主足未完(P4)

拝啓 足立透様
前略
暑さも増してきましたこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。ますますご健勝のことと思います。
あなたがいなくなり幾らかの季節が私の上を通り過ぎて行きましたが、私の胸中は相も変わらずあなたの去ってしまった冬を忘れきれぬまま吹雪が吹き荒んでいます。あの冬はそこまでの豪雪ではありませんでしたっけ。まあ、そんなことはどうでも良いのです。あなたという一等に近接的な存在が欠如した悪夢のような12月の夜から、私は私を責め立てるような孤独感に苛まれつづけています。素晴らしくクソのように一人であるのです。

夏アキ未完(つり球)

「なあ」

と、釣り竿をゆたりと手にしている右隣の男子高校生は言った。まっすぐに海面を見据える瞳は今日も揺らぐことがない。大した慣れか、愚かしい怖いもの知らずか。知る由もないが、無知とは時に武器だなんてこいつらを眺めていると時折思えてくる。潮の香りが鼻腔をくすぐるのとともにふわりふわりと踊るそいつの髪は、見ているだけでうっとおしくなるくらいわさわさと揺れていた。こいつ髪切らないんだろうか、などと特にどうというわけでもない感想を抱きつつ、なんだと返事をしてみせる。ずいぶんレスポンスが遅れてしまったかもしれない。しかし奴はそんなことなんてまるで気にしていないようすで、海の青を見やりながら言葉をゆるく紡いだ。

「俺、おまえと釣りするの好きだよ」

この突然の好意的な発言にはさすがの俺も少々面食らってしまった。こいつはこんなことを言うキャラだっただろうか。

昴海未完(ロボノ)

「俺、セックスできないんだよね」

僕の一世一代の告白を受けた彼はそんなことを口にして、半笑いを浮かべながらひとつの恋を終わらせようと目論んでいた。ごめんね、という言葉の形に沿って彼の双眸は三日月を為している。ちなみにセックスができない理由は言えないらしいが、少なくとも彼にとってそれは死活問題に匹敵するほどのタブーである、と、今し方本人が説明していた。そして僕なのだが、僕は今、とんでもない苛立ちを覚えている最中だ。頭をかきむしりたくなる。八汐先輩、あなたやっぱりゲームの腕以外のありとあらゆるものがポンコツな人格破綻者ですよ。あなたは何もわかろうとしていない。いつも裏側のみを読み取ろうとして、つるりとした表面を見つめようとしないのだ。ふざけないでくださいという言葉を怒りで震えた声に乗せる。いつの間にか両手で拳を作っていたせいで握りしめられた手のひらに爪が食い込んでいるが、そんなこと今は実に取るに足らない瑣末だ。だからごめんって言ってるじゃない、などと普段通りヘラヘラしながら返してくる先輩を前に怒りは沸々と募っていくばかりで、思わずきっと彼を睨んだ。すると彼は先程以上に馬鹿にしたような笑みを顔に貼り付けて、しかし目は絶対に逸らそうとはしない。前にもこんなことがあったな、なんてぼんやりと考えたりもしたが、今回の結末は前とは違っていた。先輩のほうが先に目を逸らしたのだ。

小ネタ詰め

「俺とマカロンどっちが好き!?ねえ俺とマカロンどっちが好き!?俺だよね!?俺なんだよね!?」「マカロン」「っっだよくそ!!!」「? 君はあの神の供物が嫌いなのか?」「死体蹴り!!死体蹴りかちくしょう!!!あっでも小首傾げてる澤田さん超かわいい!!天使かよ!!!」
(澤海澤)

「ジョ↑〜〜〜ジョ↓〜〜〜!!好きって10回言っ「肘」
(ジョナディオ)

「綯さんは定期的に連絡しないと俺のことすぐ忘れちゃいそうだから」久々に繋がれた回線の向こうで海翔くんはそんなことを呟いた。それを聞いてなんだか私は悲しくなってしまう。ねえ海翔くん、忘れてしまうのはきっと私の方じゃありませんよ。そう思いながら、表面上は適当に笑っておいた。
(カイ綯)

アキちゃん「もう完全に詰んでるねー。チェックアウトでしょ」カイくん「ご宿泊ありがとうございました」
(カイアキ/コピペネタ)

俺昔足立さんに弁当作ってたことあるじゃないですか。そのとき俺、弁当の中に硬いレンコン入れましたよね?あなたあれ嫌いだったんですか。レンコン食べたとき足立さん珍しく自分のことを話し出したから、好きなんだと思って毎回入れちゃいましたよ。バカですね俺。
(PS2版番長×P4G足立)

冬の釣りもいいものだと夏樹が言った。街灯だけがちらちらと世界を照らすだんまりの夜に雪まで相俟って、脆弱さえすぐ隣にいるように思える。釣り竿を知りたての愛に似せて撫で、幸せだなあって胸のなかでぽつりと零したら夏樹も幸せだなって呟いた。こんなに幸せでいいのかなって思った。
(ユキ夏)

「ねえぼくのこと好き?ねえ好き?ねえ、ディオ?好きなんだろう?ねえ、だって好きじゃなきゃおかしいもんね?」「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ねよ、死ねよ馬鹿!なんで死なないんだなんで、死ね!早く死ね!」「でもぼくが死んだらきみ泣くだろう」「ぼくは、泣かない!死ね!死んじまえよ!」
(ジョナディオ)

「む〜っちゃん」「なあにぃ」「なんでもね」「あ、そうなの」「……」「……」「…付き合いたてのカップルみたいなことやらないでくれる?」「ぶはは」
(ムッタとヒビト)

「狛枝、俺はお前のことを愛してるんだ。お前もそうなんだろ、なあそうなんだろ?そうなんだよな?なら愛してるって言えよ、なんでさっきから黙ってるんだよ!お前のことを愛してるんだよ!俺にはお前だけなんだよ!なあ!返事ぐらいしろよ狛枝!」「日向くん、それモノクマパネルだよ、」
(日狛と七海)

「なあ狛枝、そんな怯えたような顔するなよ。俺はただお前のことを想ってお前をここに連れてきたんだ。お前のことを想うから俺はこんな話をしてるんだぞ。狛枝、俺にはお前しかいないんだ。逆に言えば俺はただ一人お前っていう絶対を見つけられたんだ。お前を誰より想ってるんだよ。…返事、しろよ」
(日狛)

「ああ、ああ、ああ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴らしいよ!素晴ら」かちっ。リセットボタンを押した。俺はまた俺の狛枝を殺したのだ。
(日狛/バグ枝)

「あなたという理由なしに生きるのはあまりにも怖い、うう、俺にはむりです」「そうかい?」「はい」「…そうかい」
(主足)

「何回目?」「数えるの忘れてました」そう言って彼は見たことがないくらい瑞々しく、純粋に笑った。こんな風に透き通る彼を見たのはいつぶりだろう。思い出せないくらいの遠い昔であることに違いはない。花びらに取り巻かれた彼は、悔しいけどきれいだった。
(主足)

花村「なんでラーメン屋入ったらいっつも店員さん射っ精ええええええええいって言うんだ?」番長「やんっ、(店に)入ってくるぅ…(お客さん)いっぱい入って来ちゃうよぉっ…!!アッ言っちゃう!言っちゃう!!言っちゃうよぉぉぉぉ射っ精ええええええええい!!!」花村「あぁ」
(主人公と花村/一部スレタイより拝借)

ちっちゃい頃からずっと一緒だったもんな、たぶん俺は他の誰にも負けないくらいこいつをよく知っていると思う。でもこいつの不思議な魅力ったら底無しでとどまることを知らないから、俺は死ぬまでこいつの虜なんだろうなって確信があった。ああ今日も明日もおまえを愛してる!
(夏樹と釣り)

「昔みたいにえりちゃんて呼んでいいんだよ夏樹」「呼んでねーよ」「えー忘れたの?呼んでたって絶対」「それならおまえも昔俺のことなっちゃんて呼んでたのに今夏樹じゃねーか」「え?そんな呼び方してたっけ?」「おまえも忘れてんのかよ!」
(夏樹とえり香/昔はこんな風に呼びあってたらかわいいなって話)

ぼくが恐れているものの中に、ディオのまつ毛が含まれている。変に艶めいたその凶器にもう何度時間を止められたかわからない。ぼくはあれにずっと怯えているのだ。今日も彼のまつ毛は無遠慮にぼくを指し、時はまた止まるのだろう。刺し貫かれるのもきっとそう遠くはない。
(ジョナディオ/君のまつ毛)

正直おまえはおれのこと好きなんだと思ってた、とか阿呆らしいことおまえは言うがな、実際のところ大当たりなんだよスカタン。さて花丸をやりたいところだが、如何せんおれは今この墓の中にいる。その濡れた頬にキスしてやることも永遠に叶いやしないのだ。ああもう泣くな馬鹿。
(ジョセシー/平行線)

最後の2つは診断メーカーさん(ttp://shindanmaker.com/154869)よりお題お借りしました
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