「疲れたでしょう」

今回のヒーローランキングが発表されてから初めて、折紙くんと言葉を交わす今日。トレーニングルームに響いた彼の第一声は、私がかけられるだろうと想像していた台詞とは少し違っていた。残念でしたね、とか、そういう言葉が降ってくるのだとばかり思っていたのに。折紙くんはまず最初に、私を労ったのだ。

「さすがのあなたでも、キングオブヒーローの称号は重いものだったでしょう」

折紙くんはゆっくりと私に語りかける。優しい視線が風のように私を包んだ。まさか、そんなことを言われるだなんて。市民や上司、周りの人たちは皆私に慰めの言葉を発したというのに、君は辛かっただろうと私に問う。いいや、折紙くん、しかしね、辛くなんてなかったさ。確かにほんの少しくらいは、重かったかもしれないけれど。バーナビーくんに譲り渡したあの称号に対して、私は誇りを感じていたぐらいなんだ。