未プレイ時に書いたもの
現パロ
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爪を噛む彼の姿は、まるでひまわりの種をかじるハムスターのようだ、と毎回思う。手慣れた様子でかりかりかりかり、小動物のように自らの爪を噛む彼の姿は、小動物というより猫のような普段の立ち振る舞いとのギャップもあってか正直可愛かった。私の隣でソファーにもたれかかって大学の課題プリントに熱い視線を送っているルシフェル。考え事をするときに爪を噛むのは、彼の癖だ。

「ルシフェル、また爪を噛んでるぞ」

もっと見ていたいと思ってしまうが、それじゃあ彼のせっかくの綺麗な爪がぼろぼろになってしまう。私もそれは悲しいから、最近はルシフェルがこうやって爪を噛みだしたら注意をするよう二人で約束していた。彼は歯の動きを止めて、視線をプリントから私に移す。

「ろっとぉ、またやってしまっていたか。ありがとう、イーノック」

集中しているとどうしてもやってしまうな、と言って彼は眉を下げる。

「癖というのはなかなか直らないからな。仕方ない」

私だって、未だにストローを噛む癖が直っていない。だからもしストローを噛んでいたら注意してもらえるようルシフェルに頼んでいる。噛み癖についてはお互い様だった。
彼は柔らかく微笑んで、またプリントに目を向けた。私もテストが近いし勉強しようと横に置いてあった鞄からノートを取り出す。それを机に広げて復習を始めれば、部屋には静寂が訪れた。今この空間には、チクタクという時計が動く音と、シャープペンシルが紙に文字を綴る微量な音と、かりかりという音しか存在しない。…ん?かりかり?
横目でルシフェルを見やる。彼は深刻そうに眉間にしわを寄せて、親指の爪を噛み始めていた。

「ルシフェル!噛んでる!」
「ん?…あ」