ある夏の日の夜。

僕は真っ暗な夜空に小さな2つの星がスーッと尾を引いて流れるのを見た。

どうやら流れ星は海の方へと堕ちたようだ。

少し気にはなったけど、もう夜も遅かったので、僕は家に帰り寝てしまった。

次の日の朝。

まだ陽が昇ったばかりのアーリータイムズ。

散歩がてら海まで歩いてゆくと、誰もいない砂浜に星が2つ堕ちているのが見えた。

夕べの流れ星に違いない、僕はそう思った。

それから僕は、2つの元・流れ星を、寄せる波にそっと落とした。

瞬く間に波は2つの星を飲み込んで、大海原に戻って行った。

小さな2つの流れ星は、やがて海に溶けてゆき…幾百年の時を経て、水蒸気となり…そして、あの懐かしい空へと飛翔し再び星へと還るのだろう。

僕は、少し満足しながら空を見上げた。

そこには、夕べの月がまだ薄っすらと白く残っていた…。