脱力出力について、今回は少しメカニカルな説明をしたいと思います。

丹田に重心をおさめるとか軸のある良い姿勢というのは如何にしてそうあるのか。皿回しの皿、棒、回す人、に例えましょう。回す人は地球(引力)です。棒は脚部です。皿に相当するのは骨盤より上の身体です。

棒と皿の接合点は、大腿骨頭(股関節)です。ここは大腰筋の付着部が骨盤内では筋腹となり腰椎胸椎へまた付着していることで、「物質的にも」繋がりが認識できます。重心をとる、つまり皿を回すには、各々のパーツが統一して動く必要があります。ここで注意しなければならないのは、統一とは「ひとかたまり」ではないということです。

一点集中し続けるという作業ではありません。引力(自分)に任せているかぎり、身体(皿)は何か をする必要はありません。重心をとるのは皿の思念や義務ではないのです。

実際にそうやっていられるようになると、皿回しは神経をすり減らすような行為ではなく、むしろ逆に、「お任せ」していればいいだけなのだという感覚を知ります。皿は回しているほうが、回っているほうが、ラクなんですよ。

「重心はどこだ」とか「回り続けなアカン」とか、皿が勝手に思念したり行為する必要は、全くないのです。全く、ないのです。