話題:短文


1月1日【金曜日】

(晴れ、ときどき、ドリフ大爆笑の笑い声(ゲラ屋))

どことなく中村アンに似ているニワトリの鳴き声で目を覚ました朝。元旦。

朝食を食べてからシャワーを浴びるか、それともシャワーを浴びてから朝食を食べるか。いつになく迷った。迷いに迷った。散々迷った挙げ句、ワケが判らなくなり、気がついたら“朝食を浴び”、“シャワーを食べ”ていた。

そのせいだろうか。どうにも様子がおかしい。自分ではなく周り、つまり、私を取り巻く世界の様子がおかしいのだ。

異変に気づいた切っ掛けは信号機だった。私の知る世界(日本)では信号機の色は赤と黄と青(緑)の三つと決まっている。ところが、今いる世界ではその他に白色があり、白が灯ると全員一斉に「阿波おどり」を踊り始めるのである。歩行者だけでなく、車を運転している人や乗車している人も皆踊る。どうやら交通法規でそのように定められているらしい。そんな事は知る由もないので、呆気にとられながら突っ立っていると、何処からか制服姿のお巡りさんが飛んで来て「次からはちゃんと踊るように」とこっぴどく怒られてしまった。

異なる部分は信号だけではない。例えば「靴下」もそう。私の持ち合わせていふ常識では、先ず靴下を履いてから靴を履くシステムになっている。ところが此所では、誰もが素足に直接靴を履き、それから靴下を履くのである。なんとも言えないカッコ悪さと心地悪さがそこには存在していた。だが、考えてみれば“靴の下”で“靴下”なのだから、こちらの方が正しいと言えば正しいのかも知れない。もっとも、“靴の下”ではなく“靴が下”という逆の捉え方もある事を申し添えておく。

他にも、プロ野球の日本シリーズでは圧倒的な強さを誇るヤクルトがオリックスを4勝0敗で下し4年連続の日本一に輝いていたり、その監督が長嶋一茂氏で知将と呼ばれていたり、私の知る世界では有り得ない事が平気で起こっていたりする。ちなみに、セ・リーグはセントラルリーグではなく[センチメンタルリーグ]で三振したりエラーした選手はさめざめと泣き、パ・リーグもパシフィックリーグではなく[パンタロンリーグ]でユニフォームのズボンは70年代のヒッピーのようなラッパ型となっている。

これは、どう考えてもパラレルワールドとしか思えない。さて、どうしたものか。私はすっかりヘイコー(閉口)してしまった……ヘイコー世界(並行世界=パラレルワールド)だけに。

よし、大丈夫だ。

こういう素敵な駄洒落が思い浮かぶのは心にまだ余裕がある証拠。これなら何とかなりそう気がする。兎にも角にも、これにて今年の目標が決まった。

『再び元の世界へと帰還する』

スタートレックシリーズで言うなら、別宇宙域から地球への帰還がストーリーの主軸となる【ヴォイジャー】だ。

そういった訳で今年―2021年―の『かげらふ日記』は、虚構である上さらにパラレルワールドであるというダブル処方でお届けする予定であります。

愚駄愚駄になりそうな予感がした方、どうか安心して欲しい、何故なら、私には“予感を遥かに超えた確信”があるのから。


〜おしまひ〜。