話題:突発的文章・物語・詩


どこからともなく
吹く秋風が

貴女の後ろ髪を
そっと揺らすと

遠い故郷の
薫りがしました

なのに貴女は
どうして


黄緑色の靴下
ばかりを

履こうと

する








☆☆☆☆☆☆☆


第1話:森進一。


森進一の真似をする時、世界の99%の人はこう云います。

「こんばんは‥森進一です」と。

嗚呼、それではまるで‥森進一さんは夜にしか活動しないみたいではありませんか!

するとなんでしょう‥森進一さんは、マングースの様に夜行性の動物なのでしょうか!?

いいえ‥違うはずです。


秋風に吹かれ、私は思った…

誰か「おはようございます‥森進一です」とやってあげて下さい…と。



第2話:ボウリング。


貴女は覚えているでしょうか?

ボウリングで球を投げ終わった後‥あの両足の形の事を。

ええ、ええ‥

前足の膝が少し、骨折では無い方の意味で折れ曲がり、クロス気味の後ろ足が爪先立ちのまま割と美しい曲線を描く、あの形です。

私は気付いてしまったのです。

およそ人間が、生きとし生きる中で“足があの形になる”のは、ボウリングの投球後のみであろう事を。

そして

秋風に吹かれ、私は思った…

ボウリングの存在価値は間違いなく今も“ある”のだ‥と。



第3話:オクラホマミキサー。


花も恥じらう年頃に
男子と女子が手を繋ぐ

オクラホマのミキサー車。

甘酸っぱい胸の想いを
がっちりセメントで固めます。

でも、私たちは決して忘れてはならないのです…。

男女の人数の違いで泣く泣く“女子列に入らざるを得なくなった男子”が居た事を。

自分もウンザリ、相手もウンザリ‥

回り続ける切なさは、男と男の回転木馬。汗だくメリーゴーランド。

想いを寄せる、愛しのあの子はすぐ横に!

しかし‥
彼女と僕は同じ列。

永遠に繋ぐ事の出来ない寂しい手のひらを、カバ夫くんがギュッと握りしめてくれました。

愛しのオフェーリアが他の男子と手を繋ぐのを、ただ黙って横から見守るしかない悲しい運命(さだめ)。

そして、心の中で静かに呟くのです…

おや〜ま遊園地〜♪」


秋風に吹かれ、私は思った…

一番近くて一番遠い距離がそこにある‥と。


☆☆☆☆☆☆☆


彼女の大切な
黄緑色の靴下

親指あたりに
穴が空く頃

季節は秋へと
変わってゆきます

嗚呼、そうやって

今年の秋も貴女は
靴下の空いた穴で

コオロギを
飼うのでしょうね‥


あはれ
今年の秋も
いぬめり




【Fin】