♪ 今年も また終わった
なんもやってねしオイラ

テネシーワルツのメロディで御一緒に唱和しましょう。さん、はい!

♪ 今年も また終わった
なんもやってねしオイラ




もうすっかり旅にも出なくなったな。

大阪、梅田にフラリと寄った10年前。土地勘もなく迷子になりかかり、カレー屋の前に立つOLさんに道を聞いた。

「あのぅ、食べ物屋が沢山入ってる大きなビルはどっちの方角でしたっけね」
OL 「あぁそのビルの店、値段高いですよ」

…衝撃的な返答でした。東京でこの返答はあり得ない。これが大阪ストラットというやつか!と。
そして私は内心少し動揺しながらも、いや実は関東から来て何もわからずウロウロしてて覚えた目印がそのビルだけだもんで云々カンヌン、などと話していると、ストラットOLの友達(女。たぶん大阪で生まれた女。)があらわれ、やや不審げに私を見ながらストラットに、「どしたん?なん?」と声をかけた。するとストラットは即座に、

「いま仲良くなってん。」

…私は。私は恋に落ちた。このノリ。関東平野からノコノコ出てきたボンクラにとっちゃあ、カルチャーショックと恋のショックの区別などもはやついていやしない。心臓がバクッとしたらみな同じだんべ! 結婚してん! なあ、結婚してんくさ!

がしかし私は心の一部でそれを打ち消した。(おい、ボンクラよ。これはきっと大阪ならではのラテン会話なんだよ。それをテメエはいったい何段跳びの翻訳してんだい、これだから田吾作は困るってんだ。)…私は一見スマート風に、内心は田吾作大ハシャギのテイにて会話をやり過ごし、その場をあとにした。

そういや大昔、俺は俺の知らぬ梅田の某所でスーパーアイドルだったらしい。その劇場に行ってみよう。どこにあるの。また誰かに聞いてみようか。いや、やめとこう。さすがにたぶんシャレにならないだローズ。

などとさまよいながら、私はスマホの無い時代の何にも知らない楽しさを、満喫した夜だったんでしょう。


裸電球を
点けたけどまた消して
フフフフー フフフ
フフフフー フフ

青春のフフフヲー フフフフフー