見切り発車で決めた覚悟は空振って宙に霧散した。集めようと手を伸ばしたって水蒸気に成り変わったそれに触れられるわけもなく。しょせんそれだけの覚悟だったらしい。湿った手のひらは確かにさっきまで水をたゆたわせていたことを証明しているのに、少し温もりをプラスしてしまえば大気に還ってしまったのだ。ボクの涙は。ボクの決意は空気に消えた。もうやめとこう、ここで終わりにしようぜ、にいちゃん。胸の中のアツヤが鼓膜を揺らす。そうだね、いい提案だねアツヤ。それもいいかもしれないね。でもねアツヤ、ボクはバッドエンドが怖いんだ。