「じゃあフレン君。この振り子じーっと見ててみ?絶対目ぇ離さないでね」
コインの穴に紐を通して、シュヴァーン、……レイヴンさんは僕にそう囁く。それは彼の手に合わせて左右に一定のリズムで振れ始めた。催眠術、というのだそうだ。相手の意識レベルの深くに訴えかける術、しかし魔術ではないらしい。
「俺様は誰だと思う?」
「レイヴンさん、です」
「正解!ちょっと簡単すぎた?」
ははは、とレイヴンさんは楽しげに笑う。振り子はまだ揺れ動いているので僕はそこから目を離さない。「じゃあ次の質問」と彼は呟く。
「私は?」