写真で見る肥田春充さんは、凄い体躯に見えますけれども、身長は随分低かったみたいだし、たとえばボブサップやセームシュルトと相対したら、かなり小さいはずです。 力士で比べても、幕内最小の炎鵬より小さいでしょう。 小さいといえば合気の達人たちも軒並み小さい人ばかりです。


体を使ううえで主に『重力』にかかわったなら、単純に、小さい人は大きい人よりも弱い。指圧マッサージにしても重力を利用したやり方をするなら大きい人のほうがラクに強く施術できる。
大きい人は小さい人よりも、単純にいうなら間違いなく強いのである。

柔道というものがいつから体重別の競技になったのか知りませんが、最軽量級の王者で100キロ級の王者にも勝てる人など存在するのでしょうか。 また、パウンドフォーパウンドとか言ったって、実際問題としては井上ナオヤはヘビー級チャンピオンに勝てるでしょうか。

ガリガリな私は若い頃、そういうことを考えたあげく、ボクシングをやろうという気がなくなってゆきました。死ぬほどの才能があって死ぬほど努力したとしても、ぜってえマイクタイソンには勝てねえことなんてやらなくていいやと(笑)。


さて、誰が誰に勝てるかとか負けるかとかいう妄想話はさておき、『自己最強』のチカラを使えるようになるにしても、充分にリラックスして重力とシンクロする身体操作だけでは物足りないものがあります。
腹力ではなく腰腹力によって、反重力も使える身体になるのがベストなのです。重力に身を委ねた『何もしなさ』と、重力を超えた『何もしなさ』では、天地との縁のむすびかたがちがってくるのである。


つづく