かなり昔に、能楽の歩法を見たことがありました。



それはすっかり忘れていましたが、この筒の上で片足を高く上げて足踏みをするとき、知らず知らず、能楽歩行によく似た脚の使い方をしていることに気づきました。
簡単に説明すると、脚はまっすぐ上げるのでなく、やや、胡座で座るときのような開きかたになります。

で、能では足を踏みおろすときはどうしているのか?知りませんが、 シンタイコウ的には、グッと股関節を内に下に納めこむようにし、腹を伸ばし、姿勢をビン!と張ります。それはバレエのポーズにも似ているような気がします。

あえて筒の上でやらなくとも、地面の上でそうやって歩くエクササイズは有効です。大腰筋が活きる。なおかつ正座中でも、股関節だけをそのように僅かに動かすことによって、グイ!グイ!と姿勢は決まっていくのである。


私は、少年時代にやっていたスポーツ(野球やテニス)の動作は、もうあまり体に染み付いていません。経験者風味のこなれた動きをなんとなくはできるでしょうが、1拍おいて意識のスイッチを変えないと、スッとは出てこない。決定的に何がちがうかというと、背骨の感覚である。すなわち姿勢です。
もし今いきなり野球やテニスをしたら、昔とった杵柄はすっかり使えなくなっていて(あーあ…)とおもうかもしれない。しかし、シンタイコウの応用がどのように野球やテニスに活かせるかに、しばしのあいだ夢中になれるような気もします(笑)。でも、野球やテニスのあの左右の動かしかたが偏った動作は、あまり長期にわたってやる気にはなれない。


私はランニングもしません。だがごくごくすごく稀に、いきなり降りだした雨を回避しようとするときや、素早く道路を横切る必要があるときなどに、咄嗟に走ることはなくもない。
しかしそのとき、地面を蹴って跳ぶような感じのいわゆる普通の走法にはならないのです。『走る』といえば私だってかつてはそのようにしてきたはずなのに。
上体はややかがめて、脚はササササっと運ぶような、忍者みたいな走り方が自然に発生します(笑)。
それは自分の中ではえらくスピード感があって、ひょっとして五十メートル走とか、若い頃より速くね?とかおもっちゃったりしますが…どうだろね。普段まったく走らないから、勘違いしてるだけかもね。

能楽も弓道も合気道も、また忍術も、素人の私は、それらをいきなりやっていきなりスゲエ上手くできるとは言えません。が、いきなり、素人スジではない動きはするような気がするよ。それこそ勘違いかも知らんけど(笑)。