大逆裁(ほぼ龍アソ)

「成歩堂っていいヤツだよな。話しやすいし」そう言ってあの亜双義一真に話しかけてみた。コイツらは学内でも仲が良いと有名なのである。亜双義は俺の言葉を聞くと、暫く無言で俺の目を見た。その目、少し怖い。「…ああ。気持ちの良い男だろう、オレの相棒は」俺は大層驚いた。まさか牽制されるとは。
(お題:とっちゃ、やだ)

「ぼくにもついに恋人が出来たっていうのにさ」会話の流れで唐突にそんな事実を告げられる。一瞬、目の前が赤く光った。細胞が弾けたかのような色だ。気づけばオレは立ち止まっていた。まさかここまで唐突に拐われるとは。心臓のあたりに冷えた風が吹いた。「…あの、亜双義?…ええと、ゴメン、その、
(お題:嘘、だったりして)

親友はずいぶん意固地なようで、数十年が経った今でさえ一度も夢に出てきたことはなかった。今日こそはどうだろう、いや明日こそは。多くは望まない、ただ久々に顔が見たいだけなのだ。すっかり褪せた写真を手に、ぼくは朝を迎える。おまえはどんな顔をして笑うのだったか、絶対に忘れたくはないのに。
(お題:夢であえたら)

指先から一筋の光が伝い、離れていく。あの裁判で凛々しく真実を指し示していた亜双義の指はぼくの唾液で濡れていた。てらてらとぬめるそれからどうにも目が離せない。まだ、爪の間の味すら知らないのに。「…何だ」「その、…もう少しだけ」言うと、亜双義は意地悪く微笑んだ。「赤ん坊か、キサマは」
(お題:未練たらしい)

悠仁「君と成歩堂くんは非常に仲が良いのですね」亜双義「ああ…そうですね。友人以上の存在として見ています。気さくな男なのですぐ誰とでも仲良くなるのが少々心配で、奴が女であれば今すぐにでもオレの子を孕ませて永遠に傍においておけるものを、と何度考えたか知れません」悠仁「???????」

透明な空気はいつもぼくらの間に横たわっていて、それは会話などすべて奪うに等しい、耐え難いほど便利でいっそ尊いとさえ定義できるものだった。ぼくはおまえの視線を噛み砕いたし、おまえはぼくの視線を考慮していた。夢のような関係だったな。たまに見える影のことなど、些末な誤差だと考えていた。

「ねえホームズくん、人は死んだらどこへ行くの?」アイリスの眼差しは真っ直ぐにボクを突き刺している。瞳に濁りは一つも見られず、表情は穏やか、動作も緩慢だ。よってこれはただの無邪気。さて、前提として。嘘は絶対につけない。「どこにも行かないさ。死が人に授けるのは無のみだ」「ふうん」
(ホムアイ)


・その他

血と血と血と血と、あと血の匂い。生臭く、けれど腐ったこの世の終わりのような景色の中で、男が荒々しく舞っている。皆見ろ、あれがクラウスだ。神?とんでもない、あんなに楽しそうに拳を振るう神がいてたまるか。化物?……とんでもない!あんなに可愛い化物、世界のどこにも居やしない!
(BBB/ステクラ)

「だいじょーび!」美幸は迫り来るトラックを背に、そう言ってこちらに向かって無邪気に微笑んだ。神社に詣でた帰り道の事だった。もし本当に神がいるのならば、僕は神を殺さなければならない。それができるだろうか、果たして。……出来ないかもしれない。美幸の体を影が覆う。「美幸、頑丈だからあ!」
(ときメモ2/美幸)

マザーファッカー飲んで灰に煙を浴びせ続けてるこの男の姿をもし弟くんが見たら確実に卒倒するだろう。さっきからすれ違う女の香水の臭いに眉をしかめている。「おい室長様、今日は機嫌いいねえ」「死ね」これがコイツの本質なのだ。穏やかに笑みを浮かべる『兄さん』などどこにもいない。俺は笑った。
(TOX2/ユリリド)