「愛してるよ」
降り落ちる金の価値をお前は考えたことがあるか?ないよなァ、だってお前の手元にそれはいつも散らばっていたんだから。お前は恵まれた環境で、金と共に育った男だ。欲しいものはなんんでも買ってもらったんだろ。時計だって犬だってなんだって、ばらばらばらばら降ってくる。おれの周りの金はいつも舞い上がってゆくばかりで、おれが跳びでもしなければ掴めやしないのに。つまりお前とぼくの価値観ってのは天と地ほど違うんだ。もちろん跳んだおれが天、ただそこにいるだけのお前が地だぜ。おれが天に立ったからにはもうお前に価値を降らせたりはしない。だからその言葉だってお前にとっては最大級の愛の表現なのかもしれないが、おれには道端の糞程度の価値しかないんだ。なにが愛だ、本当にお前はばかばかしいことしか言わないんだな。
「それをわざわざぼくに言ったってことは、ぼくに愛されたいってことかい」
「よくわからないけど、そうかもしれない」
「じゃあ君、金になってくれよ」
「え?」
「…いや、なんでもないさ」
おれは将来大金持ちになる。そのためにはたくさんの策略を練らなければならない。こんなやつに構っている暇も惜しいくらいに、時間がないのだ。ジョジョから奪った時計がかちかちと秒針を進めている。どうして人生は100年ぽっちしかないのだろう。こいつとくっちゃべっているだけで100年が終わったらどうしてくれるんだと、考えるだけで指先がかゆくなった。
「すまないけれどぼくは君のことをなんとも思っていないよ」
「…そうかい」