あなたのその間の抜けた瞳が何を映しているのか俺は知っている。深淵の彼方、海底のさらに底、闇の中心部。あなたはそういうものをその瞳の中にうつしこんでいる。つまり何が映ってるかというと、何も映っていないということです。だってあなたは虚無なんだもの。見えるものに意味やなんて見いだすことはしないでしょう。そんなあなたの顔に貼り付けられている闇に、俺はよく映る。やあ、と片手をあげてこちらを見られるたび俺は闇にのまれている。恐ろしいけれど、逃げ道はない。俺は闇の中心部で、あなたに笑い返すしかないのだ。
ああ、暗闇に囚われ続けてすっかり目も慣れてきた。足立さんの闇に世界が映っている。それをみて俺はあなたの闇といっても過言ではないのかもしれないと思った。だってここはこんなにも居心地が良いのだから。


お題:闇の私