ダジャレ千夜一夜物語第14夜『待ち合わせの世界』


話題:言葉遊び

──大丈夫だろうか?

時刻は待ち合わせ時間である午前10時を既に40分過ぎています。【ふつつか商事】営業部主任・友利(58)は心配になってきました。共に取引先に出向く予定の部下=新入社員の小松島が来ないのです。場所は駅の南口を出た所。それなりに乗降客の多い大きな駅ではありますが、新宿や池袋に比べれば遥かに小さく、決して分かりにくい場所とは言えません。ましてや彼は、学生時代に海外ボランティア活動で世界中を飛び回っており、その経験と実績が採用の決め手になったと聞きます。ならば尚更、地理には明るいはず。方向音痴の訳がありません。

何度か携帯に電話してみましたが応答はなし。と言う以前に繋がりません。電波の届かない場所にいるのでしょうか。或いは電源をオフにしたまま寝坊でもしているのか、と自宅にも掛けてみましたが誰も出ません。或いは1時間程度の遅刻など海外ではザラで日本人が時間に真面目過ぎるのかも知れない──友利はそんな事を思い始めていました。

そんな友利の携帯に着信音が鳴り響きました。小松島からです。

『おい、どうした?ずっと待っていたんだぞ』パワハラにならない程度の強い口調で友利が窘(たしな)めると、『えっ?僕もずっと待っていたんですけど』。思わぬ言葉が返って来ました。

『いや、一通り見て回ったけど君はいなかったぞ』

『えっ、いますけど』

ざっと周囲を見渡す友利。

『いないけど』

『いますよ』

話がまったく噛み合いません。『……小松島くん、一応確認するけど南口にいるんだよね?』。すると、受話器の向こうからハッと息を呑む音が聴こえて来ました。いや、受話器はありませんが。

『待ち合わせって北口じゃなかったてすか?』

やはり!待ち合わせにおけるすれ違いの王道パターンです。考えてみれば待ち合わせの日時は口頭で2回告げただけ。一昨日の午前中、書類に判を押す際に1度。その日の帰り際、エレベーターの中で1度。昨日は友利が終日接待ゴルフで出社しておらず話をしていません。メールの1通でも打っておけば良かったのでしょうが、それは後の祭り。(せっかくの休みに仕事のメールは鬱陶しいかな)と友利なりに気を使ったのですが、結果的にはこれが失敗でした。それでも、危機は寸前で回避されました。

『じゃ、南口を出た所で待ってるから』

『了解です。すぐ向かいます』

今から合流すれば十分間に合います。やれやれ。ホッとしかけた友利ですが、5分が過ぎ、10分が過ぎ、小松島は一向に姿を見せません。やがて20分が過ぎました。これはちょっと変ではないか?不安になった友利が再度電話をします。

『はい、小松島です』

『あ、僕だけど……ねぇ、さっきから待ってるんだけど、どうした?何かあった?』

訊ねる友利に、小松島が怪訝そうに答えます。

『もうとっくに南口に着いてますけど……部長どこに居るんですか?』

そんな馬鹿な。一通り見渡せる場所にいるので彼の姿を見逃す訳がありません。

『本当に南口にいる?』

『はい。間違いありません。南口です』

……となると(ダック)、考え得る可能性は1つ。つまり、二人は別の駅にいる。信じがたい事ですが、それ以外に答えはありません。

『もうひとつ確認したいんだけど……』

『はい』

『君、どこの駅にいる?』

核心をつく友利の質問。と、次の瞬間、友利の人生観を引っくり返す衝撃的な一言が小松島の口から発せられたのです。

『……キンシャサですけど』

キンシャサ!!

友利は脳天を雷神トールのハンマーでぶっ叩かれたような衝撃を受けました。

『待ち合わせってキンシャサ駅で間違いないですよね?』

気絶寸前で何とか踏みとどまった友利が告げます。

『僕が言ったのは……“錦糸町”だよ』

沈黙の時間。それを破ったのは小松島でした。

『錦糸町って……何でまたそんな辺鄙(へんぴ)な所で?』

友利がすかさず異を唱えます。

『キンシャサの方が辺鄙だと思うぞ』

キンシャサ市民が聞いたら怒りそうな一言ですが、近くにキンシャサ市民はいなさそうなので大丈夫。

『お言葉ですけど、キンシャサは首都ですよ。錦糸町は首都じゃありませんよね』小松島もひるみません。

『いや、首都だよ。東京だもの』

一応断りを入れて置きますが、錦糸町もキンシャサも、治安はともかく決して辺鄙な場所ではありません。この二人が議員だったら失言で辞職に追い込まれる事でしょう。

『……それは知りませんでした。てっきり千葉だとばかり。でも、どうして、花の都・錦糸町で待ち合わせなんですか?』

『花の都ではないけど、取引先の会社があるからだよ』

なんとつまらない、在り来たりな答えでしょう。弁解するように友利が言葉を続けます。

『常識で考えてみてくれ。キンシャサで待ち合わせする訳ないだろう。そんな話聞いた事がない』

断言する友利。が、小松島の反応は予想に反するものでした。

『ああ……僕、アフリカに居た時よくキンシャサで待ち合わせしていたので、自然にそう思っちゃいました。スミマセン、僕の聞き違いですね、きっと』

そうです。すっかり忘れていましたが、彼はNGOだかNPOで世界を飛び回っていたのでした。彼にとってキンシャサというのは身近な場所なのでしょう、ちょうど私達にとっての渋谷のハチ公前のように。

確かに、錦糸町とキンシャサは発音が似ているといえば似ています。舌っ足らずの友利の喋りに加えて、音質の良くないガラケーでは錦糸町がキンシャサに聴こえても不思議はありません。アフリカと日本なら接続が悪かったのも頷けます。非常識な新入社員だと半ば 呆れていまし友利でしたが、それは逆。発想や感覚がワールドワイドだからこその失敗だったのです。

さて、彼の世界人ぶりは世界人ぶりとして、問題はこの後どうするかです。小考の末、友利が言いました。

『……ところで君、今から1時間以内に来られるかな?』

これはジョークなのでしょうか。それとも天然なのでしょうか。小松島が探るように訊ねます。

『……あの、失礼ですけど部長、アフリカに旅行なさった事ってあります?』

少し間があって、

『ああ……国立博物館の古代エジプト展に一回行ったよ』涼しげに友利が答えました。

『えーと……上野はアフリカじゃないですよね』常識で反撃する小松島。

『あ、富士サファリパークにも行った事ある』負けじと友利。

『それもアフリカじゃないですよね』小松島も引き下がりません。

『そうだ!昔、TOTOの[アフリカ]って曲を友達にダビングして貰ったよ』魔球で攻める友利。

『それは、もはや旅行ですらないですよね……つまり、アフリカに行った事は無いと』やりとりに飽きた小松島が一刀両断の元に切り捨てます。

『まぁ、そういう事だ』こうなっては友利も敗北を認めざるを得ませ。

『日本とアフリカはかなり離れていてですね、今からチケット取って直ぐに飛んでも、そちらに到着するのは明日になるかと思います』

『今日中は無理か』

どうやら話はまともな軌道に戻ったようです。

『はい。申し訳ありません。キンシャサは何回も行った事がありますけど、錦糸町は一度も無くて、それで勝手に思い込んじゃいました。僕のミスです』

そうです。そういう人もいるのです。友利は改めて世界の広さを思い知らされました。考えてみれば、錦糸町とキンシャサ、このような美しい駄洒落が現実の出来事として起こるとは奇跡以外の何物でもありません。これは吉兆に違いない。内心、喜んでいた友利でしたが、ミスはミス、そこは上司として厳しく釘を刺しておかなければなりません。 

『こういう事がもう二度と起きないよう、これからはちゃんと確認を取っていこう。お互いにね』

無難にまとめ、ホッと一息ついた友利でしたが、その 直後、小松島の放った一言にまたしても脳天を直撃される事となるのです。

果たして小松島は何と言ったのでしょうか?

そう、彼はこう言ったのです……

『コンゴ(今後)気を付けます!』

コンゴ気を付けます!この駄洒落の畳み掛けは只者ではありません。何故なら、キンシャサはコンゴの首都だからです。もしや……友利は考えます……彼はこの一言の為にわざと錦糸町とキンシャサを間違えたのではないか?

そう言えば……この世には「世界の駄洒落化」を目論む謎の組織が存在している……そんな噂があります。本来は言葉上の存在である駄洒落を現実の出来事として引き起こし具象化する。そして、それを実行するエージェントは【駄洒落使徒】と呼ばれ、世界のあらゆる国々に及んでいる、と。もしかすると、小松島こそはそのエージェント=駄洒落使徒なのかも知れません。

友利は思わず身震いしました。しかし──友利は思い直します──もし仮にそうだったとしても、彼が期待のホープである事に変わりはありません。この事には触れず、彼には自由に行動して貰おう──友利はそう考えていました。

そして数日後。世界的銘菓・モケーレ・ムベンベ饅頭(まんじゅう)の独占販売権を獲得して帰国した小松島を見るに至り、自分の決断が正しかった事を友利は確信したのでした。


〜おしまひ〜。


─────









ダジャレ千夜一夜物語第13夜『ソーヤ・トムの冒険』



話題:言葉遊び


 
宗谷吐夢(そうやとむ)くんは、その名前により幼い頃からずうっとトム・ソーヤに親近感を抱いていました。そして、“心のハックルベリー・フィンを探す”という長年の夢を叶えるべくアメリカへとやって来ました。吐夢くん、十八歳の春。少し遅めのスタンド・バイ・ミー
です。

そんな或る日、セグウェイで ミシシッピー川を下っていると、若い頃のケヴィン・ベーコンに似たアメリカンの青年が小ぶりなワニに襲われているのに遭遇しました。何とかして助けてあげなければいけません。

背後からそっとワニに近寄り、藤波辰爾直伝(嘘)のドラゴンスリーパーを決めます。ご存知のようにワニは噛む力(口を閉じる力)は強いけれども、逆に口を開ける力は弱い。スリーパーホールドで顎を決めてしまえば勝ったも同然。吐夢くんはそう考えたのでした。事実、その時もワニは地面を叩いてタップしてギブアップを宣言したのです。放してあげるとワニは悔しそうな顔をして去って行きました。

助けられたケヴィン青年が、お礼に七面鳥を焼いてご馳走したい、というのを丁重に断って立ち去ろうとすると、彼は深々と頭を下げてカタコトの日本語でこう言いました。

『どうも、ありげーたー(ありがとう)ございました』

なんという事でしょう!吐夢くんが日本人である事に気づいた青年は恐らく『ありがとう』と言おうとしたに違いありません。それがカタコトのせいで『アリゲーター』(ワニ)になってしまったのです。もしも、これが小ぶりではなく大型のワニであれば、それはアリゲーターではなくクロコダイルになるので駄洒落は成立しません。幾つかの偶然が重なった奇跡。でも本当に偶然なのでしょうか?

何故なら、そう、世界は駄洒落で出来ているからです。だからこうして、隙あらば駄洒落を差し込もうとするのです。

そして、それとは全く関係ないところで吐夢くんは思いました。もしも、ケヴィン・ベーコンが日本人として生まれて来たなら甲本雅裕さんになっていたに違いない、と。

───

果たして吐夢くんは心のハックルベリー・フィンを見つける事が出来たのか?残念ながらそれを知る者はいませ。しかし、一つだけはっきりしている事があります。それは役場に届けられた【吐夢】の正式な読み方は【かなめ】であるという事ですが、もちろん、当の吐夢くんはそれを知らないのでした……。


〜ダジャレ千夜一夜物語第13夜『ソーヤ・トムの冒険』おしまひ〜。


空前絶後の焼き肉のタレ。


話題:SS


家で焼き肉をやろうと思った。

肉はある。ホットプレートもある。油もある。

しかし、タレがない。

そこで、近所のひなびたスーパーに焼き肉のタレを買いに行った。

すると、ラッキーな事に「エバラ焼き肉のタレ」が特売品でかなり安く売られていたので、迷わずそれを買う事にした。

買い物を終えた私は、ダットサンに乗り込むと脱兎の如くスーパーを後にしたのだっと…いや…だった。う…心が寒い。

家に着き、肉を焼く。

なかなか良い塩梅に焼けた。

そこに、買って来たばかりの「エバラ焼き肉のタレ」をかける。

前代未聞の香りが部屋の中に漂い始めた。

焼き肉を一枚、口中へと運び、噛みしめる。

空前絶後の味が舌を襲った。

箸を置き、焼き肉のタレをみつめる。

それは、美味しいとか不味いとか云うレベルを超えた、未だかつて人類が経験した事のない味と香りだった。

このタレはどのような原材料で作られているのだろう?

パッケージの裏に記されている原材料表記を見る。

―原材料―

リンゴピューレ。ウスターソース。八丁味噌。ニンニク。唐辛子。生姜。牡蠣エキス。モロヘイヤ。ハバネロ。ココアパウダー。ザクロ果汁。ココナッツオイル。発酵バター。脱脂粉乳。ダッフンだぁ抽出物(天然由来)。イカスミ。タコスミ。カラスミ。クワタマスミ。益子直美。ナオミワッツ。乾燥フラミンゴ粉末。……etc. (その他100品はWebで確認ください)。

……。

何だろう、この節操のなさは。

「エバラ焼き肉のタレ」と云えば、定番中の定番商品。こんなアバンギャルドを求める必要などないはずだ。

もう一度匂いを嗅いでみる。

驚天動地の香りがした。

もう一枚肉を食べてみる。

国士無双の味がした。

こんな画期的な焼き肉のタレは初めてだった。いや、画期的を超え革新的かも知れない。いやいや、もはや革新的すらをも通り越し革命的とさえ云える。

それにしても、まさかあのエバラが、こんな革命的なタレを作るとは…。

私は何とも云えない気持ちで、卓上に置かれた「エバラ焼き肉のタレ」を見つめた。

そして、自分がとんでもない勘違いをしていた事に気づいた。

私がてっきり「エバラ焼き肉のタレ」だと思い込んで買って来た物は、デザインこそソックリだが、よくよく見れば全くの別物だったのだ。

その“革命的”な焼き肉のタレの本当の商品名はこうであった…


「ゲバラ焼き肉のタレ」。


私は思わずこう呟いていた…


「バカタレ」と。



ナゾナゾ短編小説『無口な患者』。


話題:SS
私、こう見えても“医者”なんて云うちょっと偉そうな仕事をやっておるんですがね…

とは云っても…自宅も兼ねた小さな町の病院でして、それも親から譲り受けたものだと云う…まあ、私みたいなのを“典型的な町の開業医”と呼ぶんでしょうね。

っと、そんな話はどうでも良いんです。今日はちょっと別の話をしに来たんですよ…と云うのも、貴方がナゾナゾ好きのナゾナゾ星人だと神林さんのお爺ちゃんに聞いたもんで、それなら、この話はぴったりかも知れないなあ〜なんて思いましてね。…どうします?お聞きになりたいですか?

…あ、いえいえ、カステラは結構です。別にカステラ目当てに訪ねて来た訳じゃあ無いんで。…ま、カステラは大好きですけど。…あっ、いや、本当にそんなつもりじゃ!…ああ、なんか気を使わせてしまったみたいでスミマセン。…因みに珈琲はモカブレンドが一番好きで…うわっ、いやいや、そういうつもりでは決して…あ、ついでと云っては何ですが、お砂糖は二個でミルクは少々…ああ、なんか申し訳ないです…本当に。

で、本題の話…あ、大丈夫です大丈夫です、非常に短いお話なので、お手間は取らせません。私も夕方の診療があるので4時前には病院に戻らなきゃならないし。

おや?この珈琲カップはもしかしてあの有名なマイセンでは?

え、違う?ロイヤルコッペパンハゲ?…じゃ無くて、コペンハーゲン?

ああ、そうですか。いや、実は陶器とか全然知らんのです、ハッハッハッ。

…まあ、冗談はこれぐらいにして…

先週の木曜日ですよ。ある女性の患者さんがみえたのです。初めて見る顔だったのですけど、それがまた、インド象に跨がったらさぞかし綺麗だろうなあ、なんて思わず想像してしまうぐらいの美人さんで…あ、いえ、決して患者さんの顔のクオリティで治療のクオリティが変化する事はありませんので、その点は御安心を。例え貴方が患者でも、私は全力投球で治療しますよ。

…アレ?なんか、ちょっと怒ってます?…怒ってない。そうですか。それなら良かった。

で、問題は、その美人の患者さんですよ。さっきもお話したように初診の方なので、まずは基本的な問診から始めようと思って、取り合えず、ありきたりながら『今日はどうされました?』と訊ねてみたのです。まあ、私としては当然、『どうも頭が痛くて』とか『何だか熱っぽくて』なんて答えが返って来るだろうと思ってたんですがね…

彼女、黙って首を横に振るばかりで何も言わないんですわ。これじゃ検査のしようがない。ま、全部の検査をすれば良いのだろうけど、それじゃ効率が悪すぎる。その時、ピンと来たんです。あ、これ…ノドが痛くて声が出ないんだな、って。そこで、『ああ、ノドが痛いんですね?』と改めて訊ねてみたところ…なんと、彼女はそれに対しても首を横に振るじゃありませんか!結局、彼女はその後の私の質問全てに対して、ただ黙って首を振るだけで最後まで何も答えてくれなかった…。

正直、こんな面倒な患者さんは初めてです。私は、完全に途方に暮れていた。

とまあ、これが問題のお話なんですがね…

あ、いえいえ…彼女をそのまま帰したりしていませんよ。ちゃんと、お薬を出してあげました。えっ?『彼女の病名は判ったのか?』…勿論、判りましたよ。まあ、少し考えましたけどね。『黙って首を振るだけで何で判るのか?』…ですか。そりゃ、判りますよ。だって彼女、自分で自分の病名ちゃんと云ってたわけですから…。

どうです?このナゾナゾ、解けましたか?

…さてと、それじゃ私はそろそろお暇させて頂きますかね。あ、珈琲とカステラ、ご馳走さまでした。カステラはもうちょっと厚切りの方が好みなんですけど…とても美味しかったです。

あ、そうだ…
その患者さんが入って来た時、診察室の外の牧草地では牛がモウ♪と鳴いていて、窓から綺麗なチョウが舞い込んで来たんです。

さて、【彼女の病名は?】

☆☆☆☆☆



解答は追記ページに♪(^o^)v


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素敵な隠れ家 リストランテ【がっかり屋】。

話題:料理、グルメ全般

素敵な隠れ家リストランテ【がっかり屋】に訪れるのは、とっても素敵な人ばかり。

春の陽気に“おみそ”が桜色に変色してしまった人や…

真夏の直射日光に“おみそ”が半分溶けかかっている人…

秋の夕暮れに“おみそ”の中でコオロギが鳴き続けている人も居れば…

真冬の寒さに“おみそ”が永久凍土のように凍りついてしまった人も居ます…。

そんな素敵すぎる人々の為、【がっかり屋】では当店でしか味わう事の出来ない、とびきり素敵なメニューをたくさん取り揃えておりますので、皆様どうぞ、ごゆるりと優雅な一時をお過ごし下さいませ。

さあ、それではご注文をどうぞ…


☆☆☆☆☆


《ポトフ》


「畏まりました。ご注文はポトフでございますね?」

ギャルソンはそう言うと厨房の奥へと姿を消した。

程なく戻ってきたギャルソンの手には“お麩”が握られている。

そして彼は、にこやかな微笑みを浮かべながら、手に持った“お麩”を私の目の前でポトッと落とした。

「お待たせ致しました。【ポトッ麩】でございます♪」

ポトッ…麩。

エクセレント!!(°□°;)

煌めくオーロラ!
夢見るプリズム!

そこのけ!そこのけ!お馬が通る!

なんて素敵なお店なのでしょう!


☆☆☆☆☆


《牛丼》


「畏まりました。ご注文は牛丼でございますね。それでは、あちらの特別室へお越し下さい」

案内された特別室では、狭い狭い四畳半の室内にビッシリと椅子が並べられていた。

ところが…どうやら、おしくらまんじゅう状態で皆が食べているのは、ただの丼に入った白飯のようだ。


「お待たせ致しました。【ギュウギュウ丼】でございます♪」


ギュウギュウの満員状態で食べる丼飯…ギュウギュウ丼…ギュウ丼。


ゴージャス!!(°□°;)

輝く夜明け!
よろめくOL!

負けるな一茶!これにあり!

なんて素敵なお店なのでしょう!


☆☆☆☆☆

 
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