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ユリルド(TOX2)

モテモテスーツ分史
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「あなたは私の初恋の女性に、本当によく似ている」
慌てて掴まれた腕にかけられる力は女のそれを握るにしては強かった。しかし正体がバレている様子はないので、きっと簡単な配慮が出来ないくらいに兄は焦っているのだ。俺を懸命に引き留める姿に違和感を拭えない。いつだって笑って見送ってくれたじゃないか、どんな世界でだってあなたは善き兄の筈なのに。焦る目が一心に俺を見つめていた。俺は受け流そうと躍起になっている。
初恋の人と聞いた瞬間にすべて合点がいくくらいには俺はもう無知ではなかった。でもそれじゃあ、あの六文字さえあれば彼は俺の兄ではなくなるのか。黒く塗り潰された小さい頃の思い出の中で、顔の見えない母は確かに俺に微笑んでいる。それでもクラウディアは、……クラウディアが、もう俺にとって人物ではなくなってしまった。どの世界の中でも一等強く響く呪いの言葉だ。
「……また会っていただけませんか」

クルスニク兄弟未完(TOX2)

まだそんなに仲良くない期
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「お前は朝が弱いのか」
「…! ご、ごめんなさい」
「ああ、いや、謝らなくても…いい。いいが」
「…?」
「遅刻なんかは、普段よく…しているのか?」
「……た、たまにだけど、……何回か」
「そう、か」
委縮する弟の旋毛を見下ろしながら、自分は弟のことを何も見ていなかったという事実に改めて責め立てられた。いつも俺は朝、弟の目覚めなんて待たずに出勤している。だから日々の弟の遅刻はおろか起床時間さえあやふやという体たらくだ。ルドガーは今までずっと一人で朝を迎え、時に寝過ごしてしまっていたのだろう。どれだけ寂しく心細かったか。まだ幼いこの子を起こしてあげられる家族は俺しかいないのに、俺はその役割を放棄していた。最低だ。
「ルドガー」
「ご、ごめんなさい!こんなこともできなくて…」
「…いや、怒ってるんじゃないんだ。ただ、その」
「……?」
「これからは、朝は俺が、起こしに…」
そこで、はたと言葉が詰まった。「これからは朝は俺が起こしに行ってやる」。俺は今からそう告げようとしていたわけではあるが、「行ってやる」という言葉にルドガー殊更委縮してしまう可能性はないだろうか?…大いに有り得る。そんなことはいいと拒否されてしまいそうだ。では言い方を変えてみるとして、どう言えば気を遣わせずに承諾に持ち込めるのか?「行ってやってもいい」…駄目だ悪化した。「行ってやろうか」…無難か?しかしさっきと大して変わりがない気がする。ここはもう少し強引でもいいのではないか。
「…兄さん?」
俺の沈黙の長さを不可解に思ったのか、ルドガーが不安気にこちらの様子を窺った。また怯えさせてしまったのか、俺は。これ以上の沈黙はタブーだ。早く安心させてやりたくて、ついに頭に浮かんだ言葉をそのまま形にした。
「これからは俺が起こしに行く」
「…えっ」
言ってしまった。よりにもよってなんて横暴な台詞なんだ。まるでルドガーに選択権はないと言っているようじゃないか。現にルドガーは眉を下げ、困惑を露わにしている。服の裾を掴む力は弱くはなさそうだった。本当に何をしているんだ、俺は」
「いやなら断ってもいいんだぞ」
「い、いやじゃない!ちっともいやじゃない、けど」
「…けど?」
「その、迷惑なんじゃ…」

ジュルド未完(TOX2)

ルドガーエンド後
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「まるでドラマだな」
湖がぼやりと映し出すのは悲しいくらいにきれいな夕焼けだった。僕は僕としての愛をそこに見出すことすらままならないまま、彼のすっかりくすんだ緑を見つめ続けている。なにもこんなところで僕とこんな話をしなくてもいいじゃないか。当てつけのようなものなんだろうか。…最近僕の心もすっかり汚れてしまったと思う。
「ラルが妊娠した。子供の名前はエルにするつもりだ」
先月ルドガーはついにヴィクトルの名を背負ってしまった。繰り返さないって約束して、と何度も僕らは言った。今になって考えると、そうしている時点で僕らはすでにある程度の事態を予測していたのかもしれない。ラルさんは今買い物のために出掛けているんだそうだ。ついていかずに僕を優先している彼にもひどく腹が立つ。僕の愛はべつに、かつての影へ成り変わったわけではない。今でも彼が好きだ。だからいつまでたっても切り離してくれなかった彼を素直に尊敬できない。迷って傷ついて後悔して、気が付けば僕らは後戻りできないほどこんがらがってしまった。ばかばかしいと誰かに笑ってほしい。
「どうすればいいの」
もはや笑いさえこみ上げてきて、すこし口元を歪めながら僕は彼に問いかける。

ルドジュ(TOX2)

現パロっぽい
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「楽しいね」
そう言ってジュードは手に持ったわたがしを軽く振って俺に笑った。眼前に立ち並ぶ屋台の灯りが、ジュードの着ている藍色の浴衣に光を差しているようだ。浮かれすぎて買ったお面を頭につけて横を歩く自分はどう考えても不釣り合いなんだろうなあ、なんて考えてしまう。いや、この光に似合うやつなんて、この世に存在するのだろうか?ふと屋台からいか焼きや焼きそばの香ばしい匂いが漂ってくる。
「食べたいものとかないのか?」
「あはは、もういっぱい食べてるからじゅうぶんだよ」
そういえば、ジュードはさっきたこ焼きやからあげなんかを食べていたっけな。綿菓子も今食べているし。俺がジュードを見ているだけで胸がつかえて物をひとつも口にしていないだけだ。今もそんなに腹が空いているわけではない。
道行く女の子が、きゃあきゃあと楽しげに笑いながら通り過ぎていく。その中の一人が、もうすぐ花火だよ、と大きな声で友達に知らせていた。
「もうすぐ花火だって」
ジュードも聞いていたらしい。俺を振り返って微笑むその目が煌めいている。その際裾を軽く引っ張られて、心の奥がきゅんと鳴いた。こんな些細なことを一生の思い出にしようとする俺のことを、ジュードは気持ち悪いと思うだろうか。

花火が見えやすい場所を探してふらふらと歩きまわった結果、ちょうどよく空が見える丘のような小高い場所にたどりついた。いわゆる穴場というやつなのか、人は周囲に見当たらない。よく漫画なんかで見るシチュエーションそのもので、否が応にも隣を意識してしまう。けれど、ジュードは俺なんかより花火のほうを意識しているようで、空ばかりを熱心に見つめていた。当たり前の話だ。
夏祭りに行こう、電話越しにそう切り出すのに10分かかった。返ってきたのは柔らかい快諾で、思わず大きくガッツポーズを決めた俺を兄は戸惑いながら見ていた。どうしてこんなにジュードを想うのか自分でもわからない。前世から好きだったんじゃないかなんて、そんなおぼろげな始点さえ持ち出しそうになるほどに。
「ジュード」
「うん?」
「俺さ」
ジュードが不思議そうにこっちを見ている。自分でも何を言おうとしているのかはよくわからなかったが、何か重大なことを言葉にしそうになっていた。それを表に出そうと口を開いた瞬間、ぱっと周りが明るくなった。
「あっ」
小さく声をあげたジュードが俺から目を離し、前を向く。花火が始まったようだ。俺もジュードに合わせて前を向き、空にひらく花を見る。きれいに美を飾るそれと、少し遅れて体を響かせる音。ああ、終わるんだな、夏祭り。そう強く実感する。胸に去来するぐちゃぐちゃとした感情の波に押し潰されそうになった。拳を握りしめ、そろりと隣に目を向ける。子供みたいに口を開けて花火にくぎ付けになるその横顔が永遠に傍にあればと、どこかの神に祈った。
「楽しいな」
そう言うと、ジュードはこっちを向いて笑ってくれた。ああ、夏が終わった。


ばっくなんばーさんのわたがしってルドジュじゃん!!と思っていたらいつのまにかこんなものを書いてしまっていた

ユリルド未完(TOX2)

触れた瞬間のそれは、想像よりは少し控えめな弾力をもって俺の親指の腹を押し返した。分厚さなんかも、思っていた以上に薄い。形を探るように柔く撫でると、薄桃色が発せられる言葉に合わせて小さく動いた。
「な、…何してるんだ?」
ルドガーの表情はまさに困惑の極みともいえるものだった。恐る恐るという風に顎を引いて俺を見つめている。そうだな、不思議だろうさ。
「お前の唇を触ってる」
事実確認の言葉を告げると、目前の緑はまたさらに深い色を滲ませた。柔らかい感触が指に吸いついてくる。すこし開かれた口元から覗く赤に、何か体の奥が痒くなる思いをした。
「いや、なんでこんなこと…」
下唇が固定されていて喋りにくいのか、微妙に舌っ足らずじみて発せられる言葉が耳に響いてくる。ルドガーはそれが嫌なようで、だんだんと眉間に皺を寄せてきている。その様子を観察するのも楽しく、つい返事を先送りにしてしまった。すると、確実に不機嫌になったルドガーが今度は俺を睨みつけてくる。そろそろまずいと頭では思ったが、この感触からすぐに離れようとはどうしても考えられない。
「…楽しそうだな」
「ああ、それはもう」
「なんだそれ…」


ルドガーのプニプニというほどでもない唇をふにふにし隊隊員001の兄さん

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