小ネタ詰め


・TOV

おっさんほんとはレイヴンじゃなくてシュヴァーンっていうのよお!というのも嘘なんだがね、本当の私などとうの昔に死んでいる。そうそう!シュヴァーンもレイヴンもみんな嘘!ほんとはどこにもいなくてえ、こうして酒を飲み飯を食らうのもままごとのような、「おっさんまたグチャグチャになってんぞ」
(レイヴン)

あなたの全てを愛する自信がありますと言い切った男はいっそ厚かましいくらい整った顔を歪めて笑った。その背中には太陽が輝いている。脅威じみた眩さに網膜は悲鳴を上げていた。「あなたを愛しています」愛だなんて言葉にすら光を与えようとするのが恐ろしい。……ダングレストの薄闇が恋しいわよ。
(フレレイ)

じゃフレンちゃんクイズね、俺様は誰でしょう。レイヴンって答えてくれるでしょ?ああもう即答してよね、迷うようじゃ俺様消えちゃうよ。それとも君は私の方が好きなのか?私に憧れていたんだろう。どちらを選んでもかまわない。君の選択したとおりの俺様になってあげるよ。…ねえ混乱してきたでしょ?
(フレレイ)

「あんたがオレの料理食い続けたらいつかあんたの体の中はオレの愛情でいっぱいになるだろ。そうしたらあんたはもう空っぽじゃなくなっちまうな。ほら食えよ、体ごと作り変えられて別の人間になるんだ。ぶっ飛ぶほどきもちいいぜ」「…なんか抱かれてる気分になるわー」「抱かれてるようなモンだろ」
(ユリレイ)

「君はずいぶんこの男に入れ込んでいるようだが、こいつは真実つまらない男だよ。こんな男に時間を割く必要は一秒たりともないのではないか?」肩を掴むオレの手を制止しながらおっさんはそう言った。「あんた死んだんじゃねーのか」「死人も蘇る時はある。よく知ってるだろう」
(ユリシュヴァ)

「肩こってねーか。揉んでやるよ」「背中流してやろうか」「どこにも行くなよ」これが俺がクレープを振る舞ってからのユーリの様子である。「良かったわねおじさま、ハートの狙い撃ち大成功よ」これはジュディスちゃんの言。嘆きつつ今日もクレープを作る俺。もう明日あたり抱かれるんじゃないかしら。
(ユリレイ)

それを食った瞬間あいつは数分間じっと動かなくなった。人体に有害なモンだとは誰も言ってなかったが、実はやばいモンだったのだろうか。目の前で手をひらひらと振りながらフレンを呼んでみる。そしたらあいつの目が急に据わり、ユーリ、とオレを呼んだ。「僕は君が好きだ」やっぱ不良品だろあのグミ。
(フレユリ/ユナイティアでラブグミ食べたフレン)

「あんま見るなよ」珍しく照れたような様子だったので驚いた。いくらユーリでもこういう場面では恥じらいを持つのか。「今なんか失礼なこと考えてたろ」「至極真っ当なことを考えてるよ」「嘘つけ。…しかしこりゃ、お前以外とは素面じゃできねーな」そう言ってユーリが笑う。喜んでいいのか、それは。
(フレユリ)

天使だなんてとんでもない、彼は魔王だ、それも大魔王!夜の闇に光って僕をみつめる。昔からずっと分かっていた。君は僕の人生のなかでいっとう輝く星だ、たとえ君が自分を二番星だと位置づけようとも。僕がそう思っているのを知っていて彼は笑う。そうして闇へ消えようとする。……君は魔王だよ。
(フレユリ)

フレン「ユーリと僕は二人で一つなんだ 彼が夜の闇の中にいるとき僕はそれを照らす光でなくちゃいけないんだ いつどんなときも彼が隣にいないことが僕は悲しいんだ(号泣大泥酔)」部下A「そうなんですか…(ユーリって誰?)」部下B「おつらいですね…(ユーリって誰??)」
(フレユリ)

「あなたのことを守るわ。命に換えても」何で?って訊いてんのにあいつは返事を返さなかった。あたしとあんたってそんなにたいそうな関係だったっけ?首を捻っているとジュディスはいつもどおりのいやに意味深そうなほほ笑みをあたしに向ける。「そういうふうに決められているの。理屈なんてないのよ」
(リタジュディ)

「ねえリタ。本当の本当にわたしにもリタにもすてきな伴侶が現れなかったら、子供を引き取ってふたりで育てましょう。どちらがおとうさんでもどちらがおかあさんでも構いません。リタならすてきな親になれると思うんです」絶対頷いてやらないけどこういう話する時のエステルの横顔は嫌いじゃない。
(エスリタ)

ソディア「隊長、髪をお切りになられたのですか?その、すごくお似合いです…!!」フレン「ははは、不覚にもワロタ」ソディア「ユーリローウェル!!!出てこい!!!貴様が隊長に2ちゃんを教えたことは分かっているんだぞ!!!!!!」
(コピペネタ)


・TOX2

「にいさん〜ぼく学校ですごい言葉おぼえたんだよ」「本当か!?すごいなルドガーは。ノーベル賞も獲れるぞお」「えっとねー、『深淵を覗くとき、落ちるとあぶないのだ』」「本当だなあ!!落ちるとあぶないなあ!!!お前は天才だ!!!!!!」
(ユリルド)

やめてくれよ嘘ばっかり、兄さんは死んでないよ、ほら今も俺の帰りを待ってる、早く帰ってメシ作らなきゃいけないんだ、ああもしかして兄さんもグルになって俺を騙してるのか?いや兄さんは俺に嘘なんてつかないよな、兄さんはいつも俺に本当のことを教えてくれた、なあ、お前ら知らないだろ、……
(ユリルド)

素晴らしき朝の燦々とした太陽の下に居る女性はあまりに美しく、聡明なふうを隠す気もなく怜悧に目を光らせていた。雷に打たれたように動けなくなる。俺は弟や部下の前では微笑みをぶらさげまともなふりをしているが、本質は無知で冷徹な男だ。それをあの目は暴くのではないかと、心底恐ろしくなった。
(ユリルド/モテモテスーツ分史)


・その他

「俺お前のこと好きかもしんねー」小生から借りた十万を握り締めた帝統はそう呟いてから玄関の扉を閉めた。それから連絡もなく数カ月、ある日札束を持って男は再びうちの引き戸を開けた。「倍にしてきたから返す。あとやっぱお前のこと好きだわ」「小生は心底嫌いですが」「えっマジで?」「…嘘です」
(ヒプマイ/帝幻)

「なあ、げんたろー」本当は『幻太郎』と記すべきだろうがこの男の放つ響きはそう表すのがいっとう的確だと思える。振り返ればその口が次に発する単語の形に開いていた。「か」「ねなら貸しませんよ」先手を打つとあからさまに残念そうな顔をする。登場人物として照らし合わせればあまりに単純すぎて描写のしがいがない男だ。しかし近頃は息抜きに彼を書く際がいちばん筆が乗るので、自分でも少し笑える。
(ヒプマイ/帝幻)

「どうか今夜はここにいてくれないか」「抜け殻になったお前のベッドを見るたび、毎朝胸が焼けるような心地がする」「どうか…私の戯言をお聞き入れください、陛下」あ、これわざと言ってる。そう思った。しかもこいつオレが気づくこと含めて言ってんだ。あんまりにらしくないから正直ちょっと笑えた。
(FF15/ノクイグ)

小ネタ詰め

・TOX2(ユリルド)

「昔、家に家政婦がいたのですが」「とても美しい女性でした。料理が上手く、控えめで、しかし気丈な人だった」あなたによく似ている、そう呟くと兄さんは俺を真っすぐに見つめてきた。さすがに見過ごせないほどの熱量で「あなたが欲しい」と伝えられている。

「紐を通して着る服なのですけど、一人ではうまく脱げなくて。手伝っていただけませんか」そう言って女は俺に背中を向けた。こんなに明朗とした女だっただろうか、記憶が曖昧だ。紐を外し服を脱がすと、女の腹には傷があった。…あの日俺が刺した箇所だ。「何を見ていらっしゃるんです?ユリウス様」
「また自殺したのか」「…昨日の夜また『ルドガー』を探し始めた。何とか寝かしつけたが、朝起きたらこうなっていた」液体窒素の煙が細々と瓶から立ち昇っている。生者の色をなくした肌に嵌め込まれた瞳が俺を見る。焦点は勿論合わない。「近頃ますます人間に近づいているな。危険な兆候だ」「…ああ」
(惑星ソラリスパロ)

「お前はガラスの家に住む勇気なんてないだろう」そう言ったら目の前の弟はただでさえ丸い瞳をより丸めて俺を見た。その後すぐに、子供のような顔で笑う。そうして緑の目を細めて笑うのだ。笑顔が母親によく似ている。俺にはきっとかけらも似ていない。それだけは救いだと思った。「カーテンがあるよ」
(シングルマンパロ)

あの女か、あの女はな、俺が殺した、どうした、なぜ怯える?なぜ逃げようとする?大丈夫だ、あの日のおかげだ、あれのおかげで俺たちはこうしていられるんだ、大丈夫だ、…なぜ振り返る、大丈夫だ、俺たちは自由だ、あの男もじきに殺してやる、大丈夫だ、振り返るな、俺の愛しいルドガー、大丈夫だ…
「すみません、私は 今まで格好つけていただけなんです。本当はこうして自分の意思で女性にアプローチをしたことがありません。不快でしたらどうかはっきりとそう言ってください」そう口にしたあと、兄さんは眉を下げて俺を見た。初めて出会ったときのルルのような顔をしている。…なあ、ずるくないか?


・ロボノ

「愛理ちゃん?なんでいるの」「ああ、そう」「優しいね」もうアキちゃんもミサ姉も君島コウもみんないなくなってしまった。地球に戻る意味なんてほぼないのかもしれないけど、それでもあそこには俺のすべてがある。「他のところに行ってもいいんだよ」「ばかだなあ」
(ウラシマ効果八汐)

「海翔くんおかえりなさい。今は西暦何年だと思います?なんと2119年です。海翔くんはウラシマ効果に巻き込まれてしまったんですよ。私はAIです。天王寺綯はもうとっくの昔に死んでます」「…あのね綯さん。今俺がいるとこ、壁にカレンダー貼られてるんだよね。設定雑だし」「あ、バレちゃいました?」
(海綯)

個人レッスンなんて言うから何されるのかと思ったら宇宙についてのお勉強会を開いてくれるだけらしい。…いや、変な期待はしてなかったけどね、勿論。「恒星が重力崩壊すると超新星爆発が起こるんです。そして中性子星になったとき、その質量が太陽の30倍以上あるとまた重力崩壊が進行します。そうして最後はブラックホールになるんですよ〜」 「へー。綯さんみたいだね」「それって褒めてます?」「褒めてますよ」
(海綯)


・FF15

「兄さんとはあんまりノクトの思い出話しないの。こうやってノクトの話するのはほんとに久々。私ね、ノクトのこと好きだったよ。たまにそのこと思い出したいの。どこを好きだと思ってたか、どういうとこが素敵だったか一生覚えてたいの。…わかってくれる?」わかるさ。……わからないものか。
(イグニスとイリス)

「オレは最後まで」言わずにすべては終わった。さえぎられた言葉は火の内に粉として消えた。見えたのだ、かんぺきな暗闇に確かに浮かぶ明かりが。
(ノクトとイグニス)

覚えているか?3歳のお前はオレの手を両のそれで、小さくてあたたかいふたつの手で握ったんだ。そのあと笑った。握られた手からはまぶしい光が産まれて、もうどれだけ夜が来ても消えることのない明かりがオレの体の中に灯った。不思議だと思った。魔法だと思った。生まれ落ちた意味と実感が、意識の裏側で透明に輝いた。
(ノクトとイグニス)

小ネタ詰め

お題お借りしました(shindanmaker.com/375517)

・銀英伝

「なんだい」「いや、こうして英雄のつむじを真上から眺めるのはなかなかに面白いと思いましてね」「上から見りゃみんな同じさ。英雄のつむじなんてものは存在しないよ」「しかし、英雄の幕僚のつむじは存在しますよ。残念ながら美女である・ベッドにいるという条件が揃わないと見られませんが」「そいつは残念だね」「ですが閣下であればもうひとつの条件を満たすことができます。独裁者となり、私に頭を垂れさせることです。閣下、私のつむじを見たくはありませんか?」「もし私が独裁者になって貴官に『そうしろ』と命令したら、その瞬間に英雄の幕僚のつむじは存在しなくなるだろうね」
(シェーンコップ+ヤン)

いえいえ決して閣下を馬鹿にするため笑っているわけではありませんとも。ただ英雄などと囃し立てられたはずの貴方が、こうしてあからさまに崇められることの何と似合わぬことだろうか!豪奢な額縁もきっと泣いているでしょうよ。さあ今すぐ飛び出してごらんなさい、小官が受け止めて差し上げましょう。
(シェーンコップ+ヤン)

ああ嫌なものを見た、これなら幽霊でも見るほうがマシだな。…なんて冗談を言っても誰も笑ってくれないし、あの男は私の宿らない『私』をいつまでも見ている。その表情ときたらもう、最悪の一言に尽きた。貴官は含み笑いをする表情筋しかないのかと思っていたよ。本当に、これだから戦争は嫌いなんだ。
(シェーンコップ+ヤン)

「おいで」暗闇の中で提督はぼくに手を伸ばす。表情は殆ど見えないけれど、その目の輪郭は僅かに光っていた。別人のようだ、と思う。彼は確かにヤン提督なのに、ぼくはその手を未だ取れずに立ち竦んでいる。細められた瞳に浮かぶのが安心なのか悲嘆なのか、それすらわからないことに絶望しそうだった。
(ヤンユリ)

「こうしてるとここが世界の全てのように思えるな」寒冷惑星でのキャンプの最中、提督がそう呟いた。肌寒い真っ暗な部屋と怪談話に花を咲かせる二人の男、これを世界と称するには足りないものが多い気がするけど。でも提督の顔には不満でなく充足が浮かんでいたので、ぼくは笑顔でそうですねと返した。
(お題:たった二人の世界/ヤンユリ)

「コーヒーのブラックの美味しさがわかったとき人は大人になるって昔父が言っていましたよ」貰い物のコーヒーをどう処理するか悩んでいたヤン提督にそう言うと、彼は眉を顰める。「だったら私は一生子供のままでいいよ。お前も子供のままでいなさい」そして次の言葉は勿論これだ。「ユリアン、紅茶を」
(お題:大人の定義/ヤンユリ)

「物理法則が狂っているんじゃないか、という気持ちに最近よくなるなあ。お前だけがどんどん成長していって、私はまったく変わらないままというふうに思える。ああ、取り残されることのなんと寂しいことか…」「提督、ご心配なく。提督もきちんと歳を重ねていますよ、残念ながら」
(ヤンユリ)

「でも、ちょっと変じゃないですか」「何がだい」「ぼくももう小さな子供じゃないのに、はぐれないように手を繋ぐだなんて」「この喧騒だよ、お前。こうでもしないと一瞬で見失う」「そうですけど…」それでも戸惑ってしまう。恐らく、小さな頃に父とこうして歩いたことを思い出してしまうからだろう。
(ヤンユリ/イゼ日記ネタ)

「永遠なんてどこにもないよユリアン、どんなものにも必ず終わりはあるんだ」人工の星々を見上げながらヤン提督は呟くようにぼくにそう言った。永遠がどこにもないということ自体は未熟者のぼくにも理解はできる。莫大で果ての見えない宇宙でさえ永遠には存在しないだろうし、そうなれば人類も永遠に繁栄することはないだろうし、歴史もいつかは停滞ではなく停止を迎えるだろう。でも、これらは「である」ではなく「だろう」の話だ。永遠はないという師父の断言の根拠は意外にも存在しない。そしてそれは今日、ぼくの中でより強固なものになった。
カリンが淹れてくれた紅茶には砂糖の代わりに塩が入っていて、噎せながら目にした焦げ茶色の水面には困り顔のぼくが映っている。そこで、かつて全く同じ事態を提督と繰り広げたことを思い出した。提督、もしかしたら永遠はあるのかも知れません。生意気な反論も今なら告げられる気がした。
(ヤン+ユリアン/お題元:大親友の彼女の俺さんには「永遠なんてない」で始まり、「今なら告げられる」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば3ツイート(420字程度)でお願いします。 shindanmaker.com )

「忘れ方を教えて欲しいものだね」「何のことですかな?」「女の顔だ。一晩は共にいたというのに、そうも簡単に忘れるものなのか?」先刻道端で起こった私と私の『客人』とのいざこざに対し、我が閣下は眉をひそめ苦笑する他のリアクションを取りあぐねている様子だった。呆れた様子を隠そうともせずにその目は冷ややかにこちらを見やる。「閣下はお忘れにはなりませんか」「まあ、忘れはしないだろうね。機会があればの話だが」「…女を排した独身生活というのは寂しいもんですなあ。どうです、今夜一杯」「なんだ唐突に。美女と飲んだほうが楽しいだろうに」「今日は上司と引っ掛けたい気分でしてね」
(シェーンコップ+ヤン)


・その他

「民のことを深く愛しています、それは決して揺るがない私の中の真実です。けれど、愛しているがゆえに……」「つらいの?」「……」「……あんた、眼鏡のレンズ白くなってるわよ。私のことちゃんと見えてる?」言うと、彼女は私の眼鏡をさっと取り上げました。曇ってしまっているレンズを一瞥して眉をしかめています。「こんなんじゃ周りのことも見えなくて当然よ。まあ雪国だから仕方ないけど。でも、曇っちゃったなら拭けばいいの」リーズレットは私のレンズを丁寧に拭くと、また私にそれをかけてくれました。「どう?私が見える?」「はい」「あんたは今、自分が一人だと思う?」「……いいえ」「そういうことよ。自分から一人になろうとしなくていいの。あんたの言う民だってあんたと同じ人間なんだから、頼れるものには頼りなさい」「あの、リーズレット……」「なに?」「あなたも我が一族の家宝になりませんか?」「……は?」
(DQ11/シャール×リーズレット)

小ネタ詰め(銀英伝)

「あんたの初恋って誰なの?まさかヤン提督じゃないわよね」紅茶を吹き出したぼくに彼女は汚いわよと呟く。君のせいだろ。「どうしたらそうなるんだ」「違うのね?」「違うよ」「じゃあいいの。もしそうだったら最悪だったわ。勝ち目がないもの」赤い顔で言うものだからぼくまで照れてしまった。
(ユリアンとカリン)

すべてを終え、妻に感謝も告げ、そしてようやくたどり着く。最果ての天上に、夢の終わりに、そして此処に。「ユリアン、帰ろうか」「紅茶を淹れてくれ。やっぱりお前のが一番だよ」はい、とぼくは返事をする。だってすべて終わったのだ。ああぼくは、ぼくはようやく!もう一度、あなたの傍に!
(ユリアンとヤン)

転がるボールを追いかけてくる孫の足音が聞こえる。向こうからはそれを静止する息子と娘の声、そして楽しげに笑うカリンの声が聞こえた。ふとフレデリカさんが昔言っていた『あの人』らしい亡くなり方についてを思い出した。提督、どうやらあれはぼくの未来図だったようです。…良いものですね。
(ユリアン)

「ここに居ましたか。あまりうろちょろせんでください」「何だシェーンコップ。まさか私を探していたのか?」「ここに着いていの一番に閣下の元へ馳せ参じましたよ」「そんなバカな。真っ先に会いに行きたい女性とか、君になら当然いると思っていたんだが」「意外ですかな?いや、分かりますとも。私自身でも意外なのですから。しかし天上で付いた自由の羽は私を閣下の元へ運んだわけです」「それはそれは。光栄と言うべきか奇妙というべきか」「口が悪いですな、閣下」「まあいい。久々に会えたことだし、積もる話も多いしな。…そうだシェーンコップ。ここではもう戦争もなければ軍隊もないのだから、敬語はもう取り払ってくれて構わないんだが。むしろ貴官…いや君、…あなたのほうが私より年上なんだから、私がそちらに敬語を使うべきだろう」「ああ、そりゃあ素晴らしいお心遣いですが、失礼ながらお断りさせていただきますよ。閣下にあなたなどと呼ばれると肌が粟立ちますものでね。どうか変わりない呼び名でお呼びください」「はは。貴官の減らず口に免じて了解するとしよう」
(ヤンとシェーンコップ)

「父さん、俺が望むのは今までの世界でもこれからの世界でもない。もっと別の、俺が作りあげる新しい世界だ」父親とあまりにもよく似た声が俺の鼓膜に降りかかる。それと同時に振り上げられたナイフは正確にこの心臓を貫いた。ああ今になって、ようやくお前は俺を裁くのか。遅いじゃないかロイエンタール!
(フェリミタロイ)

「遅すぎるぞ。もう何本ボトルを空けたか忘れてしまった」「疾風ウォルフの名もこれで返上だろうな」「気恥ずかしい渾名を捨てられて良かったじゃないか。さあグラスを持て」「乾杯の音頭はどうする?」「プロージットは戦争を思い出すからやめておこう。俺たちの戦争はもう終わった。グラスも割るなよ、俺の気に入りだ」
(ミタロイ)

「提督。あえて、あえて言います。そうやってあなたが着たくもない軍服を着てしたくもない仕事をして、そして死にたくもない場所で死ぬのは、それはあなたが嫌うところの宿命にあたるとは言えませんか。いや、この際はっきり申し上げますよ。こんなものは宿命だ!そうでなければ、……そうでなければ。おかしいじゃないですか、提督。あなたに何より似合わない死が与えられたというのに、……」
(ユリアンとヤン)

「お前の毛は血みたいな赤だ」「ええ、ひどいぞ」「怒るなよ、綺麗だって言ってるんだ。それに僕なんていつも本当の血をよく浴びてるからな」「ラインハルトは無茶しすぎなんだよ」「フフ、なあキルヒアイス。お前には赤が似合うが血は似合わない。お前の赤に血が混じらないよう、僕が傍にいるからな」
(赤金)

さて此処はどこだろうか。何の音もしなければ景色も見えやしない。もしヴァルハラというのであれば、我々はずいぶんたいそうな夢を見ていたんだな。そう考えながら腕を頭の後ろで組みため息をつく。こうなってしまえば今までの戦火や閃光も嘘のように思えた。一見宇宙とよく似ているのに全く違う。…あそこは騒がしかった。「帰りたいな、うちに」そう言っている間に光が見えてきた。此処も悪くはなかったんだがな。
(ヤン)

「白兵戦が俺より少しばかり得意だからといって調子に乗るのは許さんぞ!」冗談めかしてそう言ったラインハルト様はベッドに寝ていた私に勢いよくのしかかってきた。子供の頃のように脇腹などを擽られ、おやめ下さいと笑いながら言葉を紡ぐ。しかし、いろいろと昔のようにいかない事は、果たして理解しておられるだろうか。いま私がその頬に一度触れるだけで、すべての意味が変わってしまうのだが。……きっと気づいておられないのだろうな。「キルヒアイス、考え事とは余裕だな。この俺が怖くはないのか!」「ふふ、はは、おやめ下さい、畏怖しておりますから、ご勘弁を」
(赤金)

小ネタ詰め

・P5

「もう来ないかと思ってた?」帰ると明智がカウンター席に座っていて、俺を見るとその目を細めた。男は上機嫌な様子で出てきもしないコーヒーを待っている。名前を呼んだら返事をしたから何だか可笑しかった。「お前なんで死んじゃったの?」明智はどこか嬉しそうに笑ったが、今度は返事をしなかった。
(主明/今度は愛妻家パロ)

お母さん達捨てられちゃった、ごめんねと言って泣いた母はその後すぐ死んでしまった。親戚達は俺をゴミでも見るかのような目で見てくる。父を絶望させるために生きようと決めてからは友達なんて作ってる暇はなかった。「居場所ないんだ、俺達」猫毛の男はそう言って笑う。馬鹿なんじゃないかと思った。
(主明)

足掻いてみたくなったと言って明智は俺たちの手を取った。ようやく本当の仲間になった明智は以前より口と目つきが悪くなったが、その分よく笑うようになった。「明智」「なんだよ」「獅童を倒したらさ」俺と付き合ってくれないか、と伝える直前にいつも目が覚めてしまう。いつ返事が聞けるのだろうか。
(主明)

一度だけあいつと映画を観に行ったことがある。どうして行ったのかは忘れたが、観たのは親子ものの映画だった。お前は俺の宝だと父親が息子に告げるだけのつまんねえ映画。けど、あいつは観終わったあとに俺を見つめて「いい映画だったな」と呟いた。その時俺ははっきりと、俺はお前を殺せると思った。
(主明)

踊ってるみたいだなんて言ったらお前は首を傾げるだろう。静かに俺を描いているお前と、静かにお前に描かれている俺の視線だけがずっと交錯している。俺とキャンパスを往復する目はステップを踏んでいるようだ。俺はお前という額縁の中で手を引かれてただ踊る。誰もいないダンスホールは心地がいい。
(主喜多)


・TOX2(ユリルド)

「体調は?」開口一番そんなことを言うもんだからこっちは思いきり面食らってしまった。もっとも、向こうも割に元気そうな俺を見て少々驚いた様子だったが。「大した事ないです。寝たらよくなったんで」「…そうか」ぶっきらぼうにそう呟いたユリウスさんは、暫く部屋の入り口で棒立ちになっていた。きょろきょろと部屋を見回したあと、突然足を踏み入れて俺の目の前まで歩いてくる。と思えば今度は弾けるように俺から離れ、近くのソファに雑に腰掛けた。でもまたすぐに立ち上がると何か言いたげにこっちに視線を送る。「…あの」何か?と言おうとした俺をすぐさま彼の言葉が遮った。「我慢の限界だ」「はい?」「自分の気持ちを押し込めようと努力したがもう耐えられない。はっきり言おう、俺は君の父親のことを憎んでいる。奴のしたことは一生かかろうと許すことはできない。それに君自身は無計画で、危なっかしくて、見ていていつも心配になる。しかしそれでも言わせてくれ、愛していると」
(分史/高慢と偏見パロ)

「ユリウスさんってさ、何か企んでる?」ただ螺旋階段を降りてきただけで様になる彼にそう声をかける。少し驚いたように丸められた瞳はそれでもまだ涼しげだ。いけ好かない、っていうのはこういうときに使う言葉なんだろう。「あなたに会うたびに『お前はバカだ』って言われてる気分になるよ」そんなことは自分が一番わかっている。俺は大バカだ。そんな旨の言葉を吐きながらその人に微笑む(嘘だ。少し睨んだ)。彼は暫く感情の感じ取れない目でじっと俺を見つめた。やがて口を開いて「そんな」と発したけれど、またすぐに閉口する。彼は珍しく、動揺しているようだった。「…馬鹿だなんて……」
(分史/ブリジョパロ)

「兄さん、俺じゃだめだったんだろ」「違う、お前じゃないとだめだったんだ、だから俺はお前をこんなところまで」「でも俺じゃだめなんだろ?なあ、俺だからだめだったんだよ、俺じゃなかったら兄さんはもっと、……ああ、袖のとこ、血でべたべたじゃないか。洗ったら落ちるかな……」


・名ピカ(ティム+ピカチュウ)

「ティム!お菓子のストックが切れたぞ!」バーン!と扉を開けてピカチュウが入ってきた。んだけど、今入ってこられるのはぼくにとって最悪のタイミングだった。何故かって、「そういう」雑誌が机に広がった状態だからだ。「あの、ピカチュウ」なんと言おうか考えているぼくになんて構わずピカチュウはずかずかと部屋に入ってくる。「なんだあ?落ち着かねえな。何か悩みでも……」と、ピカチュウがぼくの机に焦点を合わせる。その途端、彼はしばらくじっとしたあとににんまりと笑ってみせた。いやな笑顔だ。「オーケーオーケー、悪かった!いや分かるぜ、オレも男だからな。お楽しみの邪魔は協定違反ってヤツだ。じゃ、心ゆくまで楽しんでくれよ、相棒!」アディオス、とキザな挨拶をしてからピカチュウはサササと部屋から出ていく。ドアを閉める直前にはウインクまでされた。いや、理解があるのはすごくありがたいんだけども、これはこれで嫌だな。

「ティム、聞いて驚け。オレという名探偵さまは星にも詳しいんだ」「ほんとかなあ」「疑うのか?じゃあ空の星をどれでもいいから指差してみろ。名前を全部答えてやる」「じゃあ、あれ」ぼくの指を目で追ったピカチュウは見るからに難しい顔をした。そしてこう呟く。「あれは新しい星だ。赤くて一番光ってるから、おまえの星だな。ティム」「はは、やっぱり知らないんじゃないか」「新しい星を発見しただけだ」


・その他

「重力って信じてます?」唐突に彼女がそんなことを言ってきたので、いつもの突飛だろうと解釈してオレはただ笑った。「そりゃあ勿論信じてるよ」「ふうん。これでも信じます?」パチン!と彼女が指を鳴らして、オレの体は宙に浮かんだ。ああ忘れてた、マジシャンに物理なんてあってないようなものだ。
(逆転4/オドみぬ)

実際俺は自分でも嫌になるくらいあき穂に依存していて、あき穂がいなくなったら今度こそ全部どうでもよくなっちゃっておぞましい人間になるんだと思う。でも、だからってそんなのいちいち伝えないだろ。俺が言うのはせいぜいこれくらいだ。「アキちゃんさっきからずっとパンツ見えてるよ」「…嘘!!」
(ロボノ/カイアキ)

「海翔くん、映画とかって観ますか?」「そんなには」「あのね、インターステラーって映画があって。ウラシマ効果…あっ、知ってます?」「知ってますけど。…何言う気?綯さん」「えへへ。もし海翔くんとの時間がずれても、毎年お誕生日祝いのビデオを送りますからね」「怖がらせるのやめてくれます?」
(ロボノ/八汐飛行士×綯さん)

カレンダー
<< 2024年05月 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
アーカイブ