酔っている、この場にいる全員。わかっていることはそれだけだった。今私の首筋を舌でなぞっているのはクロードで、私の頬を手のひらで撫ぜているのがディミトリ、それらを止めまいと後ろから二人の服を引っ張っているのがエーデルガルトだった。三人の表情には普段の聡明さや冷静さはほぼ失われており、自分もまたふわふわと脳が陽気な感覚に陥っていたのですこぶる場は雑然としていた。
2021-8-8 02:10
ベレト×3級長未完(FE風花)
エーデルガルト=フォン=フレスベルグはクロード=フォン=リーガンのことをよく理解できていなかった。初めて出会った頃から飄々とした態度と相手の奥底を覗き込もうとする瞳は変わらず、「油断ならない」という認識以外の確固たる印象を抱くことが出来ずにいた。その唯一つの認識は、彼女の手配した刺客の強襲があえなく失敗に終わったことでより強固となる。誰より早く逃げ出したクロードは、しかしきっとただ逃げ出したわけではなかった。何処まで分かっていたのか、あるいは本当に天の配剤とやらに賭けたというのか。かくして彼は村に『偶然』身を寄せていた傭兵を見つけ、あの危機をくぐり抜けたのだ。──エーデルガルトはクロードをよく理解できていなかった。
「ま、裸の付き合いってのもたまにはいいだろ。それに誰も彼もこんなに酔ってりゃあ朝には綺麗さっぱり忘れてる」
上着を脱いだクロードがそう呟く。その顔は常どおりエーデルガルトの得意としない得体の知れなさに満ちていたが、唯一その瞳だけは通常と少し違っていた。はっきりとした好奇心とわずかな劣情が浮かんでいたのだ。彼に跨がれた師が少しだけ眉を下げながら褐色の肌を眺めている。師の隣には頬を赤くしぼんやりとそれを見つめるディミトリの姿。エーデルガルトの頭はこの場にいる誰よりかは冷静なように、自らでは思われた。
「皇女さま、あんたはどうする。嫌なら帰ってもいいんだぜ」
褐色の少年は服の上から師の体をなぞりつつ、エーデルガルトに向かってそう問いかけた。
絶対に4Pしてほしいという意志は消えない
2021-8-8 02:08
レスシル未完(FE風花)
支援Bのまま結婚したレスシル
-------
今日も家へ帰ればあの女が無防備に俺に寝顔を晒すんだろう。嫌になる、何もかもに。俺を受け入れる女にも、それを甘んじて許容する自分自身にも。……一度、女の首に手をかけたことがある。両手をその細い茎に宛てがって、力さえ入れてしまえば簡単に折れてしまいそうだった。ああたったこんな簡単な動作一つで俺はこの女から開放されるのか、と、内心で思いながら時は動く。一秒、二秒、……。結局、俺は女を殺すことができなかった。
2021-8-8 02:06
主皆未完(九龍)
「甲太郎って呼ぶから」
後ろから聞こえた声に振り返れば、いつの間にか足を止めていた葉佩が俺をじっと見据えていた。階段の二段下から、上目遣いのような形でその瞳はこちらを捉えている。だがその視線は上目遣いという言葉ほどに可愛げのあるものではなかった。まるで挑みかかるように、何かを非難でもするかのように瞬いている。
「俺も甲太郎って呼ぶから、お前のこと」
2021-8-8 02:03
岡春未完(クラナド)
春原BAD後
--------
「ようマイハニー。よだれの跡もカワイイな」
「……………」
おはようの代わりに無言の睨みをきかせても目の前のヤツは何ひとつ堪えた様子もなく最高の笑顔を見せてきやがる。なんか自分の部屋みたいに居座ってるけどさ、お前べつにここの住人でも僕の恋人でもないからね?と言ってやりたかったけどどうせ何言ったってこいつは聞きやしないんだ。それはこの二週間でよーくわかったことだった。
岡崎がこんなことになってもう二週間が過ぎた。前までのすかしてんだかふざけてんだかわからない飄々としていた僕の悪友は相変わらず戻ってこず、こいつは未だに目をハートにする勢いで僕にラブコールを送ってくる。おはよう春原(ハート)、昼飯食おうぜ春原(ハート)、おやすみ春原(ハート)。ヤバイよ、そろそろ病院とか連れてったほうがいいんじゃないのマジで。いつもの冗談と思ってここまで放置しちゃったけどこうも続けてくるのはさすがに様子がおかしすぎる。
「どうしたハニー?じっと俺のこと見てきて。……キス、したくなったか?」
「お前よくそんな自分の都合のいいほうに考えれるなあ……」
キラキラーンて感じのSEを出しながら顔を近づけてきた岡崎から即座に目を離して立ち上がる。まあ難しいことは顔洗ってから考えるか……と思い洗面台に向かった。ばしゃばしゃと顔を洗ったあとに目の前の鏡に映る自分と目を合わせる。うん、今日もイケメンだ、僕は。岡崎が惚れてしまうのもわからなくはない。ないけど、……ないけどさあー。それにしたっておかしいだろ、こんな急に。やっぱ悪い冗談としか思えない。はあと大きなため息をついてから鏡に背中を向ける。と、すぐ目の前に岡崎が立っていた。
「春原」
「ひぃ!」
思わず悲鳴を上げて白目を剥きかける。そんな音もなく背後に立つことってある?僕がゴルゴならお前死んでたよ?心臓をドキドキと早める僕を岡崎は真正面からじっと見つめていた。その眼差しは、なんか、普段と少し違う。う、と警戒心から声がもれてしまった。この目をしているときの岡崎は、なんていうか、朝みたいな態度よりもっと苦手だ。二週間前からたまに見せる、今まで見たことないような真面目な顔。
「告白の返事、いつ聞けるんだ?」
「……いや、返事っていうか。あれ、僕、 ずっと言ってない?」
「やめろって?」
「う、うん」
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