肥田式強健術は、腰を丸めた動作から、反ったままの動作に変わったことで、大転換を遂げたようですが、丸める→反る というのは腰の外見的変化の説明であって、内部表現的には『力のベクトルが逆回転になった』というのが適切なんじゃないかとおもう。後ろから前に締めていたフンドシを、前から後ろへ締めたのです。肥田式をやっている人ならわかるでしょう?その感じ。
反った姿勢を『腰からくる腹の力』と云った肥田さんの説明は、前から後ろに締めたフンドシを腰でくくるとき腰がグッと入って腹が決まるかんじのことを言っているのです。腰を落として腹を上げるのではありません。腹を落として腰を上げるのだ。そしてそのエンにシンが入ったのである。


もっといおう。チカラのベクトルが逆回転したことは、肥田さん自身の生き方そのものも変えた。『強く生きよう』という意志が逆回転した(落ちた)ら、生死を超えてしまった。


『死なないためには死ななければならない』という仙道の格言がある。