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空シス(TB)

ああ私は今から死ぬのか。身体が派手に破壊されて、感覚が一瞬で絶える。私の体を裂いたのはあの人間、いつも公園に来る彼だった。容姿が違っていたけれど、声音を照合したらぴたりと合致したから。あと、人間はこういうのを雰囲気っていうのかしら、取り巻くそれが彼そのものだったから、すぐにわかった。ねえヒーロー、名前も知らないヒーローのあなた。私の話を聞いてくれる?といっても、もう話せる口もないけれど。それでも言うわね。あのね、私はね、ずっとずっと、自分が嫌いで仕方なかったんだと思うの。誰かに壊してほしくて、でも私は壊すばかりで。だからあなたに破壊されることが、とても嬉しいのよ。あなたに感謝してもしきれないの。あなたのおかげで、私はいま愛さえも知ることができたのだから。アンドロイドにはもったいなさすぎる気持ちを私にたくさん教えてくれたあなたが、眩しくて愛おしいの。こんなにも満ち足りた想いを抱えたままこの空で果てるなんて、ああ、こんな気持ちを幸せって呼ぶのね。できることならもっとロマンチックなシチュエーションで手をつなぎたかったけれど、もうそこまでの贅沢は言わないわ。私、今で充分幸せだもの。ねえ、空色の瞳をしたあなた。せめて名前ぐらいは知っておきたかったわ。さようならヒーロー、そしてありがとう、私のヒーロー!
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