?この状況で。もはや乾いた笑いを抑えることができない。ここでオレも好きだなんて返してこいつに連れられて天国に行ってハッピーエンド、なんてとんだお笑い種だと思わねえか。こんなとこまで来たが、場所が代わったところで本当のことなんか言えるわけがない。いやここまで来たからなおさらだ。……もうこいつにもそのへんバレてる気はしないでもないが。
「悪ぃが返事は無しだ」
その暗闇でもお構いなしに輝く青から目を逸らしつつフレンにそう返す。そしたらあいつはその答えも予測していた、という態度で間髪入れずに口を動かした。
「じゃあ返事を聞くまで追いかけるよ」
君の気持ちなんて関係ない、と言わんばかりの視線だった。矢のようにオレの網膜に飛んで、思いきり刺さる。そりゃそうだ、理屈のなくなったこいつなんか化物みたいなもんだ。今度は心から面白くなってきて、大口開けて笑ったらようやくあいつも笑った。ほの明く光る一番星、こんなとこには冗談みてえに不釣り合いなのに。バカだよなあ、お前。
「なあ。どこまで追いかけて来る気だよ」
「もちろん、地獄の果てまで!」
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