庭で立禅をしていましたところ。
普段は徘徊中警戒心たっぷりで絶対に人に近付こうとはしない近所の野良猫が、私の存在に全く気づかないまま、すぐ目の前までやってきました。1メートルと50センチほどのあたりまできて、ノラは俳人を察知しました
ギクッ ピタ。
微動だにしない人一人。
猫一匹。
スズメチウチウ。
ウグイスホウ法華経。
…しばしのあいだ植芝盛平と塩田剛三の立合の如きの静寂(笑)がつづきましたが、ノラはふと「んーと‥おや?あっちに何かあるねえ、どれどれ、あっちに行ってみよう、よってアタイの目的地は変わる、よってフツーにここを去る。他意はない」といったテイにて、踵を回らせて去っていきました。
かつて東京の公園で蝉が私の体にとまったことをおもいだしましたが。
ノラは二年前に庭で見捨てられて鳴いていた仔猫の親だろう。私は当時に想いを馳せる。
で、今日の新聞の読者投稿覧からひとつ、抜粋無断転載させていただきます。
「知的障害のある息子の母となって10年になる。振り返ると理不尽な思いもたくさんしてきたが、それと同じぐらい楽しいこと、幸せなこともたくさんあった。 3歳を過ぎても言葉を話さない息子だったが、今ではすっかりおしゃべりになった。「ママ大好き」と一日に何度も言ってくれるのだが、外出先でも繰り返し大声で言うのだ。ある時つい恥ずかしくなって、「1回言えばわかるよ」 と注意すると、「僕は、《ママ大好き屋さん》だよ」という。息子の思いをわかってあげられていなかったと猛省し、息子をぎゅっと抱きしめた。」
俺も枯木のように突っ立ってばかりいないで、たまにはムスコをシゴいてやるかなあ。