やめろって、何回も言ってんのに。いやだの一点張りで動かす手を止めることなんて知らないこいつをさてどうしてくれようか。じゃれあいと言ってしまえばそうかも知れない。知れない、けどさ。なんとなくやらしい手つきに感づいてしまえば、笑うこともできなくなってくるわけで。テントと毛布の下に潜む砂利が間接的に背中に痛みを与えるような、こんな場所でこいつは何を考えてるんだ。固定された両手が解放される見込みはないし、体を捻って逃げようとすれば背中に僅かな痛みが走って逃れようにも逃れられない。助けを呼べばいいのかもしれないが、こんな男同士でくんずほぐれつしている場面、できるなら見られるのは避けたい。それに何より、ヘルプを叫ぶ必要性はあまり感じられなかった。どうしてかは、なぜか俺もわからない。