先日、およそ2年ほど前に脳溢血で倒れて以来、半身に障害を患ってしまい職場を退いていた元同僚の女性と、もう一人同僚とで、県内にあるサボテン公園にドライブを兼ねて行ってきました。

一言でサボテンと言いますけれど、サボテンにも実に多くの品種があることにただ驚くばかりでした。元同僚には成人している娘さんが一人おりまして、名前が私と同じなのです。それも同じ平仮名で書く名前であります。

私が現在の職場に入った時には既に彼女は居たんですけれども、初めて彼女の顔を見たときに、「このひと小さい頃にどこかの病院で見た看護婦さんではないか」と思い、なぜかとても懐かしく感じた人でした。

後に、彼女は「この会社に来る前は看護婦をしていた」と話し、それを聞いて漠然と納得は出来たものの、勤めていたのは主に産婦人科院であったとかで、私は幼い頃によく通っていた小児科院を想像していたから、やはり私の思い違いであったのだと、たぶん似た人物と勘違いをしているだけなのだと、そう思いくるめてその場は終わりました。

ところが先日、話の流れから過去に勤めていた幾つかの産婦人科院の名前を聞いたんですけれども、そのうちの一つに偶然にも私が生まれた産婦人科院があったのです。「もしや?」と思いました。私はすかさず、28年前にその病院に勤めてはいなかったかと尋ねましたが、もうかなり昔のことだから覚えていないとの返事。

仮に私が生まれたときに彼女がその病院にいた看護婦さんであったとして、いくら何でも赤ちゃんの頃の記憶まで覚えているものなのかとも疑いましたけれど、人は前世の記憶をも思い出すことがあるくらいですので、赤ちゃんの頃に目に映った人物の顔を覚えているくらい全く不思議ではないと思うのです。

似たような話で、弟が職場で主に行動を共にしている先輩の奥さんが、弟が保育園時代にお世話になっていた先生だったらしいのです。旦那さんから弟の名前を聞いたときに直ぐに思い出したらしい。通っていた保育園が一致したことから明らかになったそう。当時、初めて受け持ったのが弟のクラスだったとのこと。

人の縁というものは、とても不思議なものでありますね。

今回の彼女と同時期にして2年前に、もう一人、同僚が脳卒中で他界したんですよ。職場で最も慕っていた人でした。とにかく明るくて元気な肝っ玉母ちゃんで、互いに所属していた宗教団体が同じだったり誕生日が同じだったりと、何かと偶然が多い人でした。誕生日の一週間前に亡くなりまして。

亡くなってからしばらくの間は怪奇とも取れる不思議な現象が立て続けに起こりまして。驚きはしたけれど怖くはありませんでした。「ああ、きっと近くにいるんだなあ」って思ったから。

「幽霊でもいいから、もう一度会いたい」と思いながら半年を過ごした頃に一度だけ彼女が夢に出てきまして、以降は会いたいとは思わなくなったというのか、会いたいと思ってはいけないのだと、ようやく気持ちに区切りをつけたのです。

未だ、彼女と撮った写真を見ると辛くなりますから、そう滅多には見ません。だけどいつも思い出します。会いたいとは思いません。だけどいつも思い出します。どうして彼女だったのか、ただそれだけが今でも悲しい。

そんなこともありまして、脳溢血で倒れて半身に障害を患ってしまった今回の元同僚も、その当時、倒れたと連絡を受けたときは私ももうパニックになってしまって。幸いに一命は取りとめましたが、このような結果です。

入院をしていた頃には見舞いに行ったりもしましたが、行ったあとで後悔もしました。弱り切った自分の姿というものは、家族とか、あるいは心から気を許している知り合い以外の人には見られたくないのではないかと思ったからでした。

見舞いに行く側は同情とか親切のつもりで行くんです。来られる側は果たして有難いと思うのかどうか。そこも人によりけりなのでしょうけれど、私はあのとき、もっと容体が落ち着いてから行くべきであったと後悔をしました。ひとつ学んだことです。

退院してからは向こうがケータイを止めたりなどしていて連絡が上手く取れなくなり、しばらく音信不通の状態が続いていたんですけれども、今年の盆明けに快気祝いをいただきまして、現在に至っています。

彼女は半身に障害を患ってしまったものの、もうとにかくよく話すし、笑うし、もう杖無しでも何とか歩いていますし、とても元気です。娘さんも子供を産みまして、今は孫の存在が何よりも励みになっているようです。



近頃、たまにバンプオブチキンを聴くようになりました。高校時代はとにかくこのロックバンドに狂っていましたし、社会人になってからもしばらくは狂っていました。狂わなければクソな日常をアホらしくてやってられなかったからです。

残念ながら現在の曲は全く知りません。思い出が深い昔の曲ばかりを聴いています。私の時代は主に「ユグドラシル」でした。私よりも更に年上の先輩リスナーたちは更に古いアルバムが好きだと言います。それがなんだか面白くて。