ひゅうひゅうと風のように喉の奥が騒いでいた。頭から手から足から脇から、目からも汗が湧き出して、止まることを知らないそれは衣服にシミを作っていく。目の前がぼやけて仕方がなかった。拭っても拭っても汗は瞳に膜を張る。その水は涙なんて綺麗なイメージしかない単語を当てはめるのもおこがましいほどぐちゃぐちゃでどろどろで滑稽で、でも紛れもなく俺の涙だった。これを見る度に俺は自分のことが嫌いになっていく。泣くというのは、全てを出してしまうことだ。よかったこと嫌だったこと、それを全て出してしまうことだ。じゃああいつらのことも、かなでのことも、俺は全て忘れ去ろうとして、こうやって泣いているのかと思う。反吐が出た。
今日も俺は泣いた。早く消えたい。