スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

かげらふ日記(虚構)#17「人事異動リベンジ編」


話題:妄想を語ろう

待ちに待った日がついにやって来た。言う迄もなく[人事異動]の内示が下される日だ。

仕事とは無関係の些細なミスにより【草むしり部・イボイボ軍手課】に飛ばされ、はや三月、ついにチャンスがやって来た。そして今回、私には絶対的な自信があった。と言うのも、次の異動に向けた一手を早々に打っていたのである。チャンスの女神の前髪を何としても掴むのだ。

前回、痛恨の内示が下りた直後、人事部の実力者である長谷川課長(ぐいぐい課長A)と偶然にも話す機会があり、その時に彼の趣味がドライブ(愛車は車検の切れたコスモスポーツ)である事とドライブ中にちょっと古めのベタな歌謡曲やポップスを聴くのが好きだという事を知った。そこで私は、ドライブのお供として良さそうな曲を集めてオリジナル編集したカセットテープを作り(長谷川課長はラジカセを愛好している)、彼に進呈したのである。長谷川課長に気に入られれば出世は約束されたようなもの。次の異動先は間違いなく花形部所になるだろう。

まずはA面。幕開けを飾る1曲目にシャカタクの「ナイトバーズ」。2曲目も再びシャカタクで「インヴィテーション」。ドライブにジャストフィットするシティーポップはアップテンポなインストゥルメンタルナンバーだ(←ルー大柴が憑依か?)。3曲目で「ナイトバーズ」に戻り、4曲目は再び「インヴィテーション」。以下、その2曲の繰り返しが永遠に続く。兎に角、愚直な迄にシャカタクで押し込む突き押し相撲という訳。

そしてB面。(またシャカタクが来るのか!?)。怖れおののく中で流れ出すのは、意外にも氷川きよしの「ズンドコ節」だ。ドライブに合うとも思えない選曲だが、シャカタク地獄から解放された身には心地よく響くに違いない。それに次ぐ2曲目はドリフターズの「ズンドコ節」。更に嫌な予感は的中する。そう、小林旭の「ズンドコ節」が3曲目なのである。

(次は誰のズンドコ節!?)となった所で、聴こえて来るのは、驚くなかれ、古今亭志ん生(5代目)の「火焔太鼓」。落語である。もはや音楽でも何でもないが、最早そんな細かい事はどうでもいい。いかに相手の裏をかき、心を揺さぶる事が出来るか、そういう勝負なのである。

落語の次は、講談か?はたまた浪曲か?

否。流れ出すのはイルカの鳴き声と波の音。日光浴ならぬ[1/fの揺らぎ]をたっぷりと全身に浴びる音楽浴となっている。そして、そんなエコな流れを受け継ぐ形でB面を締め括るのは、100と8つのゴーン。カルロス・ゴーンではなく、除夜の鐘のゴーンである。煩悩退散。ゆく年くる年。少し早いですが、皆様、明けましておめでとうございます。

何度見直しても全くスキのない完璧なプログラムだ。余ほど大きなヘマさえしなければ、次の人事異動ではかなりの昇進が見込めるだろう。

……と期待に胸を膨らませて迎えた人事異動の内示通達日。発表は前回と同じく、各自のデスクのパソコンに通知が届く形式となっている。さあ、異動先は念願の【宇宙探査事業部】か、はたまた【新世代エネルギー開発部】か。緊張しながら通知を開く……

《辞令》――汝、【総合サポート部・縁の下支援方面・般若心経課】への異動を命ず――

いやいや、待て待て、そんな筈はない。が、何度目を凝らして見ても文言に変わりはない。【総合サポート】と言えば聞えは良いが、実質的には使い走りである。しかも【縁の下支援方面】とは俗にいう“縁の下の力持ち”的な役割――つまりは全く陽の目を見ない地味な部所だという事だ。事実、【縁の下支援方面室】は社屋F棟西側の縁側の下にある。そこで皆、雨宿りをする猫のようになって仕事をするのである。

大きくジャンプアップする予定が、多少上向きとは言え、これではほぼ横滑りではないか。B面ラストの[除夜の鐘]が恐らくは失敗の原因。お寺とか仏教が好きだと思われたのだろう。それで【般若心経課】への異動となった。ちなみに【般若心経課】の主な仕事は、般若心経を詠唱し続け、会社の業績アップと規模の拡大、社員及びその家族の健康増進、出張等旅行における道中の安全、社員食堂のメニュー充実などを祈りながらひたすら般若心経を読経する、というものになっている。ミスをした社員と共に写経をする事もある。会社というよりは密教の寺院である。まさか、そんな所へ飛ばされる事になろうとは……。


昼休み。喫茶室をも兼ねている談話室で同期の野々村(かぴかぴ平社員C)とばったり遭遇。【未確認生物探索部・屈斜路湖クッシー課】への異動が決まったとの事。大出世だ。同期にも関わらずかなりの差がついてしまった。が、まあ、既に決まってしまった事は仕方ない。取り合えず【草むしり部】から脱出出来ただけで今回は良しとすべきだろう、と前向きに捉え、次のチャンスを待つとしよう。


〜おしまひ〜。


オリエント家の一族。


話題:最近観た映画


少し前に地上波で映画『オリエント急行の殺人』(現最新作)をやっていたので録画して観る事にした。『オリエント…』は言わずとしれたミステリの女王アガサ・クリスティの代表作の一つで、たびたび映画、ドラマ化されている。

さて、その最新作の雑感は主に三つで、一つめは「映像が綺麗だな」というもの。もっとも、過去作―ドラマ、映画とも―それぞれに映像の美しさを感じたので、それはやはり、“雪景色の中を行くオリエント急行”という舞台設定の良さに拠るところも多分にあるのだろうと思う。むしろ逆に、綺麗に撮らない方が難しいとも言える。

二つめは、「ケネス・ブラナーが格好良すぎてポワロらしくないのが薄ら可笑しい」。あまりにも苦味ばしり過ぎているせいで、ポワロというよりも、英国(か北欧)の警察ドラマに出てくる[いぶし銀系警部]のようだ。シャーロックホームズはハンサムなイメージがあるが、ポワロにはない。個人的にはポワロ役はデビッド・スーシェが原作のイメージに近く一番しっくりくるが、その辺りは好みの問題か。

そして、三つめ。「ああ、やっぱり犯人は同じか」。当たり前と言えば当たり前だが、たまには別の犯人という手もあるのではなかろうか。もっとも、それをやると各方面からこっぴどく怒られる事は間違いないだろうけれども。いや、逆に思い切ったアレンジを全体的に施せば、怒る気をなくして上手く行くかも知れない。例えばタイトルの頭に一つ言葉を足して……

【西村京太郎サスペンス・オリエント急行の殺人】

電車と言えば西村京太郎。タイトルとしての違和感はない。更に……

【西村京太郎サスペンス・オリエント急行の殺人】〜幻の駅弁トリック?時刻表に載らない3分間停車の謎に十津川警部とポワロが挑む。鍵を握るのは山村紅葉?

ここまでカオス化すれば犯人を変えたところで全く問題ないだろう。史上初(マイナーな自主制作以外では。多分)、原作とは犯人の異なる【オリエント…】の誕生だ。……もっとも、犯人が変わるという事は動機が変わるという事でもあり、最早そんなものは【オリエント…】でも何でもないのだが。

もし、西村さんサイドから怒られそうならば、“西村京太郎風サスペンス”とか“酉村京太郎サスペンス”にすれば良いだろう。

さて、【オリエント…】同様、何度も映画、ドラマ化されている古典的ミステリー作品が日本にもある。【犬神家の一族】である。そして、これも毎度必ず犯人が同じ。そろそろ別の犯人が登場しても良い頃合いではないのか。例えば、犯人は探偵=金田一耕介とか。では、代わりの探偵役はどの人物になるのか?それはやはり、「スケキヨ」が最適だろう。ある意味、人気は金田一以上。事実、子供(男子)につけたい人気名前ランキングでは「どん兵衛」や「ぴょん吉」等と共に毎年必ずベスト10に入っている(個人調べ)。探偵として相応しいではないか。

ここまで来たら、いっそ【オリエント急行の殺人】と【犬神家の一族】を合体させるのも一つの手かも知れない。勿論、西村京太郎風をテイストも加える事も忘れてはいけない。タイトルとサブタイはこうだ……。

【酉村京太郎サスペンス・オリエント家の一族】〜幻の駅弁を狙う怪盗キッドの予告状?時刻表に載らない3分間停車と路線図にない駅の謎。探偵スケキヨ、十津川警部、ポワロ、コナン、コロンボ、探偵世界一は誰?捜査一課長も緊急参戦で「必ずホシを挙げる!!」

もはや、犯人が誰とかいう問題ではない。もはや、探偵のアベンジャーズ状態である。

…………。

やはり、犯人も動機も原作に忠実なままで良いかも知れない。要は、シェイクスピア劇やオペラ、ブロードウェイの古典ミュージカルのように、俳優の顔ぶれや演技、監督や演出家の演出、映像を楽しむのが【オリエント急行の殺人】や【犬神家の一族】の王道の楽しみなのだろう、という結論でひとまず筆を置く事とする。


〜おしまひ〜。



<<prev next>>
カレンダー
<< 2020年11月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
アーカイブ