4〜5日にかけて、恋人と福島県の会津若松市に行ってまいりました。偶然にも互いに3日までが仕事で4、5日が休みだったのです。
会津若松といえば中学時代の修学旅行を思い出します。ここを訪れて間もなくに体調を崩してしまい、その晩は楽しみにしていた枕投げに参加できなかったという苦い思い出があるのです。そして部屋で撮影をした写真すべてにオーブが写る始末でした。まあ、昔の話はこのあたりでよしとしましょう。
出発をする前に、彼から山形、会津若松、金華山の三つの中から行きたいところを選べと言われて、私は迷うまでもなく山形と答えました。しかし、あとに彼からいささか気になる話を聞かされたために、今回は会津若松に行くべきだと思ったのでした。
確実ではないのですが、彼の先祖が会津の地に縁があるかも知れないのです。話によれば、彼自身は本家9代目らしいのですが、5代前後の先祖が福島から青森に移り住んでいるそうなのです。時期的に見て、それは斗南藩に関わっている可能性がある。
以前、「妻と飛んだ特攻兵」という題の本を読んだことがあったのですが、最後は満州で対ソ連の特攻作戦に参加をして事実上の戦死を遂げている主人公、谷藤徹夫が、ちょうど青森の生まれで、彼の先祖が斗南藩士であったと書かれていたので、私はそこで初めて斗南藩のことを知りました。
また後日には、今度は職場の同僚が斗南藩の話を持ち掛けてくるなどのタイミングが重なり、妙に斗南藩という言葉が気になっていた時期があって、いずれは会津の地に行くことになるかも知れないと思うところが有ったには有った。だからこの度は、いよいよその時が来たのだと感じました。
さて、会津を目指すべく福島に入ったところまでは良かったのですが、彼の車に付いているナビは古いもので、またこれが頼りにして見ていても何だかパッとしないんですよね。曲がり角に差しかかるギリギリまで反応しないとか、過ぎた頃に「右方向です」なんて言ってみたりする。
あまりに頼りにならないものだから転換してスマホのグーグルナビを使ってみれば、今度は先々を読み過ぎるというのか、的確すぎて逆に分かりづらい。それに、耳障りでした。言いたい放題です。
それでもとりあえず走り回っておりましたら、気がついた時には国道から外れてワケの分からない田舎道に迷いこんでいました。
あちら方面の田舎では、一軒一軒が倉を構えているんですよね。田畑と倉と、ときに瓦屋根の家とを見ているうちに、言葉では何とも表現できない懐かしさが込み上げてきて、ひとり助手席で唸っておりました。日本酒があれば飲みたい気分であった。
そりゃ知らない道で迷ってしまうのは嫌なものですけれど、迷ってみなければ分からない、迷ったからこそ出会うことができる素朴で優しい風景もあるんですよね。見方を変えれば、それこそが旅の根本であるとも言える。迷っていながら、呑気にそんなことを考える場面もありました。
いざ鶴ヶ城に入場をする前に、鶴ヶ城の向かいにある神社で、彼が「先祖が世話になっていたかも知れないから礼を言う」といって手を合わせていました。
そんな彼の後ろ姿を見守っていたのですけれど、そのとき私は私で彼の健康と長寿を願わずにはいられませんでしたし、また、自分はこの人と出会えて本当に良かったと、改めてそう強く思った瞬間でもあったのです。
近頃は、彼の影響で大河ドラマ「真田丸」を見るようになり、どこか彼と一緒に戦国なり江戸なり、それら縁の土地を巡り歩いてみたいと密かに願ってもいたものですから、その願いが叶ったようで、とても嬉しかったです。
驚くべきは、あれほど日本の歴史が苦手であった自分が、大正と昭和より以前の時代に関心を抱き始めているところ。歴史を知ることは先祖を知ることであるという言葉が、いよいよ今になって活きてきたような気がする今日この頃です。
私の先祖は一方で武家、一方で百姓であったそうです。どちらが欠けても世の中は成立しません。武家と聞けばそれだけで誇らしく思うこともあれば、幾度の飢饉や取り立てに苦しみながらも命を繋いできた百姓の生きざまに言葉を失くすこともある。
会津からの引き返しに、微妙に山形を経由して帰りました。とは言っても既に日が暮れていて何も見えなかったから感激はイマイチでありましたが。
よほど疲れていたのでしょう、あくびを連発しながらハンドルを握る彼の横顔を見ていて、またも健康と長寿を願わずにはいられない自分なのでした。
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カテゴリー
プロフィール
性 別 | 女性 |
年 齢 | 36 |
地 域 | 青森県 |
系 統 | 普通系 |