だってだって、好きだったんだ。ウェーブのかかった薄茶色の髪も少しだけ下がった眉もいつも優しく笑ってる黒い瞳もすっとした鼻筋もリップの艶に引き立てられた小さくて可愛い唇も。明るく楽しそうに振る舞ってて、たまに変な誤解されやすいけど人知れず誰よりも頑張ってるとこなんかは一番好きだった。気丈な人で、でもすげえ優しくて。俺の憧れだったんだ。あの人がかけてくれた言葉のおかげで、俺は今までここで過ごしてこれた。憧れだったし恩人だったし、なにより本当に、本当に好きだったんだ、先輩が。なのに、なのになんでさあ、なんであの人が死ななきゃなんなかったんだろ。わっかんねーよ、いくら考えてもこればっかりは。先輩がなにしたってんだよ。こんな生意気な後輩に優しくしてくれて、親にも近所の人にもいろいろ言われてたのに、顔に出さないでずっと頑張っててさ。あんないい人なかなかいねーよ。ほんと、なんでかなあ。なんでだろ。俺、告白もできなかったよ。どうせ告ってもふられてただろうけどさ、それでもやっぱしたかったなあ、告白。好きですって、言いたかったなあ。あーあ、強制失恋させられちった。

「泣くか?」

そう言って両手を広げるのは我らが相棒である。なんですかその手は。なんで男に胸を貸そうとするんですか相棒さん。いつもなら謹んでお断りしたいとこだよ。とこなんだけど、なんか今日は俺おかしいみたいでさ。うん、おとなしく借りちまってもいいですかね。10分ぐらいで解放するからさ。

「べつに一生でもいいけど」

何を言ってるのこの人は。そう思いながらもこいつの胸に顔埋める俺も何してんの。背中に回された腕の安心感に身を浸らせれば、自然と溢れ出る涙。先輩、小西先輩。好きでした、大好きでした。ウザくてすんません、でもやっぱり好きだったんです。俺こんなんですけど、先輩の分まで生きます。先輩殺した犯人、ぜったい見つけます。頼りないかもしんねーけど、空の上で見守っててください。こんなやつと仲良くしてくれてありがとうございました、大好きでした。


前書いたのとがっつりネタがかぶったうえにこれもう公式でやってた