この二人の話を書き始めてから1年経ちました。
ここまで続けられるとは思わなかったです。思ったよりたくさん書いたな…
これからものんびり見守っていてくださいませ。
初めて書いたのは、
瞳の話。
今回は手の話。とあるギリシャ神話のイメージが入っています。
真田目線でシリアスめ。くっついてしばらく経った蓮華。
蓮二がネガティブになりました^^;
↓よりどうぞ〜
「お前は今、幸せか?」
問いかける蓮二の声には、少しだけ迷いが感じられた。
[解きの手]
「こうして繋がっているのに、今さら何を言っている」
怒るように言えば、男は微笑む。
「手を繋げようと、身体を繋げようと…それが本当の幸福に繋がるとは限らない」
何を弱気なことを
と言おうとしたが、それも一理あるなと考え直した。
「手を繋ぐだけでは満足できないのか。どうすれば、その迷いを解ける?」
「…いっそ手を解いてしまえば、迷いも解けるのかもな」
蓮二は俺と結ばれる前からも、結ばれてからも、迷い続けている。
真田弦一郎について。
あるいは、真田弦一郎の幸せについて。
…馬鹿馬鹿しい。
心の中で舌打ちをして、繋いだ手に力を入れる。
蓮二の目はいつも通り閉じられているが、俺はいつでもその目を見てきた。
フゥ、と息を吸い、声を出した。
「それでは、俺だけが迷ってしまうではないか!!」
「…え?」
きょとんとした男の目は、大きく開かれる。
試合などで見せる鋭さはそこにはない。
この瞳も、俺は気に入っている。
「迷うなら迷えばいい。迷うことが悪いとは思わない。しかし、蓮二一人にはさせるつもりはない!たとえお前が望まなくとも、俺はお前と迷ってやる!」
一人になるのが寂しいから?
それは違う。そんな単純なものではない。
「ここまで付き合っておいて、今さら…一人にはさせないし、一人にさせないでほしい…蓮二」
「弦一郎、落ち着け。もう言わないから」
ぐいっと手を引っ張られて、頭は蓮二の肩の上に。
「…迷いは解けたか?蓮二」
「一つだけだがな」
「そうか…」
蓮二は手で俺の背中を撫でてくる。泣いた子供を慰めるように。
いや、俺は泣いていないぞ…多分。
「弦一郎。たまには口に出してもいいだろうか?」
「…好きにしろ」
俺も蓮二の背中を撫でた。
どんな顔をしているかはわからないが、少しは不安が無くなればいいと思いながら。
end.
・・・・
『手を解いてしまえば』と蓮二は言っているけど、別れたくない気持ちは蓮二の方が強いといいな…
ボカロの『アリアドネ』聞いてたら話が浮かびました。迷宮の中の蓮二。
普段は蓮二が真田を支えてると思うけど、くっついてからは逆も多くなるといいなと思う。
お互いの行動が、それぞれにとっての『アリアドネの糸』になればいい。