シンカのカギ

強健術と大周天は親和性があり、相互に補完し得るものだというのがよくよくわかってきた。身体がやることはどっちこっちただ一つであるけれど、強健術の説明と大周天の説明は、補完関係にある。

大周天法は物言いがオカルティックである。強健術はやたらと解剖生理運動学(昔の)的説明に徹している。だが、説明の仕方が違うだけで、メソッドの質に相違はあまり感じられない。腰と腹の姿勢をキメるということは、腰でも腹でもない真中にシンキが立つのである。真中にシンキが立つということは、腰と腹がキマるのである。それはどちらも、自我パワーによるコントロールではない。

自己が自我パターンや思考パターンに囚われるクセというのは姿勢のクセ呼吸のクセ(リキミ)にカギがある。
ここから先はわかりづらい説明しかできなくてすいませんが、リキミ呼吸はね、身心が、エネルギーが、行ったり来たりを繰り返し、閉ざされたパターンで世界に反応しているだけなのです。身体を抜ける呼吸なら、姿勢は必然的にキまるし、自我には必要以上の負荷はかからない。また自我は必要以上の負荷を身体にかけないのである。


身心の、閉ざされたパターンを脱する。
あまりにも固まった身心には、ヒーリングは有効です。でもね、固まった→ヒーリング、また固まった→ヒーリング、を繰り返していなくても、そのかったるいサイクルを抜ければいいのです。やめればいいのです。

仙道では、その道に参入してモノになる器のありそうな人を「仙骨がある」 というそうです。解剖学でいう人体の骨のことを指しているわけではないが、無関係ともおもえない妙な言い回しですな。逆に、「仙骨がない」人はいくら何をやったってモノにならないのだとシビアに観るそうです。肥田春充も同じようなことを著書で言っていたような記憶があるが…。
私はね、仙骨がある人とない人の違いの一つは、「決意」があるかないかの違いだとおもいます。決意とは、「強い思い込み」とか「熱心」とかを超越した意であり、こればっかりは、自我や他人はどうすることもできないものである。

春充や仙人から見たら、私なども「仙骨がない」人だったりするのかわかりませんが(笑)、でもな、少なくともこれだけは云える。シンタイコウをやる私を、誰が何と言おうが、知ったこっちゃねえんだよ。









人世五十年をボディワーク的にふりかえる

10代が終わりに近づいていく頃、私はしょっちゅうラリっていた。その頃、ラリ友が二人、自殺した。ショックを受けた私はラリって歌を歌った。リンダリンダの替え歌で「シンダシンダ」。

ラリラリなある晩、両手をちぐはぐに挙げて、しばらくずっと突っ立っていた。(俺は木になりたい)と思ったのです。今おもえばアレは、はからずも、立禅デビューをした瞬間だったのだ(笑)。名付けてラリツ禅。その頃、高円寺の高架下の古本屋で「無」というタイトルの禅僧の書いた本を100円で買って読んだのを覚えている。内容は全く覚えていない。あの頃はボディワークとかスピリチャルの知識なんて何もない。経験も。ただ直感が私を何かに向かわせはじめていたのだろう。

20才になって、太極拳を習いはじめた。そこではじめて立禅がほんとうにあることを知る。けれどラリっていない私は、全然気持ちよくない。ジッと立っているのはただイライラして腕がつかれるだけだった。しかし、太極拳の多彩でオリエンタルチックな動作を習うのは新鮮な気分だったし、ラリるっていうのはニセモノの体験でしかないんだなということに気がつきはじめた。でも、「氣」はまだまだ全然わからない。そうこうしてるうちに、仁龍さんに出会いそして三宅先生の中心練修会にめぐりあいました。肥田式強健術というものを知りました。

20代の私は、やや「仏教」じみていた。龍安寺の「吾唯足知」と書かれたツクバイにいたく感銘を受け、その文字をデザインしたタトゥまで彫ってしまった。ノゾキの常習犯を取っ捕まえて警察に突きだし、取り調べ作業に応じたとき、署で「え?あなたが捕まえた人??まるで寺から脱走した破戒僧じゃないか」などと言われた(笑)。20代半ばを過ぎたころ、整体の世界に足を踏み入れました。


30代の私はやや「神道」じみていた。自動書記体験をし、それがきっかけで出雲をはじめとする神社や古代の探究に没入した。本格的に氣感が身についていったのはこのころ。自動書記ならぬ自動運動を体験し、開眼(つーか開氣)した。

40代はやや「仙道」じみていたのかなあ。氣は手から出すというより芯を通るものになっていった。肥田式的な姿勢がやっと身についてきた。背も伸びた(笑)。自身のワークをシンタイコウと名乗りだした。20代では「やってるつもり」に過ぎなかったものを、今は、やっている。

半世紀生きた。


♪シンだシンだ シンだシンだシンだ

もしも僕がいつか君と出会いはなしあうなら

そんなときはどうかあいのいみをしってください






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