「僕、きっとユキより早く」
「ハル」
「きっとずっと早くにね、死ぬと思う」
「…やめろよ」
「…死んじゃうよ、ユキのこと置いてく」

それでもユキは僕と一緒にいるの、僕は嫌だよとハルは俺に言葉を遮られようと気丈に続けた。それを受けて俺は、ああやっぱり、ハルが好きだなと思った。器用なんかじゃないくせに俺にうそをつくことをハルはいつだってやめようとしない。初めて大嫌いだって言われた日のことを思い出す。ハルのうそは決まって俺の胸を抉り、しかし俺を守ろうと必死なのだ。