脱力ができていて姿勢による力がまるで土管の中を勢いよく流れる水のように使えるならば、上げた腕をストンと落として手を太ももに当てるだけでも、かなり強烈な刺激がくるものです。集約拳を握るなら尚更に、ハンマーを振り落とすようなズドンとしたチカラになる。丸太のような腕である必要もない。現に私の腕は枯れ枝のようである(笑)にもかかわらず、である。

この脱力この姿勢力で、鼠径部を叩く。臀部を叩く。肩を叩く。ズシンズシン、ドスンドスン、ズッコンバッコンもといズドンズドン。
名付けて「シンタイコウ打」。

全身壮快になる。これを自身にではなく他人に行う場合は、どこかの痛みの治療やリラクゼーションには向かないながらも、身心を非常に活発化させることができるとおもう。
ただし、受ける人の身体がその刺激に対して抵抗反応を示した場合は逆効果になる。施術のプロとしては当然のことながら骨を叩いたりだとかダメージを与えるように叩くわけではなく、痛快に効くように打つわけですが、やはり相互信頼とか馴れが必要でしょう。

手を当てるだけの気功療法ですらひそやかに抵抗している人は少なくないのだから、身体の奥にまであからさまに響く刺激に対して防御反応が生じるのはある意味当然のことともいえるので、打たれても比較的抵抗感のない場所から慣らしていくようにすればよい。

受ける刺激に対抗するかのようにひたすら身体を固くされては、意味がなくなります。ボクシングやフルコンタクト空手のトレーニングではないので。
なもんで、抵抗する体に対した場合の術者も、より強く当てようとしてしまえばそれは療法ではなく破壊的攻撃になってしまいます。

この術は、お互いが「ボディワーク」というイシキでおこなうとよい。個と個のぶつかり合いではなく溶け合いのように行うとよい。叩くチカラも、受けたチカラも、溜めずに「通す」がよい。事実ボディワークなのである。


マッサージ師の行う「叩打法(ようするに肩叩きとかパンパン背中を叩くとかするやつ)」だってもしかしたら元々はこのような本格的な技だったのじゃないか??今フツーに行われているマッサージ屋のマッサージは、芯のチカラが失われていて枝葉末節の小技に堕落してるといったら言い過ぎかもしれませんが、仕上げのオマケ技みたいな手技になっています。「いい音を鳴らす」のが目的になっていたりします。

打法は相当優れた主技になりえるとおもうのです、ほんとにやるなら。
ドスドス。チョーキモチイイ。ナントモイエネー。マジパネー。

シンタイコウ打。