姿勢や動作の研究や稽古で、「あれこれやってみる」というのは大事である。大切だ。 しかしこれ矛盾してしまう言い方になるが、結論そして基本中の基本を云うなら「何もしない」ことである。
肥田春充さんは肥田式強健術で、徹底的に「ツジツマ」を合わせようとしていたようにおもう。というかオカルトを嫌っていたし、万事ツジツマを合わせなければ気が済まなかったのだろう。それでまずその結果、腰を丸めて横隔膜に圧力をかける簡易強健術を編み出した。
ボディワークに限らず、「アバター次元だけで完結するツジツマ」は、私にとっては、控え目に言ってちょっと不愉快です。ハッキリ云うなら暴れだしたくなるほど不愉快です。単純に言いますと、なんだか「違う!」と思ったことは、我慢がならないのだ。
私はアバターツジツマ体操には惹かれない。アバツマ思想、アバツマシステム、そういったものには破壊衝動しか起こらないというのが正直なところです。
さてやがて肥田さんは肉体鍛練のツジツマを自らブチ抜いた。強健術のキメ姿勢が「腰反り」になった。それから「腰を反る」と言うようになった。
ですが、私はそれも真に受けない。ほんとうに彼はその転機となる動作で「腰を反った」のか?
違うら。「腰が反れたまま」だったのさ。
そしてそこから重心を「落とした」のか?違うだろう。重心が「落っこちた」のさ。
遅れてきた私達が肥田式をまねぶとき、腰を反るということをミッチリやるのは大事なことである。が、矛盾した結論そして基本中の基本を云うなら、腰を反るとかやっていては腰に絶対に力を入れてしまうことになるため、一番やってはいけないことである。
そもそも脱力を尽くせば勝手に腰は反れてゆくのです。
アバター次元だけでツジツマ合わせようってこと自体、じつは全然ツジツマが合っていないのだよ。