資料や教則本、テキスト、あまつさえ持ってきてはいけない書簡などが、一生瓶やら、ワンカップ酒と煙草の吸殻と一緒に散らばっていた。
恋次は足場の踏み場もない床に、散らばってる諸々の書類などを足でザッサッと退かし、机の上に幾つも山になっている束をを見渡した。
「…ええっと…、雛森から借りた資料は…」
ザッと積み上がってる束を指でなぞり、目的の借りていた資料を見つけた。
「あったあった…」
恋次は横着にも、無理矢理引っ張り出そと指で摘まみグイッと引っ張た。
無論そんなことをすればどうなれか、その瞬間当たり前のように雪崩が起きた。
ドサドサッという音と共に束は脆くも崩れ去った。
「…あっ!」
崩れた束の中から一枚の絵がでてきた。
「…やぺーな…。隊長達に返すのを忘れてた…」
恋次が崩れた諸々の山から見つけたのは、一枚の絵であった。
描かれているのは荒々しいタッチで力強く描かれている海と中央には流されて(泳いで?)いる、うさぎが画かれていた。そうこれは夏期休暇の期間、何を行ったかというリサーチで提出した、夏休みの絵日記であり、この絵は朽木兄妹の合作である。
恋次はジーッとその絵を見続けていると、ある疑問が頭を過った。




「肖像画?」
白哉は怪訝な表情を浮かべ、聞き返した。
「…ええっ…」
恋次は言葉に詰まりながら、へつらいつつ頷いた。
「何故?」
白哉はジーッと冷めた目で恋次を見つめた。ある思惑がある恋次は、白哉の鋭い三白眼に耐えきれす、一瞬サッと視線を逸らしたが、ゴホンッと咳払いをすると、
「隊長が隊士の自画像を画けば、喜ぶと思うっス。士気も上がると思うし、何より、今まで以上に隊長のこと瞻仰すると思うんです…」
無論1ミリも、そんなことは思っていないが、機嫌をそこねると面倒なので、とりあえず煽って、白哉の気持ち良くしておこうと思った。
恋次は知りたかった。
風景画は見事な写実画なのに、何故それ以外はアレ(ワカメ大使)なのかを。
一方の白哉も[瞻仰]と言う言葉に耳がピクピク動いた。
そして暫く考えると
「分かった」と頷いた。
「…して…、まずは誰からを…?」
白哉の前には、画材セットが置かれた。
「あっ…、じゃ俺からお願いします…」