白哉はサッと筆を動かし、画き上がった絵を恋次に渡した。
「…こ…これはっ!」
恋次は雷に打たれたような衝撃を受けた。
”ワカメ大使っっ!!“
白哉は絶句している恋次を余所に、どこか得意気であった。
「…で、次は?」
恋次はハッとすると
「あっ、じゃあ理吉で…」
「うむっ」
白哉は頷くと、これまたサッと画き上げ恋次に渡した。
そして当然の如く、画かれているのは[ワカメ大使]であった。
恋次は、これでもかっと言うぐらい、次々と隊士達の名前を挙げて言ったが、白哉の手によって繰り出される画は、全て[ワカメ大使]であった。
”コピー…![金太郎飴]かいっっ!!“
内心毒付ながらも、今度は他の隊の人の名を次々と挙げて言った。
「一角さん、弓親さん、更木隊長、雛森、吉良、…、…、…一護…」
白哉の手によって、画かれるのはやはり[ワカメ大使]であった。
そして恐ろしいことに、色とりどりの色彩豊かな色を使用しているのに、白哉の手から生み出される色は全て、あの[ワカメ大使]色であった。
「あの…、最後にルキア画いて貰えますか…?
恋次は諦めつ」つルキア名前をだした。
―…ルキア…
白哉は目を閉じると、愛しい義妹の笑顔が浮かんだ。
そして白哉から渡されたルキアの肖像画を見た恋次の手はプルプルと震えていた。
「…こ、これは…」
そこには美しく画かれた、見事な写実画であった。
”あんたっ!オレ等のこと、どう見えてんだよっっ!」
この後、六番隊で一悶着があった。
廊下に飾ろうとしたが、どれが誰やらで、ネームプレートが貼れなく、プレート無しで飾った。
因みに六番隊に遊びに来たルキアが白哉が画いた隊士達を観て『おおっ…!そっくりだ…。流石、兄様だ…』と感動すると、益々尊敬の眼差しを義兄向けた。
無論白哉が悦に浸ったのは言うまでもない。

おしまい