「…かえるなよ」僕は宇宙人、宇宙人なの。だから早く星にかえらなくちゃいけない。僕らがかえるための魚は釣りあげたし、もうここにいちゃいけないってココが言ってた。僕ははやく魚と星にかえらなくちゃ、かえらなくちゃ、いけない。いけないのに。ユキは僕の手をぎゅってした。かえれないよ。
(ユキハル/少年引力)

ハルは突然いなくなってしまった。けど、ハルの残していったものに囲まれて暮らす俺は間違いなく幸せであったのだ。なあんて。うそだよハル。
(ユキとハル/消える)

俺の好きなあのこはいつか宇宙に帰っちゃうのだ。悲しくて泣いてたらあのこが俺の前に来て目から水がでるなんてすごいと笑った。「ユキが水だしてくれるなら、ユキの傍にいれば僕生きてけるね」そう言ったあのこの笑顔はすてきに綺麗だった。なあ俺おまえがすきだよ。きもちわるいかなあ。
(ユキハル)

実は俺足立さんのことそんなに好きじゃなかったんです。ただ傍にいたくて、傍にいてほしかっただけなんです。恋によく似ていたけど違いましたよ、ねえ足立さん大嫌い。そう言うと彼は僕のほうが大嫌いだよって言って笑った。俺の足立さんへの大嫌いはちゃんと実ったのだ。
(主足)

ハルは宇宙に帰り俺は溺死から生還し釣りの名人になって第2の王子と呼ばれるようになり船に乗って毎日大勢の友達と魚を釣っていたのだが先日ついに俺の背よりもでかい魚を釣ったのでハルに見せようと写真をとったがハルはもういないのだった。日々は徒然だ。
(ユキとハル/ズッ友だょ…!)

後に棺の中で聞いた話なのだが、俺は足立さんのことが好きだったらしい。
(埋葬系主足)

「あなたと見る月は綺麗ですねって言いたいのに、あなたといると月が見えないんです」なんでだろうと呟き涙ぐむクソガキを眺め、勉強のできるバカとはこういうののことだなと俺は思った。いたって単純な話さ、おまえが俺と月を見ても綺麗だと感じないってだけのね。君は僕を愛してなんていないよ。
(主足)

晶馬くんは自分がきらいなわたしだって好きだと言ってくれたけど、私は晶馬くんがきらいな晶馬くんを好きになるほどひねくれてるわけでもないのだ。好きなひとの好きなものは好きになりたいし、好きなひとの嫌いなものはたとえ好きでも素直にそうだとは言えなくなるわ。ゆりさんが言っていた。
(晶苹)

もの言わぬお前の顔が恐ろしげに美しく、ワシは自らの拳を一瞥し足を竦ませた。月が消えた、と思った。太陽と呼ばれるワシはつかず離れずのままただそこにあらねばならなかった月を消したのだった。話す口を取り上げられたただの人間に抱いた思考は一つのみ。「お前は、美しいなあ…」
(家三/死んだ)