その日一護は、勉強部屋(浦原商店地下)にいた。
「俺に用って・・・、何だよ?俺、一応これでも[受験生]なんだけど・・・]
一護は面倒臭そうに応えた。
「済ませんね。今、[技術開発局]と合同で(主に阿近と)[穿界門]の強化をはかってまして、それで[屍尸界]に繋ぐ全ての[門]が対象でしてね・・・。勿論この[門]もなんっス・・・」
浦原は[屍尸界]に"表門"とリンクさせてる門の柱をそっと触れた。
「へーっ。そうなんだ・・・」
一護は感心するかのように応えた。
「それで・・・?何で俺が呼ばれたんだ・・・」
浦原の方に向き、不思議そうに訊いた。
「ああっ・・・、まだ[試作]段階なんすっけど、黒崎さんに[ベンチテスト]を手伝ってもらうと思いましてね・・・。よろしいですか?」
「構わなねーよ」
一護にして見れば、色々と世話になってる(一護にしてみれば、半分は[迷惑]をかけられているので、イーブンだと思ってる)ので 二つ返事で OKをした。
「それで?何が変(化)わったんだ・・・」
[門]を見上げた一護は、差ほど変わってないと思った。
「[音声形式]で、"合言葉"を言わないと[通過]できないようになってます・・・」
「へーっ・・・」
興味が有るのか無いのか、一護は口先で返事をした。
「それで[ベンチテスト]って、何をすれば?」
「あっ、はい・・・。黒崎サンの[声音]を入力(勝手に)してますンで[合言葉]を言って、彼方(屍尸界)に通過できるかをしてもらえばいいっス・・・」
一護は「そんな程度か・・・」と安堵した。
「それで?[合言葉]って・・・」
「はい。丁度そのこと(ベンチテスト)を知った朽木サンが、黒崎サンにピッタリな[合言葉]を考えてくれたっす・・・」
「ルキアが・・・?」
一護の眉根がぐっと深くなった。
「こちらに[合言葉]の書かれた[書状]があります。・・・"本物"ですし、勿論"、中身は(確)認ていません ので・・・」
予約すれば、すり替えも出来るし確認しようと思えば出来るっていう意味である。
一護は書状を受けとると
[黒崎一護]と手書きで書かれ、 [十三番隊の隊花]が片隅に印紙され いた。
文字からは、ルキアの
[僅少霊圧]を感じると眉間の皺は緩み、笑みを溢した。
一護は書状を開くと、中には"例の如く"「楽しく解読せよ」と書かれた文字と、ヒントのイラストが描かれていた。
(何だよ。この瓢箪みたいな黄色ものは?ヤコロか?それに、この赤いヒラヒラしているの・・・。ハッ! 落ち葉か?・・・ってことは秋ってことか。それじゃ、この黄色瓢箪みたいな
のは・・・、[洋梨]かっ!つまり[よ]と[う]を無しにするってことかーっ・・・)
一護はじっと見つめると
徐々に文字が浮かび上がってきた瞬間、一護の頭上にドーンッと重たいものが空がら落ちてきたように項垂れた。
マンガだと縦簾が背景に描かれているはずだ。
「フッ・・・」
一護は自嘲すると、書状をグシャッと握り締めた。
透かさず浦原に背中を見せ、サッサッと歩きだし空中から延びている梯子に手をかけた。
「・・・ち、ちょっと・・・!何処に行くんスか・・・?」
浦原は慌てて一護を呼び止めると
「帰るんだよ。アホらしくて付き合ってられるかっ!」