朝起きたら亜双義にのしかかられていたし、何ならぼくの股間のあたりに亜双義の顔があった。その手はすでに寝間着の内側をまさぐっていて、もう少しで褌へとたどり着きそうである。ぼくの目覚めに気付いた亜双義はこちらを見上げて「おはよう」と顔色一つ変えずに言った。
「……何を」
「朝の処理だ」
「……いや」
確かに下は元気な事になってしまっているが。何せ朝だし、まあ、健全ないつもの生理現象だが。何故亜双義は今日に限ってわざわざそこに着目したのだろうか。もしや昨日の夜、ぼくが途中で疲れて眠ってしまったことを怒っているのかしら。恐らくそうだろうな。
しかし、残念ながら今は別の問題がぼくの頭を占めていた。単純な話である、おなかがすいたのだ。性欲より食欲のほうが今は強い。ああ今すぐ漬物をおかずに米をかっ食らい味噌汁を啜りたいのだ。
「あの、亜双義」
「何だ」
しかし亜双義はもうやる気になってしまっているようだった。返答をしながらも視線は股間に一心に注がれていて、手は休むことを知らない。すでに褌の紐に指がかかってしまっているし、動きが止まることはもうないだろう。けれど、それでも、ぼくは朝飯が食べたいのだった。
「言いにくいんだけど、その」
「早く言え」
「……朝飯を先に食べないか」
は?という感じの顔がぼくに向けられた。怪訝が丸出しの状態でそこにある。予想通りの反応に心臓が縮こまる思いがした。
「この状況で、朝飯だと?」
「うん、まあ、非常に申し訳ないとは思うんだけど」


お題忘れた