真夜中、傍らに置いたスマホがブブブと振動した。浅い眠りから覚め、スマホを手に取り電源ボタンを押す。脇で眠っていたモルガナもスマホの明かりで起きてしまったようだった。
「何だよ、こんな夜中に」
確認するとチャットが一件入っている。明日どこかに行こうという、ストレートに言えばデートの誘いだった。明日は確か誰との約束もなかったはず、と了承の旨の文字を打つ。いざ送信というところで急にモルガナが勢いよく起き上がった。
「は!?オマエ忘れてんのか!」
「えっ、何が」
「明日はワガハイのブラッシングをするって前から言ってただろーが!」
毛を逆立てるモルガナを前に必死で記憶を探る。そういえばこの前、寝る直前にそんなことを言われたような気がする。あの日はジムに行った後で疲れから倒れるように眠ってしまったのであまり覚えていなかった。
「ごめん、約束してたな。……覚えてないけど」
「覚えとけよ!」
べしんと叩かれたが痛くはなかった。そういえばモルガナに爪を立てられたことってないな、優しいな。